政治を斬る!

高市一人勝ちの世論がついに可視化──早期解散のXデーはいつだ

高市内閣の支持率が、発足後の外交ラッシュを経てさらに跳ね上がった。TBSが11月上旬に実施した最新調査では、支持率82%。前月の石破政権から一気に38ポイント引き上げ、今世紀では小泉純一郎政権に次ぐ歴代2位の数字である。

永田町が「右寄りの高市政権は受け入れられない」と騒いでいた空気とは裏腹に、国民世論はまったく逆の方向を示した。政界の常識と民意の乖離。いま政治の重心は、永田町から有権者に完全に移っている。

一方、与野党の政党支持率は低迷したまま。自民も維新も、そして野党も伸びない。つまりこれは「高市人気」であって「自民党人気」ではないということだ。

だからこそ、早期解散をめぐる高市総理の腹づもりは、より繊細になる。

「勝てるときに解散せよ」。永田町ではこの鉄則がささやかれている。高市総理が背負うのは、党内基盤が弱いという宿命だ。麻生支配が続く自民党で、総理として自立するには選挙で勝つしかない。

今回の高支持率は、彼女に“解散カード”を手に入れる資格を与えたと言えるが、高市人気が自民党の票に結びつくかどうかは、なお不透明だ。

■ 内閣支持率は爆上がり、だが自民党は伸びず

調査データを精査すると、今回の支持率爆上がりは、外交評価が大きく寄与している。米国との首脳会談をはじめ、一連の外交を「評価する」は83%。この数字は、外交成果というより「高市好感度が外交評価を押し上げた」と読むべきだ。

一方、自民党の支持率は28.9%と、上昇幅はわずか1ポイント。皮肉な構図だ。総理の支持はある。しかし、政党の支持は戻らない。自民の看板には魅力がなく、「高市ブランド」だけが生きている

維新も3.9%止まり。藤田文武共同代表の政治資金疑惑が火を噴き始めたタイミングだっただけに、この先さらに沈む可能性がある。参院選で勢いを見せた国民民主党と参政党から、自民へ一定の支持が戻った形だが、決して「復活」と呼べる水準ではない。

この構図が示すのは何か。無党派層がフロー状態にあり、選挙になればどこに向かうか読めないということだ。高市人気を追い風にできても、それがそのまま議席に直結する保証は、どこにもない。

■ 積極財政と減税──国民ははっきり「期待」している

政策面を見ると、「景気が良くなる」は58%。株価は発足直後から5万円を突破し、マーケットは高市政権を大歓迎している。積極財政が市場心理を刺激した結果だ。

同時に国民の期待も明確だ。物価高対策は、1位「食料品の消費税ゼロ」2位「社会保険料引き下げ」。財政の収支より、国民の生活が優先という当たり前の感覚である。

ただし、マスコミは相変わらず世論調査で「積極財政か、緊縮財政か」を正面から問う質問を避け続けている。財務省に配慮した「空気の調整」だ。しかし、これでは世論の本当の声は測れない。積極財政を求める有権者の声が見えなくなる。

防衛費増額も支持が56%。従来リベラルメディアが慎重姿勢を示してきたテーマに国民は一定の理解を示している。オールドメディアへの反発が国民世論の形成に大きな影響を与えているといえるだろう。

■ 野党地図が震えた──国民民主失速、参政も調整局面

ここからは野党情勢だ。

もっとも衝撃的なのは国民民主党の急落。前月比-4ポイントで3.6%。野党3位に転落。高市政権に寄るか、立憲と組むか、逡巡した末に維新に先を越された玉木路線が迷走し、支持が霧散した格好だ。

参政党は4.7%とやや後退。しかし、基盤は強固で、自民の保守層回収の影響を最小限に抑えた。草の根力が生きている

立憲は5.5%と微減だが、相対的に野党トップへ。ただし、国民や参政を束ねる力はない。頼みの公明は野党転落後に3.2%まで浮上。だが、公明が自民と復縁する余地はない。立憲と組むしか生き残る道はなく、ここに新たな野党軸が形成されつつある。

れいわ、共産は微動。少数政党の埋没が進む。議員定数削減が続けば、政治版「弱者切り捨て」が起きかねない。

■ 高市は切るか──解散の勝負どころ

結論を言えば、いま国政は高市一極集中だ。だがこれは、巨大なチャンスであると同時に、大きなリスクでもある。支持率が高いうちに踏み切らなければ、チャンスは消える。だが、踏み切れば「国民は本当に自民党に投票するのか」という壁が牙をむく。

年内解散か、年明け解散か、それとも解散封印か。タイミングを誤れば、「高市人気は幻だった」と一気に崩れる。だが勝てば、高市政権は“本物”になる。

永田町はざわついている。だが国民は静かに見ている。次の一手は、総理自身の決断だ。