高市総理は年明け1月に解散総選挙へ踏み切るのか。その判断を左右する12月の最新世論調査が明らかになった。
TBS調査で高市内閣の支持率は75.8%。前月の82%から6ポイント超の急落だ。
通常なら深刻な下落と映るが、高市政権の場合、発射台が異様に高かった。
“ご祝儀相場”のなかで歴代2位という支持率を記録してきたが、さすがに政策論戦が始まれば、反発も生まれる。この落ち込みを「想定内」と見る向きもあれば、「支持率の貯金が想像以上に早く減っている」と警戒する声もある。
永田町の評価は割れている。
■支持率を削る「生活の実感」
今回の調査で目立ったのは、物価高対策への評価だ。「評価する」38%に対し、「評価しない」は49%。
国民の生活に直結するテーマほど、内閣支持率を揺さぶる。国会で補正予算の審議が本格化し、年末の予算編成で税金の使われ方や負担増が可視化されれば、さらに支持率が下押しされる可能性は高い。
ネット上では「お米券」配布や高校生の扶養控除縮小の検討などが大炎上し、マスコミ報道とは別の怒りが高まっている。こうした生活政策の不満が、今後の支持率の最大のリスク要因だ。
このペースで下がり続ければ、1月以降の通常国会中に解散することは難しくなる。
さらに4月以降は議員定数削減・選挙制度改革の与野党協議が本格化し、解散の余地は細る。
高市総理にとって「やるなら1月」という現実味が増している。
■議員定数削減が仕掛ける“政界時限爆弾”
いま国会最大の争点が、衆院定数削減法案である。
自民と維新の連立は、1年以内に与野党で合意できなければ「小選挙区25、比例20」を“自動削減”するという前例のない仕組みを法案に盛り込んだ。
野党は猛反発し、マスコミも批判の大合唱。自民党内部からも「強行採決は危険だ」という声が漏れ始めた。
一方で維新は「成立しなければ連立離脱も辞さず」と圧力を強め、高市総理を揺さぶっている。
ただ、世論の反応はまったく異なる。法案への「賛成」59%、「反対」25%。
オールドメディアが反対を叫ぶほど、世論が逆に傾く構図が鮮明だ。
この結果は維新を勢いづかせる一方、野党の戦略を難しくする。
法案を否決すれば高市総理に“解散の大義名分”を与える。かといって賛成するわけにもいかない。
結果として「継続審議」に持ち込み、時間稼ぎをする可能性が高い。
自民党内には、高市総理が解散で圧勝し強力な総理として君臨することを警戒する勢力もある。
与野党が水面下で歩調を合わせ、強行採決を避けつつ審議を引き延ばす――そんなシナリオも十分ありうる。
高市総理がこの“引き延ばし包囲網”を突き破り、今国会成立へ押し切れるかどうか。
ここが政局の最大のポイントになっている。
■日中関係は「強硬支持」と「不安」の二面性
高市総理の「台湾有事」発言をめぐり、日中対立が激しくなっている。
しかし世論は「問題だ」27%に対し、「問題ない」が55%。
国民は強硬姿勢を支持している。
7日には、小泉防衛相が緊急会見を開き、中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射を公表した。中国側は事実関係を否定し、対立は泥沼化の様相だ。
この迅速な対応は防衛省単独ではなく、官邸との協議を経た判断だろう。短期的には、対中強硬路線は高市政権の追い風になる。
しかし、世論調査では「日中関係に不安を感じる・ある程度感じる」が51%に達した。支持と不安が同居する“微妙”な空気である。
この微妙さは、高市総理に「いま解散したほうがいい」という判断材料にもなりうる。情勢が悪化すれば、一気に支持率の向かい風になるリスクがあるからだ。
■政党支持率の動きが映す「解散の現実味」
内閣支持率が高くても、自民党支持率は伸びないという傾向が前月あった。
しかし今回は29.5%とわずかながら上昇。高市政権を支える足場は確実に強化されつつある。
維新も定数削減法案の“強硬姿勢”が奏功したのか5.0%に上昇。
一方で立憲民主は6.3%、国民民主は4.1%と微増にとどまり、自民との差は依然大きい。
参政党、公明党は微減、れいわは代表選の話題がありながら1.5%へ下落、共産も1.8%。
野党全体が支持を伸ばしきれていない。
この状況で解散が断行されれば、自民が単独過半数を回復する可能性が高い。
少数与党として船出した高市政権が、一気に“長期政権コース”へ変貌するシナリオだ。
■1月解散は「最初で最後の好機」
最新世論調査が示しているのは、内閣支持率の高止まりはいつ崩れてもおかしくないという現実だ。
国会審議が本格化すれば、政策の細部が批判を呼び、支持率は確実に削られていく。
解散の好機は1月しかない。ここを逃せば、通常国会、制度改革協議、日中関係の不透明感によって、解散の窓は急速に狭まる。
高市総理はこの“最初で最後のチャンス”をつかむのか。
今後、相次いで発表されるマスコミ各社の12月世論調査が、その判断をさらに左右するだろう。