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自民は「楽勝」ではない――「圧勝」の要因は、中道の失速…第三極の行方に注目

内閣支持率が急落しても、高市人気はなお根強い。

だが、自民党に漂っていた「楽勝ムード」は、さすがに消えた。序盤情勢では「自民圧勝」と言われるが、多くの小選挙区は大接戦だ。

立憲と公明が合流した「中道改革連合」は、まったく支持を伸ばせていない。
自民も、中道も、決め手を欠く。
その隙を突いて、今回の総選挙でも躍進を狙っているのが、第三極の国民民主党と参政党だ。

全国への大量擁立によって、「自民vs中道」という単純な二項対立は崩れた。
総選挙は、完全な大混戦に突入している。

支持率急落の正体

総選挙公示直前に行われた世論調査で、内閣支持率は軒並み下落した。
毎日新聞は10ポイント減の57%、日経は8ポイント減の67%、読売は4ポイント減の69%。
歴代内閣と比べれば、なお高水準だが、下げ止まり感はない。

注目すべきは、中身である。
「責任ある積極財政」への評価は7割を超え、「対中政策」も6割に達する。政策そのものへの評価は高い。

一方で、強く批判されているのが「1月解散」だ。評価する人は4割を切り、評価しない人が5割を超えた。
予算の年度内成立を最優先すると語ってきたにもかかわらず、1月解散で成立が危うくなる。
言っていることと、やっていることが違う――この違和感が、支持率を押し下げた。

解散の大義も、世論に十分伝わっていない。
政策転換や連立の枠組み変更を理由に挙げながら、なぜ正月明けに国会を召集し、速やかに解散しなかったのか。説得力のある説明は、いまだ示されていない。

さらに追い打ちをかけたのが、真冬の大雪だ。
1月・2月の総選挙は、雪国の実情をまったく考えていない――そんな不満が広がった。
奈良出身の高市総理と、熊本が地盤の木原官房長官。官邸の視線は西日本に偏り、雪国の現実が置き去りにされた。この判断こそ、支持率急落の最大要因だと私はみている。

比例で見える地殻変動

比例投票先を見ると、構図はより鮮明だ。
自民党は36%でトップだが、前回の惨敗選挙とほぼ同水準。盤石とは言い難い。

ただし、高市政権は若年層と現役世代の支持を回復した。
39歳以下で33%、40・50代で37%。世代の広がりは、自民にとって明確な強みだ。自民一強の状況に変わりはない。

問題は中道である。
比例9%。国民民主と並ばれた。立憲と公明を合流させ、二大政党対決に持ち込む戦略は、完全に崩れた。

年代別で見ると深刻だ。
中道は39歳以下が3%、40・50代が5%。60歳以上だけが17%。
高齢者政党の色合いは、合流後も変わらなかった。自民圧勝の情勢は、中道の自滅の裏返しだろう。

対照的に、国民民主は若年層14%。選挙終盤に向けて、伸びしろは大きい。
参政党も比例5%と出遅れているが、福井県知事選で示した草の根の力は侮れない。

自民は勝つが、盤石ではない

高市内閣支持層のうち、比例で自民に投票すると答えたのは50%。
残り半分は、国民、維新、参政に分散している。

比例では自民に入れないが、小選挙区では「中道よりマシ」と自民に投票する。
この構図が、自民を支える。

比例では第三極に削られ、小選挙区では中道の不振に救われる。自民は着実に議席を積み上げるだろう。
ただし、どの選挙区も「圧勝」ではない。

高市総理は「与党で過半数を割れば退陣」と明言している。
与党過半数は維持できそうだが、それは現状維持にすぎない。
独断で決めた1月解散の意味が問われ、党内の求心力は確実に低下する。

高市政権の真の勝敗ラインは、自民単独過半数である。

中道は消えるのか

中道に「期待する」は22%。「期待しない」は69%。
前回選挙の立憲と公明の合計票に、遠く及ばない。

野田代表は「政界再編のうねり」を語るが、それは政権交代をあきらめた発言にも聞こえる。
狙いは、与党過半数割れによる高市退陣と、その後の大連立。
だが、その条件が整う可能性は低い。

総選挙後、起きるのは与党政局よりも、野党政局だろう。
中道は、この選挙で役割を終えるかもしれない。

主役は、自民でも中道でもない。
第三極が、選挙の流れを決める。
それが、今回の総選挙の本質である。