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高市一強は「完成」したのか――世論調査が示す野党消滅の足音

自民圧勝…そんな生易しい話ではない。問題は別の数字だ。野党が、消えかけている。

最新のNHK世論調査を冷静に読むと、浮かび上がるのは高市一強体制の「完成」に近い構図である。内閣支持率は65%。しかも野党支持層の4割が高市内閣を支持している。若者も現役世代も雪崩を打つ。一方で、立憲民主党と公明党が結成した新党「中道」は支持率8.1%、39歳以下では0.7%に沈む。国民民主党、参政党も伸び悩み、れいわ新選組は崩壊寸前。国会に明確な対抗軸が見当たらない。

これは「安定」なのか。それとも「野党消滅」の始まりか。

65%の衝撃

高市内閣の支持率は65%。発足直後の66%にほぼ並んだ。毎月2ポイントずつ下げていた流れが止まり、再び上昇に転じた。高市人気は依然として健在だ。

世代別では40代81%、50代75%、39歳以下74%。若者と現役世代の支持が突出している。男性68%、女性61%と性別差も小さい。無党派層では支持49%、不支持28%。自民圧勝の最大要因は、この無党派層の取り込みだった。

さらに衝撃的なのは、野党支持層の42%が高市内閣を支持している点だ。先日の総選挙で自民に投票しなかった有権者の4割超が内閣を支持する。政党支持と政権支持が乖離する異例の現象である。

自民党支持率は39.9%(前回比+4.2)。これまで「内閣は強いが党は弱い」と言われてきたが、総選挙を経て党支持も急伸した。国民民主党、参政党、日本保守党に流れていた保守層を高市首相が引き戻した形だ。70代42.5%、80歳以上53.3%と高齢層で圧倒しつつ、他世代も30%台を維持する。

連立与党の日本維新の会は3.2%(▲0.5)。大阪基盤は堅いが、全国的広がりは見えない。

「中道」の誤算

立憲民主党の野田佳彦氏(68)と公明党の斉藤鉄夫氏(74)が退き、54歳の小川淳也氏が代表に就いた新党「中道」。支持率は8.1%で野党トップだが、自民の5分の1に過ぎない。

解散直前は立憲7.0%、公明2.6%で計9.6%。比例票も前回両党合計1260万票から220万票減らした。新執行部発足後も支持は回復せず、むしろ1.5ポイント下げた。新党に反発して離れた無党派層を呼び戻せていない。

世代別では39歳以下0.7%、40代3.7%、50代5.1%。現役世代にほぼ相手にされていない。一方、60代、70代、80代は12%前後。高齢層偏重という構造は変わらない。

国民民主党は3.3%。男性4.8%、女性1.3%と女性支持が弱い。ただし39歳以下9.9%、40代8.1%と若年層には一定の浸透がある。50代以上では急落する。中道と国民の対立は、世代間対立を映している。

第三極の明暗

参政党は2.6%(▲0.9)。総選挙では2議席から15議席へ伸ばしたが、比例票は430万票にとどまり、昨年参院選から320万票減。高市政権誕生で保守層が自民に戻った影響は大きい。神谷宗幣代表は高市首相との対決を掲げ草の根選挙を展開したが、参院選時のネット拡散力は再現できなかった。430万票、支持率3%前後が現時点の実力値とみるべきだろう。

チームみらいは2.8%(+1.7)。若者人気と報じられるが、39歳以下は1.4%。最も高いのは60代6.0%、次いで50代5.1%。消費税減税に唯一反対し、財政規律を掲げたことが立憲離反層の受け皿になった。

共産党は2.9%(+0.8)。70代4.9%に対し60代0.5%と世代断絶が鮮明だ。

れいわ新選組は1.1%。山本太郎代表が病気で議員辞職した後、エキセントリックな左派色が強い大石あきこ氏が共同代表として前面に立ったが、世論から完全に拒絶され、総選挙は前回の9議席から1議席へ急落。比例票も参院選から220万票減の170万票に落ち込んだ。

大石氏自身は大阪5区で得票が10%に届かずに大敗して落選したものの、総選挙大惨敗の責任を棚上げし、非議員の立場で共同代表に留任。同じく過激路線で知られる奥田ふみよ参院議員が共同代表に加わり、新体制が発足した。れいわ執行部は大石一派に乗っ取られた格好で、支持層は分裂し「内ゲバ」状態にある。次期参院選での存亡は予断を許さない。

安定か、空洞化か

数字が示すのは、自民一強、野党総崩れという現実だ。高市一強体制は盤石に見える。だが、野党支持層の4割が政権を支持するという構図は、対抗軸の不在を意味する。健全な緊張関係を欠いた政治は、やがて民意の受け皿を失う。

いま起きているのは、単なる支持率の上下ではない。政党システムそのものの地殻変動である。野党は再生できるのか。それとも消滅へ向かうのか。日本政治は静かに、しかし確実に転換点へと歩みを進めている。