数字は嘘をつかない。だが、その意味を読み違えれば、政治の現実を見誤る。
最新の世論調査は、はっきりとした構図を映し出した。自民は上がり、中道は落ちる。総選挙で圧勝した自民党と壊滅した新党「中道」の差は、選挙後も縮まるどころか広がり続けている。
3月1日に報じられたTBSの世論調査。内閣支持率は71.8%。前回から1.9ポイント上昇し、再び70%台に乗せた。高市早苗総理が自民党所属議員315人に当選祝いとして3万円相当のカタログギフトを配布した問題が浮上したが、支持率への影響は見られない。むしろ高市人気は持続している。
自民党の政党支持率は37.3%で2.6ポイント上昇。衆院で316議席、単独で3分の2超という圧倒的多数を背景に、政権基盤は盤石だ。予算も法案も、野党の協力なしで成立させられる。「自民一強・野党他弱」は、もはや一時的現象ではない。
中道の失速、立憲・公明の距離
一方、総選挙で壊滅した新党「中道」は支持率4.9%。3.6ポイントの大幅下落で、かろうじて野党トップを維持しているが、自民の7分の1以下だ。小川淳也代表の新体制は、早くも厳しい評価に直面している。
興味深いのは、立憲と公明の支持率がそれぞれ0.4%、0.6%と独自に残っている点だ。立憲や公明の参院議員、地方議員は当面中道に合流しない方針で、支持層にも新党への抵抗感が根強い。とくに公明は前月比0.3ポイント増。合流に一歩引いた姿勢が、逆に支持をつなぎとめた可能性がある。
野党は再結集どころか、むしろ細分化が進んでいる。
参政とみらいの台頭、国民の低迷
野党2位に浮上したのは参政党。4.6%と0.6ポイント上昇した。保守層の一部は自民に戻ったが、党員中心の草の根活動で15議席を確保し、新たな支持基盤を築きつつある。迷走する中道に代わる保守系対抗軸へ育つ可能性は否定できない。
野党3位はチームみらい。4.2%で3.0ポイント増。高市総理が呼びかけた「国民会議」に野党で唯一参加し、消費税減税にも反対する立場を鮮明にした。中道に失望した立憲支持層を取り込んでいる構図だ。
対照的に国民民主党は3.5%で1.6ポイント減。「対決より解決」を掲げて躍進したが、与党が衆院3分の2を握る現在、その存在価値は薄れつつある。玉木雄一郎代表が代表質問で与党席からヤジを浴びた場面は象徴的だった。政策提案はスルーされ、国民会議にも参加を見送ったことで、路線の揺らぎが目立つ。
維新・共産・れいわの現在地
連立与党の日本維新の会は3.8%で微減。数の上で自民に必要とされない現状では、存在感は低下する一方だ。連立を離れれば埋没、残れば影が薄い。難しい立場に置かれている。
日本共産党は2.0%。総選挙で議席を減らし代表質問の機会を失ったが、中道に反発するリベラル層の一部を取り込みつつある。れいわ新選組は1.7%。大石あきこ共同代表留任と奥田ふみよ共同代表の登板で体制を固めたが、支持層は分裂気味だ。
無党派層は31.8%と依然大きいが、高市人気の下で自民がトップを独走し、野党は横一線の“どんぐりの背比べ”である。
分断が固定化する野党
NHK討論では、中道の階猛幹事長に加え、立憲の田名部匡代幹事長、公明の西田実仁幹事長が別々に参加。国民会議への扱いをめぐり、自民の鈴木俊一幹事長が陳謝する場面もあった。しかし本質は別にある。立憲も公明も、中道と距離を保つ姿勢を明確にしたことだ。
統一地方選も別々に戦う方向。政策や国会対応でも温度差は拡大している。カタログギフト問題をめぐり、小川代表は追及姿勢を見せつつも及び腰となり、立憲は参院で徹底追及の構え。米国とイスラエルのイラン攻撃でも立憲は「国際法に違反」「武力行使に反対」という強い声明を出す一方、中道は「両国に冷静な対応を求める」という慎重な姿勢だ。
野党が併存し、分断が常態化する限り、自民一強は揺るがない。数字はそれを冷徹に示している。
問われているのは、単なる支持率の上下ではない。
本気の対抗勢力を築けるのか。それとも、この構図が固定化するのか。
いまのところ、数字が示す答えは明白である。