前回は、RFK Jr.(ケネディ大統領候補)がアメリカで民主党が「民主主義を訴えながら」「民主主義を解体している」というスピーチを紹介しました。これは、日本と西側諸国でもいえることだと感じました。
また、前回の参議選に当選した水道橋博士の「野党から議員になって…この世界が分離された偽装国家であることがよく見えるようになった」というメッセージが、結びついていきました。この2人は、違う形ですが、同じようなことを訴えているのではないか…。
日本の民主主義は、中国のような多党一党制なの?
自民党総裁選で、有力視される小泉進次郎さん。国政選挙もまるでTV世界のアイドル総選挙化するのか? 出馬会見では、労働者の生活を助ける政策より逆に「解雇規制の緩和」という雇用の不安定化を生み、労働者をより弱い立場に追い込むような政策が強調されました(Samejima Times「小泉劇場再び」)。
憲法改悪に邁進するおそれも感じます。彼は、私的に世界的財界人ビル・ゲイツやエマニュエル在日米国大使と親しい様子が写真で公表されています。今まで通りの、大企業・宗教組織・外国の干渉を受けた自民党政治の踏襲で、裏金・不正・棄民政治が続くのではないか、と思えてなりません。
井上達夫さん(法哲学者)は「(旧統一教会に)安倍はビデオメッセージ送ってるわけでしょ。自民党という組織がいかに国家的尊厳、政治的主体性、本来の保守の価値を全て捨ててる。保守はいない!保守の危機!保守は解体している」と保守の政治ではないことも指摘されています。
維新の馬場代表は「第二自由民主党でいい」、国民民主の玉木代表は「自由民主党のアクセル」と言い。有力な立憲代表候補、野田佳彦さん(2012年総選挙で、民主党議員を230議席から57議席人へ減らした元民主党代表)は、「安倍さんとの約束を守るため」との発言。これに対して「では、なぜ自民党ではなく、野党第一党に所属するのか?」というような声が上がりました。
また、野田さんが、2017年民進党(民主党後に改名した)が解消され、「希望の党」へ移行する際に排除された多くの議員たちを助ける動きも見えませんでした。排除された議員の受け皿となる党「立憲民主党」をつくったのは、枝野幸男さんでした。また今、野党第一党の数が増え、政権交代のチャンスが高まる中で、党内で代表に期待感が高まるという野田さんの立候補は、2度あることは3度あるのではないか、と逆に有権者からは、期待がしぼむ、という反応が目立ちます。
第33回で、立憲民主党を含む主要野党が「命(食・水・有害物質)・生活インフラ・重税など」生存が脅かされかねない、重要法案にさして抵抗なく、賛成していることから、「大政翼賛会、第二自民党だ」「マスコミ・主要メディア、ほとんどの政治家たちは、黙殺して、知らせないようにしている」というような声もあがっていました。
また、野田佳彦さんは、「小選挙区で与党に勝てるなら立憲候補をおろす可能性もある」ということなので、実際は、(政策に関係なく)、維新に合わせるのではないか? 「消費税廃止」を訴えたり、野田派に敵対したりする立憲の候補者は、公認されず、また排除され、大幅に議席を減らす可能性があるのではないか? と憶測してしまいます…。
小沢一郎さんが野田さんを代表に支援することが、驚きと困惑の反応にわきました。小沢さん事務所X(旧ツイッター)によると、野田さんを支援する決め手は、候補者の一本化で、政権交代を実現したいという考えが基のようです。「一番大切なのは政権交代への執念」だそうです。
しかし、有権者の間では野田さんが代表で、小泉進次郎さんに勝てるのか?と疑問がみられます。また、現実的な戦略の見えない「執念」という精神論で、どうにかなるとも思えません。本当の目的は、大きくなり政権交代の可能性が見えてきた立憲民主党を壊すことなのか?という声もあります。
自民党以外への投票数の方が多くても野党乱立で、組織力と資金のある自民党が有利になる、小選挙区制導入に尽力したのも小沢さんだったことを思い出します。
立憲民主党の代表選では、明確に自民党と対峙し、日本の不公平な税制(消費税など)を指摘し、庶民にも優しく豊かな日本を取り戻すことを訴えていた江田憲司さんが、期待されSNSでトレンドに上がっていました。泉房穂さんも「食品への消費税廃止」の点から江田さん推しで、鮫島さんも刷新感があり、自民党に対峙できる候補だとしていましたが、20人の推薦人を集められませんでした。
また、同様に消費税減税を訴える1期生議員の吉田はるみさんの推薦人名簿には、野田派と見られる議員たちの名前が散見されました。立憲議員の約60人が、消費税廃止/減少派にも関わらず、20人が集まらなかったことに、妨害する権威的な力が働いているのか、という憶測もあり、組織の膠着感が漂います。
白井聡さん(政治学者)はXで「江田氏が立候補すらできないとすれば、本当に深刻。日頃支持者向けには、減税を掲げない現執行部はダメ、とか言ってる議員さんたちはどこ行ったの? 口だけだったの?」とコメントしていました。
鮫島さんも財務省と近い野田さんと議員たちが、会合を重ねていたことを伝えていました。
テレビをはじめマスコミは、裏金や統一教会問題は忘れたように自民党総裁選を頻繁に派手に扱っています。民主党政権で消費税増税を推し進めて衆院選で大敗した野田佳彦さんの責任は何も無いように、それどころか持ち上げて報じています。
中国は、多党一党制ですが、日本でも複数の野党が自民党をアシストする二軍となっています。マスコミも、自公政権に都合が悪い問題や声をほとんど黙殺する傾向で、日本でも、盤石の多党一党制が築かれているように思えてなりません。
中国は、政府批判の表現の自由に厳しいですが、豪州滞在中国大使が「中国国民は、国が強く発展してほしいと考えている」と述べていました。国民がその理由(団結と外国の内政干渉を許さない)を理解し、結束しているように見えます。西側諸国では、イスラエル政府やワクチン批判の言論の規制が行われていることを考えれば、中国・ロシアの表現の規制を非難するのは、奇妙です。
なぜ減税を訴える議員は、黙殺されるのか?
自民党内で、減税や消費税廃止を訴える、強力な候補が妨害される様子を、自民党の青山繁晴さんが、次のように伝えていました。きっと、立憲民主党内でも同様だと推測します。
「『え、この人が、こう変わるのか』ということが次から次へと続きました。もはや何も驚きません。『青山さんをあくまでも大切な、絶対に欠かせない総裁選候補と思っていますが、ただ、私自身は○○にこう言われてしまいまして・・・』ありとあらゆる“しがらみ”を使って、自由民主党議員がわたしの推薦人にだけはならないようにする。
これは、減税を唯ひとり掲げる私が、総裁選の舞台に上がって、減税を言わない他のすべての候補と論戦すること、そのものを、絶対に阻止するという権力の意思だ。なるほど、こうやって出てくるんだ。私は『増税しない、まではどうにか言えても、減税だけは絶対に言えないんだなぁ。それが財務省とのお約束だ』と良く分かりました。…」
自民党でも立憲でも「減税を訴えない」+「対米追従」の議員たちが優遇されるという、二党一党制のシステムが出来上がっているようです。
森永卓郎さんなど多くの人々が、財務省真理教の支配ぶりを指摘していますが、想像を上回るものだと、今回の与野党の代表選で、可視化された感があります。
日本の財務省は、なぜ他の国の財務省が当たり前に行う積極財政をしないのか?なぜ、特に庶民に厳しい重税と高い社会保険料を課すのか?誰のためなのか?
第31回で記した中国で起きた文化大革命の際、最も自国の人々を激しく弾圧したのは、北京と上海のトップ中のトップ大学の大学生たちだったと、指摘されています。これは、自分たちは優れているという優性思想が芽生え、危険な方向に向かう可能性を示しているのかもしれません。
米国で戦時中に生まれた、天文科学者カール・サガンさんの著著「悪魔にとりつかれた社会」の言葉が、今の社会を説明していると言われます。例えば日本の税制は不公平で弱い人々に厳しく、消費税(インボイス税制を含む)は他国と比べて庶民や非正規・フリーランス・中小企業に厳しいのは明らかですが(第23回)ほとんどの政治家や財務官僚は、それを頑固に認めようとせず、それどころか、もっと厳しくしようとしています。
サガンさんは「歴史の最も悲しい教訓のひとつは長い間、だまされてきたら、その騙しの証拠を否定する傾向がある。だまされていることを認めるのはあまりにも辛いことです。もはや真実を知ろうと思わない。一度、ペテン師に自分を支配する力を与えてしまうと、その力を取り戻すことはほとんど不可能です。科学は精神性と両立するだけでなく、精神性の深遠な源でもあります」と伝えます。
ならば、簡単ではないですが、やはり泉房穂さんの主張「(システムに組み込まれた)国会議員の総入れ替え」は、大袈裟ではなく必要なことかもしれない、主要官僚のポジションの入れ替え、日米合同委員会の在り方も変えないと、日本の政治を変えられないと感じます…。
民意を反映しない硬直した、二党一党制や多党一党制は、他の民主主義の国々でも問題で、「誰のために政治をしているのか」という不満や苦悩する人々の意見が飛び交い、抗議が起こっています。これらから、何を企んでいるのか?の予想がよりはっきりとしてくるのでは、と思います。長くなるので、今回はこの辺でペンを置きます。
10月末前後に、国政選挙があると予想されています。政権交代で日本の政治浄化とリセットが必要だと思う人々は多いと思います。代表選が繰り広げられている間も、実りのある政権交代実現のために「国民みんなのためチーム」の輪が早急に広がりますように…。
冒頭の写真は、「現代アートの女王」「水玉の女王」と世界にインパクトを与えている草間彌生さん作品「Flowers that Bloom in the Cosmos 2022」です。シドニー湾の畔に飾られ、大きくカラフルな作品が街の雰囲気を明るくしてくれます。
今滝 美紀(Miki Imataki) オーストラリア在住。 シドニー大学教育学修士、シドニー工科大学外国語教授過程終了。中学校保健体育教員、小学校教員、日本語教師等を経て早期退職。ジェネレーションX. 誰もがもっと楽しく生きやすい社会になるはず。オーストラリアから政治やあれこれを雑多にお届けします。写真は、ホストファミリーとグレートオーストラリアン湾の沖合で釣りをした思い出です。