前回は「世界で一番“ひどい”ことは」で、主に、と言われることを書きました。歴史的に日本を含む世界で「ひどい」ことが起こっていました。第二次世界大戦後、世界は平和を誓い合ったと、思っていましたが、数々の「ひどい」戦争は続いています。
目を背けたくなるパレスチナ・ガザで進む「大量虐殺だ」「戦争犯罪だ」と言われる状況を取り上げたのは、これ見過ごしたり、許したりすると、レベルが違っても、庶民を苦しめる政治が、世界で増々広がり「ひどく」なるのではないか、という思いからです。
世界で強い抗議やデモが続いているのは、そのせいでしょう。パレスチナ・ガザ問題は、日本と豪州、他国の政治家やメディアの捉え方に温度差があるように感じました。
日本でも最近、年金制度改正・米や農業・外国人優遇のように与野党共謀で色々な点において急速に、“日本衰退・庶民いじめ”のような政策が行われているようです。
これは、国民に気づかれないように仕組まれた、深刻な問題点のためではないか?と思うようになりました。
「ひどい」ことをさせる事、許す事は?
旧約聖書(イスラム教の経典で著者と事実性は不明)の「アマレク」の物語を聞いたことがありますか?
日本では、「陰謀論だ」と言われそうですが、豪州では事実として、“イスラエルの人々にパレスチナの人々に対する態度”に大きな影響を与えていると豪州ABCで報道されました。日本国憲法で「何人も法の前で平等だ」と教わってきた日本で生まれて育った私には、信じられない考え方の社会があるのだと、驚きました。
日本に、最も影響を与えている国はアメリカであり、米国の国会議員に多大な影響を与えているのはイスラエル・ロビーであり、イスラエルとの二重国籍の国会議員が多いと言われている事をかつて書きました。アメリカの在日大使だったエマニュエルさんもユダヤ系米国人です。(ちなみに、豪州では二重国籍では、国会議員に立候補することはできません)。日本でもほとんどがイスラエルを強く非難しない国会議員が占めるのもこれらが関係しているのかもしれません。
国民受けする言葉とは裏腹に何十年も、国民の大多数を占める庶民に「ひどい」棄民政治が行われてきました。また日本は先進国の中でも珍しく衰退する政治が行われています。これを「敵利政治」という人もいます。その根本原因の一つが、「アマレク」の思想に関連しているのではないかと思うようになりました。
豪州で感じたのは、世界各国の多くの人々にとって宗教は大きな位置を占めて、宗教が政治に利用され、「ひどい」ことが起こっているのではないか?ということです。日本では、もともと人々が調和して善い社会のために宗教がありましたが、他国では、自己利益のたに使われる一面があります。そして日本では今、社会に悪影響を及ぼした統一教会関係の問題が今も明らかにされず、くすぶり続きます。
アマレクとは~旧約聖書(ユダヤ教経典)が伝えていること~
前置きが長くなりましたが、Holy Bibleは「聖書」と日本語では訳されますが、英語のBibleを英英辞典(ケンブリッジ)で調べると、「ユダヤ教の律法・預言者・著書」という意味もあります。また、Holyは、「宗教や神に関わる」という意味で「聖」という言葉は、より神聖なイメージを与えようとする意図を感じます。しかし、旧約聖書の内容には、残酷で身勝手な内容もあるともよくききます。
なぜ、今でも“アマレク(Amalek)の物語”がイスラエルに意味をもつのか?
豪州ABC記事を基に書きたいと思います。
アマレクの物語をイスラエルのネタニヤフ首相はよく引用し、これについて国連国際司法裁判所(ICJ)における南アフリカによるイスラエルの訴訟で取り上げられ注目されました。アパルトヘイトを経験した南アフリカは、イスラエルがガザで多くの命を奪っていると、強く非難しました。
アマレク人は、古代パレスチナの遊牧民族でイスラエル民族の敵とみなされていたそうです。ユダヤ人のサウル王は、神から「子供、赤ちゃん、動物、男性、女性、すべての人々を含むアマレク人を完全に絶滅させるように命じられた」けれど、達成せず、それどころかサウル王はアマレク人の王アガグとともに、最良の動物たちを救ったそうです。サウル王が神の教え「アマレク人を完全に絶滅させるように命じられた」ことを遂行しなかったことが、戒められています。
この物語は毎年ユダヤ教の祭日であるプリムの前に語り継がれるため、イスラエルでは今でもよく知られているそうです。また、豪州ABCはイスラエルでの5月26日エルサレムの日(1967年の第三次中東戦争でイスラエルが東エルサレムを占領したことを記念する日で、毎年祝われます)の様子を報道しました。この日、ユダヤ人たちはイスラエル国旗を掲げて市内を行進し、ユダヤ教の聖地である嘆きの壁に向かうのが一般的です。特に国家主義的ユダヤ人たちがエルサレムの旧市街を「アラブに死を」などと叫びながらの行進は、パレスチナ人やイスラム教徒の感情を逆なでし、挑発的な行動と捉えられています。一部の行進参加者は、パレスチナ人や取材記者らに侮辱的暴力を振るうなどの問題の様子。パレスチナ侵攻強硬派で知られるベン-グヴィル国家安全保障大臣が民衆に囲まれ称えられている映像が報道されました。(こちら参照)
アマレクの物語の解釈は「サウル王がアマレクを完全に滅ぼすことに失敗したために、ハマンの時代にユダヤ人がほぼ滅ぼされたという物語が生まれた」「それはまるで『本当に注意を払う必要がある、それが教訓だ』」というようなものです。
ネタニヤフ首相は、2023年10月28日の記者会見で「アマレクがあなたたちに何をしたか忘れてはならない、と聖書は言っている。そして我々は覚えている」と語り、また11月3日にはイスラエルの兵士と将校に送った手紙の中で再びアマレクについて触れたそうです。
南アフリカは、国際司法裁判所に提出した書類の中で、これらの事例を「イスラエル政府当局者らによるパレスチナ人に対する大量虐殺の意図の表明」として提出しました。そして、国際司法裁判所は、イスラエルがガザで大量虐殺行為に関与したという南アフリカの説得力のある主張を認める判決を下しました。
オメル教授によれば、パレスチナ人を表すのに「アマレク」という言葉が使われるのは決して新しいことではなく「1980年代には、イスラエルとユダヤ人の敵であり悪の典型であるアマレクの概念をパレスチナ人を表現するために用いたラビ(ユダヤ教指導者)がいた」「以前は過激派が使用していたが、年月を経て(アマレクの思想は)主流派に移行した」と指摘します。
パレスチナ攻撃が始まった2023年11月、イスラエルのヒップホップのアーティストの曲”Harbu Darbu(敵に地獄の雨を降らせる)”の中でもアマレクが使われています。「我々は全軍をあなた方に対して投入した。アマレクの子らよ、決して許さないと誓う」という歌詞が歌われています。この曲はイスラエルでチャートのトップに立ちました。
以上がABCの記事を基にした説明です。
アルジャリーラが”Harbu Darbu(敵に地獄の雨を降らせる)”がどのようにして、イスラエルの音楽チャートで数週間トップを維持したかという様子をツイートをしていました。クリエーターの中には、戦いの雄叫びに合わせて踊る者もいれば、空想の銃を構えて激しい歌詞を口パクする者もいるそうです。
このニュースでは、「法の下の平等」が正しいと教わり、信じてきた私にとっては、世界には、考え方が全く違う、別社会が存在するのだ、ということに驚きました。
旧約聖書で(ユダヤ教の経典)では、ヨシュア記(The book of Joshua)でも同様に物議のある記載があるそうです。ユダヤ人のヨシュアが「カナンの地」(現在のパレスチナ占領地付近は「乳と蜜の流れる場所」と言われ、神がアブラハムの子孫に与えるとしたことから、約束の地とも呼ばれる)のカナン人(ユダヤ人と区別される)を根絶し追放する物語です。そのために、嘘、略奪、命を奪うという不道徳な内容があるそうです。この内容は新約聖書(キリスト教の経典)には、ありません。これは史実ではなく、誇張されたプロパガンダで、ユダヤ人を励ますために描かれたものではないか、という専門家たちの見方があるそうです。(こちら参照)
また旧約聖書の出エジプト記では、カンナの住民は単に「消える」と想定され、時間の経過とともに少しずつ消えていくという解釈もあるそうです。
アマレクの物語とヨシュア記を基に、現在実際にパレスチナで、その内容が実行に移され、大イスラエル構想で領土を広げているとしたら、それが世界に別の手段で広がっているとしたらどうでしょうか…。
長い歴史の中で、世界では覇権争いが繰り返されてきました。グローバル化・移民問題による先進国での混乱・デジタルIDでの管理強化・SNS等表現と言論の自由規制が進められている今、そのようなことが起こらないように、声を上げる人々が世界で増えているのではないでしょうか。
また、よく耳にする「ノアの方舟」は旧約聖書の話で、神が人類が堕落し、罪深い状態になったため、神は洪水によって地上を滅ぼすことを決めます。そこで、「選ばれし民」として、ノアとその家族を選び、ノアに方舟を作らせます。洪水が来ると、方舟に乗ったノアと家族、動物たちだけが生き残り、新しい世界ができる、という話も、SNSで現在の状況と比較して話題になっていました。ノアの方舟の物語は、優性思想につながるのではないか、と想起しました。
豪州ABCの報道によると、実際に2024年7月には、イスラエル兵士が拘束するパレスチナ人を刑務所で集団虐待し、取り調べを受けることになりました。しかし、国際法違反の疑いがあるにも関わらず、多くのイスラエルの人々は、暴行したイスラエル兵士をかばい、罪に問わないように、過激なデモが起こりました。イスラエルのスモトリッチ財務大臣は「イスラエル兵士はヒーローだ。国のためにしていることで、咎められてはいけない」と擁護していました。(こちら参照)
ユダヤ人民政策研究所の世論調査によると、トランプ大統領が提案した、ガザのパレスチナ人をエジプトとヨルダンに移住させる計画、言い換えると先住民を大規模に故郷から永久に追い出し、入植者が彼らの領土を主張できるようにすることを「イスラエルのユダヤ系住民の10人中8人以上が支持している」そうです。また、ユダヤ系イスラエル人の間では、道徳的な理由からこれを反対する人はわずか3%だったそうです。
イスラエルでも、ネタニヤフ政府への大きな抗議は続き国民の70%が終戦を望んでいるそうです。イスラエルがガザから完全撤退し紛争を停止することになっても、ハマスとの合意を成立させ、戦争を終結させ、人質全員を解放するよう求めています。しかし、それは主に捕らえられているイスラエル人捕虜の解放のために、パレスチナ侵攻に反対するもので、パレスチナ人への虐殺や戦争犯罪でに対しではないようです。(こちら参照)
イスラエルでは、閉ざされた社会の中で、メディアやSNSが規制され、ほぼ若者全員が徴兵され、特別の教育が行われているためではないか、と推測します。
統一教会との共通性
そして、「アマレク」の話から想起したのが日本では、統一教会系の問題です。統一教会の背後にあるものはわかりませんが、霊感ビジネスで高額な支払いや寄付での被害だけではない重要な問題点があります。
統一教会はキリスト教系の新宗で教祖は文鮮明。SNSでは、文鮮明が日本を民族差別しているような発言を目にします。
例えば文鮮明が日本人信者と思われる人々に「日本に住んでいる君たちは、悪い人?いい人?」「悪い人」という会話のやり取りが行われていたというビデオ。
また「日本は危険な民族だから『産児制限』しなきゃならん。…女も50年経てばみんな亡くなってるんです。日本は絶滅して一世紀以内にきれいに無くなるんです」と話すビデオ。
元統一教会幹部の阿部さん「日本が献金を全うできなければ日本は滅びる」という教えがあったというインタビュー。
文春によると、統一教会から約4500億円が、なぜか北朝鮮へ送られことが、米国防省の調査文書ペンタゴンペーパーに記されていたことも報じられています。統一教会へ日本から多くの献金がされ、これは北朝鮮の軍事費に使われたのではないかとも推測されています。原口一博代議士によると日本国会での質疑で自公政権は、事実かどうかの返答をしなかったそうです。
これらが事実なら、宗教の名の下にパレスチナ人を「アマレクだ」というネタニヤフ首相と隣国の「日本人を悪い民族だ」と教えを説く文鮮明は、宗教を利用した同様の手法で、自己利益のために隣の民族を攻撃しているように見えます。
また、原口一博さんによると、毎日新聞が文鮮明氏は1989年に韓国での説教で「日本の国会内に教会をつくる。国会議員の秘書を輩出する。…地方にもこのような関係強化をすすめる」と発言したと報道したそうです(こちら参照)。また「自民党と統一教会の抜き差しならない関係を隠すことなく語った極めて重大な発言です。もはや議員個人の関与とは、次元のことなる自民党全体の疑惑ではありませんか。政府および自民党にはこの問題を徹底的に調査し、全容を解明し国民に明らかにする責任があります。内閣官房長官の答弁を求めます」という質問が国会本会議の記録にあるそうです。
安倍元総理やトランプ大統領が統一教会系の集会へメッセージを送る様子の報道も目にしました(こちら参照)。また、文鮮明の妻で「真のお母様」と呼ばれる韓鶴子が「「岸田たち政治家を呼びつけて教育を受けさせなさい」と発言し「韓鶴子氏の発言についてコメントを差し控える」と弱腰だったのが松野博一、日本の官房長官で毅然とした態度で言い返す意思など欠片もなかったーーという報道やSNSもありました。(こちら参照)
これらが、本当で、統一教会の指示に従い、自民党政権が長年日本を衰退させる政治を行っているとしたら、議員や多くの秘書たちが統一教会系組織に深く関与していたら、議員たちは多くの弱みを握られ、切るに切れない関係があるかもしれない。そう考えると腑に落ちます。
また前回の2024年の自民党総裁選挙の候補者全員は、統一教会の再調査を行うという、候補は誰一人としておらず、選挙でも語られることがなかったようです。(こちら参照)
鮫島さんも2022年に「この国の恐るべき問題点」として「自民党と統一教会『何が問題かわからない』という福田達夫発言統一教会と政治」について伝える記事で「近年の政治モラル崩壊を象徴する発言」と解説しました。
北朝鮮からのミサイル攻撃を「脅威だ」と言う日本の政治家たちは、表では北朝鮮と敵対します。統一教会系と言われる共勝連合(共産主義に勝つという組織)も北朝鮮(共産主義的だと思われる)に敵対したポーズを取ります。しかし、日本からの寄付金を統一教会系組織が北朝鮮へ送り、軍事援助に使用されているとしたら。日本の政治家はこれを黙認し、統一教会系組織と繋がっているなら、ここでも嘘や騙しのマッチポンプ茶番劇が平気で行われ、国民を欺こうとしているのか?と思えてきます。
ストップ「加速、日本衰退政治」
善い日本人の多くは、政治家たちは不道徳で、自己利益のために、外国の誰かのために政治をしているなんて思いもしないでしょう。統一教会問題を主要メディアも多くの政治家たちも大きく取り上げるのを止めているようです。
陰謀論ではなく「アマレクの物語」、ガザ・パレスチナとイスラエル、中東で起こる様子を見ながら、宗教利用問題はモラル崩壊する政治と社会の根本的原因の一つで、明らかにして解決しなくてはいけない、裏金議員同様に宗教に悪用されているような議員は総入れ替えしなければ日本は変わらないのではないか、と考えさせられました。
衆参同時選挙の可能性もあるようです。ストップ「加速、日本衰退政治」のためにも、これらの政治家の一掃が進むことを願いながら、書きました。
冒頭の写真は、今年の干支「巳へび」と去年の「辰たつ」が舞う様子をシドニーの街角の壁画で見つけたものです。

今滝 美紀(Miki Imataki) オーストラリア在住。 シドニー大学教育学修士、シドニー工科大学外国語教授過程終了。中学校保健体育教員、小学校教員、日本語教師等を経て早期退職。ジェネレーションX. 誰もがもっと楽しく生きやすい社会になるはず。オーストラリアから政治やあれこれを雑多にお届けします。写真は、ホームステイ先のグレート オーストラリアン湾の沖合で釣りをした思い出です。