オーストラリアでの生活で、大きな日本との違いで気づいた事の一つに、日本では”陰謀論”だと思われがちな事が、豪州や西側諸国では事実として知られていることでした。それは“悪魔的”児童虐待(性的を含む)”“小児性愛”的なことが社会の中で認識され、存在しているという事です。これは、今年私が最も驚いた事実の一つでした。
私は“悪魔的”儀式や行為は映画や架空の世界のことだと思っていました。日本では、一般的に私のように「うぶ」な人々が多いのではないでしょうか。日本では、過激で刺激が強いからか、または悪影響を避けるためか、警察や主要メディアは、これらの問題をほとんど報道しないからかもしれません。
私は、日本で、「ジャーニー喜多川氏の少年たちへの性の虐待疑惑」が浮上するまで(第4回)子どもたちへの性的虐待問題に触れたことがありませんでした。私の知る日本の文化や社会では、考えられない事でした。読者の皆さんは、どうでしょうか?
そして、これらから想起したのは、日本では9歳以下や10代の子どもたちや若者が、年間約2万人も消失しているという報告でした。(こちら参照)それにもかかわらず、それを追跡した警察や主要メディアの報道に私は触れたことがありません。まるで、タブーのような、触れてはいけない領域なのか?なぜ、何処に消えてしまったのか?と疑問を感じました。
豪州では、この12月始めに警察が、シドニー郊外で活動していたとされる「国際的な“悪魔的”児童性的虐待物資密売組織を摘発した」と大々的に報道されました。
また、現在オーストラリアでは、保育園や幼稚園における、閉ざされた場での小児性愛者の職員による、子どもたへの虐待(性的を含む)も問題となっており、豪州ABCの追跡によりドキュメンタリー番組「Hunting ground(狩猟場)」が報道されたばかりでした。(詳しくはこちら)
法医学心理学者のバーク博士(Dr Michael Bourke) は、警察・CIA・FBIと協力して児童虐待の犯罪者を分析してきました。博士は番組で次のようなというアドバイスを投げかけました。
「こうした犯罪は、うぶな人々と秘密主義の中で蔓延します。無知という闇の中で起こる犯罪なのです」
「人々は性犯罪者のことを考えたくありません。最も弱い立場の人々が危険にさらされていることを考えたくもないのです。しかし、その無知と沈黙、そしてこの世界に足を踏み入れ、ありのままの姿を見ることを拒否する姿勢こそが、性犯罪者たちがほとんど罰されることなく犯行に及ぶことを許し、彼らを大胆にさせているのです」
「ダチョウのように頭を砂に突っ込んで、ただ裏庭で起きないことを願うだけでは何もうまくいきません。現実は裏庭で起きているのです」
日本にも、多種多様な国々から移住者が増えているので、日本で今まで馴染みがなかったこれらの問題の予防的な意味で、起こらないことを願い、書き留めておきたいと思います。
ジャーニー喜多川さんは、日本人でありながら、米国ロサンゼルス生まれ、そこでの高校を卒業し、米軍として従軍し、その後、日本では米国大使館軍事援助顧問団の職員として勤務したようで、西側の文化に浸っていたことが予測されます。
「悪魔崇拝」や「性の虐待」については、シリーズとして47回「ジャニーズ性疑惑より怖い?真夏の政治怪談。本当なの?」、51回「政治を動かしているものはハニートラップ? そこから見えてくることは?『私は誰の少女ではない』が語ることから~」で書いてきました。
豪州ABCによると、警察はシドニー郊外で活動していたとされる国際的な「悪魔的」児童性的虐待物資密売組織を摘発したとし、シドニー在住の男性4人が、「儀式的かつ悪魔的」と評する児童虐待画像の所持と外国に拠点を置くウェブサイトを利用しての配布の罪で起訴されたと発表しました。
性犯罪班のジェーン・ドハティ司令官は、警察は先週の捜索で押収した機器の中にこれまでに数千枚の「忌まわしい」画像を発見したと次のように報告しました。
「警察は法廷で、この国際グループが、悪魔主義やオカルトと関連するシンボルや儀式を伴う児童虐待や子供の拷問を描写した会話や資料の共有を行っていたと主張するでしょう」
「また、警察は法廷で、これらの機器の初期検査で、5歳から12歳までの生きた児童に対する虐待を描写した数千本のビデオが発見されたと主張するでしょう」
「これらの嘆かわしい画像の中には、動物への性的虐待を描いたビデオも数多く含まれていました」
以上が事件の内容です。今後の捜査や裁判の行方が注目されます。
悪魔主義はプロパガンダでも陰謀論でもない、事実。
≪突然放送された悪魔の儀式≫
2011年豪州ABC(NHK相当)で、ニュースの合間に突然、”悪魔の儀式” と「悪魔万歳」と叫ぶ黒いローブを着た男性の映像が報道されたことが、TikTokで米国でも拡散され「何を意味するのか?」と論争が広がりました。(こちらその映像20秒辺りから)
豪州ABCは、これについての記事を出しました。それによると、司会者イヴォニー・ヨン氏は、この映像はその夜早く放送されていた悪魔教会に関するニュースの一部だとツイートしました。この映像は、学校での悪魔主義教育を推進するオーストラリアの団体 ”ヌーサ・テンプル・オブ・サタン(ヌーサ悪魔寺院)” のものです、と説明していました。
大学で過激派の研究をするルース氏の次の発言を取り上げていました。
ルース氏は「リベラルなエリートによる悪魔崇拝のカルトや陰謀団が存在し、児童を虐待しているというのが、現代の陰謀論の核心だ」また「TikTokを陰謀論の媒介だ」と非難していました。
以上が記事の内容です。(こちら参照)
しかし、前述したシドニーでの警察による「国際的な“悪魔的”児童性的虐待物資密売組織を摘発」の報告によると、「陰謀論ではなく事実である」という事が証明されたのではないでしょうか。
≪ロシアでの「悪魔主義の公式禁止」≫
7月にロシアが発表し批判した悪魔主義の存在は、程度は明らかではないものの事実だという事が明らかになりました。ロシアは「悪魔主義を公式に禁止した」という日本や西側では報道されていないニュースは、大げさではなく、人々を守るための理にかなったことのように見えます。
タス通信は、悪魔崇拝者による人間や動物の儀式的な殺害や、埋葬地や死体の冒涜が多数報告されていると発表し、アナリストの「悪魔崇拝者の典型的な犯罪は、儀式的な人間殺害(1993年以降約300人)や動物(特に猫)殺害、人食、強姦、埋葬地や遺体の冒涜、宗教的理由による憎悪煽動などである」との報告も伝えていました。
≪国際悪魔教会≫
47回で書いた、“悪魔教会”や“悪魔主義”という存在は、豪州でも報道され、周囲にきくとその存在は一般的に知られています。豪州ABC(NHK相当)は、悪魔宗教の関係者によると、現代の悪魔主義(サタニズム)における悪魔(サタン)、悪魔主義者(サタニスト)が崇拝する特定のものは、自由・知識・力だとしながらも肉体的で、快楽の象徴として機能している、と伝えました。また悪魔主義は「肉欲的、物質的」「弱肉強食」というより広い文脈で捉えられる必要がると伝えられています。
これらから、性的虐待や優性思想が関連しているのでしょうか?
≪悪魔主義的芸術≫
また前述のタス通信が、国際悪魔主義運動(ISM:The international Satanism movement )の禁止は、悪魔的シンボルにも適用され、悪魔主義運動は、「主にホラー映画にストーリー展開を加えることで、文化に最小限かつ非常に物議を醸す貢献を果たしてきた」と伝えているように、映画や私たちの身近な日常、例えば音楽や芸術の中にもみられます。
冒頭の写真は、世界的に人気のロックバンド、左からKiss(キス)、Guns N’ Roses(ガンズ・アンド・ローゼス、Iron Maiden(アイロン・メイデン)がオーストラリアツアーを記念したポスターです。ハードな音楽の中にもバラードもあり私も好きな曲がありますが、そのファッションやデザインからは、悪魔主義的な雰囲気が漂っているのではないか、と感じてしまいます。
芸術の世界、アートではより残虐的表現が見られるようです。
マリーナ・アブラモヴィッチ氏( Marina Abramovic)は代表的な一人でしょう。
「悪魔主義だ」いや「芸術だ」という彼女の作品は物議を醸し出しているようですが、主要メディアは擁護し、支持する人々もいます。Brian Decoded さんは、Xに「彼女のパフォーマンス儀式“スピリット・クッキング(Spirit Cooking)” は悪魔崇拝の技だと主張する人もいます。主流メディアは彼女を擁護し、芸術と称しています」と投稿し、彼女の作品を連投で紹介していました。私は個人的には、彼女の作品に、芸術と言うより嫌悪感を感じました。(※作品に不快を感じるかもしれないので、閲覧にご注意ください)
また、彼女が有力政治家と関わりがあることも、憶測を呼んでいます。彼女は、この11月に東京を訪れ、ヒラリー・クリントン氏と会っていたことが話題になっていました。(こちら参照)
児童虐待の歴史や宗教と関わりは?
一神教を崇拝する宗教で、児童虐待を想起させられることもあります。
ユダヤ教の旧約聖書『創世記』にあるアブラハムの物語「イサクの犠牲(燔祭)」は、神がアブラハムに愛する一人息子イサクを生贄として捧げるよう命じます。
アブラハムは従順にモリヤ山へ向かい、イサクを縛って祭壇に横たえ、剣を振り下ろそうとしますが、その寸前で天使が「その子に手を下すな」と呼び止め、代わりに茂みにとらわれた、角のある雄羊を生贄にしたという物語です。この出来事を通じて、アブラハムの揺るぎない神への信仰が試され、神への絶対的な信頼が示されたそうです。
キリスト教でも、閉ざされた空間である教会内での、牧師の児童への性的虐待の事件は、多く報道されました。
イスラム教では、子どもとの結婚が許されている国もあるとききます。
歴史や宗教的な流れから、現在も悪魔崇拝や児童虐待の風習が脈々と続いているのか?という疑問が湧きます。
日本では、起こらないように…
日本では「子は宝」「千の倉より子は宝」「子に過ぎたる宝無し」というように、子どもたちは、宝であり、大切に育てようという風習があるのではないでしょうか。
今も明らかにされていないエプスタイン事件(連載47回と51回)では、若者や子供の性的人身売買と政治家や著名人との関わりの疑惑が、世界的な問題となっています。
また、西側諸国では、分別のつかない子どもたちに性転換を進める行為が問題になっています。シドニーの公立図書館で”性転換の子供向けの本”が置いてあり、苦情が出ましたが州知事は両親の判断だとし、非難を受け入れませんでした。私は、性の差別には反対ですし、性の自由も認められるべきだと思いますが、知識のない子どもたちに、危険を伴い、後戻りできない性転換手術をすすめたり、受け入れさせるのは、虐待にならないのか?と疑問を感じました。
悪魔崇拝や子どもたちへの虐待(性的を含む)は、社会の退廃を感じさせられます。世界はグローバル化していますが、このような子どもたちを傷つけ、犠牲にする文化がもともと、ほとんど見られなかった日本やアジアの国々では、広がってほしくない、そういう思いで今回のコラムを書きました。
そのためにも、警察や主要メディアは、日本で消失する年に約2万人もの子どもたちや若者の行方やその理由を追跡し、明らかにし、報告して欲しいと改めて強く感じました。

今滝 美紀(Miki Imataki) オーストラリア在住。 シドニー大学教育学修士、シドニー工科大学外国語教授過程終了。中学校保健体育教員、小学校教員、日本語教師等を経て早期退職。ジェネレーションX. 誰もがもっと楽しく生きやすい社会になるはず。オーストラリアから政治やあれこれを雑多にお届けします。写真は、ホストファミリーとグレートオーストラリアン湾の沖合で釣りをした思い出です。