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こちらアイスランド(20)最古の石造りの教会の中は意外にポップでカラフルだった〜小倉悠加

アイスランド最古といわれる石造りの教会Þingeyrarkirkja(シンゲイラルキルキャ)。北西部Þingeyrar(シンゲイラル)という農場の土地にある。先日、思いがけなくその教会を訪れた。

石造の外観は重厚で、ふたつと同じ形のない天然の石の組み合わせは端正で、とてもおしゃれにも見える。建造物としては決して大きくはないが、アイスランドの人口規模、それも小さな村落しかない地域の集会場、社交場としては十分な大きさだ。

それまでの教会といえば、草葺き屋根が主流で、この地の以前の教会も草葺であったという。アイスランド初となるこの石造りの建造物は1877年に完成し、ロマネスク仕様となっている。以前の教会にあったものはこの教会に移されたため、歴史を刻む貴重な品の中には、13世紀に作られた雪花石膏の祭壇画や、17世紀のものと推定されるオランダ製の説教台などがあり、その他現地の名士から送られた銀製の洗礼盤などがある。

教会の内部は思いの他カラフル(2021年6月撮影)

木製のドアを開けて中に入ると、外観の重厚さに相反して、とても明るくポップな印象だ。そして可愛らしい。宗教建造物、それも歴史あるものに対してそぐわない表現ではあるが、思いの外・・・かわいい❤️

まずは中央に敷かれた祭壇へと続くカーペット。北欧らしい温かみのある色使いとデザインで、青草を思わせる緑のイスとのコントラストが映える。周囲の壁は清潔感のある白塗りで、祭壇や石画などの周囲の色彩を美しく引き立てる。天井には金色の星が輝き、まるで夜空の星と青い空が合体したかのよう。ドアから祭壇まで10メートルあるかないかではあるが、窮屈な感じは全くないし、窓の前にあるベンチに座るとなぜかほっとする。

祭壇の石絵(2003年撮影)
全体の感じもほぼ普遍(2003年撮影)

祭壇の前あたりからコーラス隊の定位置である2階を見上げると、そこにはカラフルな12使徒像が。そしてもう一段高い位置に陣取るのは、もちろん親分のキリストだ。彼らは私たちを見下ろすように立っている。もしかしてある種のヒエラルキーを象徴してたりして?ちなみにこれらはレプリカで、オリジナルは現在アイスランド国立博物館にある。

誰がこんなにかわいく、カラフルで、心地のいいカラー・コーディネーションをしたのだろう?最初からこれほどカラフルだったのか、それとも何かの成り行きでそうなっていったのか。外観の石造に関しては、石使いの名手と言われたSverrir Runólfsson(スヴェリルル・ルノゥルフソン)が手がけたそうだ。

パっと見には12使徒とは思えないカラフルさ!

この教会の建造には地元の農民であり、国会議員でもあったÁsgeir Einarsson (アウスゲイル・エイナルソン1809–1885)が大きく関わった。外観の石は全て、1864年から13年の歳月をかけて農場の土地が面するホゥプ潟湖の対岸から石を切り出して運んだという。冬に湖が凍ると、ソリで石を運んだとう。なるほど、湖の周囲の道伝いに運ぶより、直線距離、それも摩擦の少ない凍った湖を利用するとは頭がいい。

という石造に関する記述は見つけたが、内装に関わる情報を私は持っていない。ネット時代だ、きっと検索すれば出てくるだろうと思ったのが甘かった。次に見学する機会があれば、ぜひ内装の関してを尋ねてみたい。

山や湖に囲まれた風光明媚な立地。木材が貴重な時代によく流木が流れ着いたという。

ちなみにここは地域の中心的な役割を果たしていたようで、Vatnsdælasagaというサガは、12世紀にシンゲイラルで筆記されたと言われている。

教会内部を見学したい場合は、夏の間のみ教会横のビジター・センターに人が常駐している。ビジターセンターのサイトはこちら。

そして、今回なぜここを訪れることになったのかという裏話は次回に続く。

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小倉悠加(おぐら・ゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。アイスランド政府外郭団体UTON公認アイスランド音楽大使。一言で表せる肩書きがなく、アイスランド在住メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、カーペンターズ研究家等を仕事に応じて使い分けている。アイスランドとの出会いは2003年。アイスランド専門音楽レーベル・ショップを設立。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。アイスランドと日本の文化の架け橋として現地新聞に大きく取り上げられる存在に。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。