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こちらアイスランド(104)疲れた心に効く!静寂が暖かく宿る冬の情景〜小倉悠加

人間の身体は環境に適応するという。今年の冬は寒く感じず、てっきり私の身体が適応能力を発揮して脂肪をたっぷりと蓄えたのか(そのように見えるし)と思っていた。

ところが12月を迎えると、先月の11月はアイスランド有史以来の暖冬だったとの報道。だよね〜、日中が5度以上になった日が多く、朝方零下まで落ちた日はほんの数日だった覚えが。まして雪や雹の日はゼロ。私の脂肪増加の寄与も否定できないけれど、やはり気温自体が高かった。

そんなレイキャビクにやっと本格的な冬が訪れ始めた。さすがに師走の声を聞くと、アイスランドの冬も焦るのか。

通学路の情景がとても美しかったので、SAMEJIMA TIMESの読者のみなさんにお裾分け。日本の政局の話に疲れた読者の心に効くかとーーー。

2022年12月5日、期末試験二教科目、太陽の顔を見たのは午前11時20分だった

試験が終わっての帰り道。15時はもう日没だ。この時期は朝焼けが終わらないうちに夕焼けになる。ちなみに一年で日照が一番短いのはクリスマス前の12月20日ごろになる。今年は12月21日の日照が最も短く、日の出から日の入りまで4時間7分9秒(このサイトを参照)。午前11時半まで日が昇らないのは、いまだに本当に慣れない。

こちらは夕焼けで、15時40分撮影のチョルトニン湖。静かで、平和で、穏やかさに満ちていた
こちらはチョルトニン湖の南端。肉眼での空はピンク色。画面でもそう見えてるかな?

銅像にも霜が下りて凍りつく。顔だけを見れば、汗をかいているように見えなくもない

寒くなった途端、天気も安定していい感じだ。気温は低くても、風さえなければ外にいてもしばらくの間は耐えられる。そして何よりも、静寂なのに暖かい。それは朝焼けとか夕焼けの赤っぽい空の色のせいなのか、シンとした静寂の中も力強い生命の息遣いを感じるからなのか。単なる私の心持ちのせいなのか。

通学路を投稿しようと思っていると、郊外に出る機会を得た。そこにもアイスランドらしい冬景色が広がっていたので、郊外の様子も少し。

レイキャビク近郊は雨も雪も降っていないけれど、草木はきれいに霜化粧。しっかりと霜が下りた道を走ると、霜の結晶がキラキラと輝き、まるで「見て、見て〜、きれいでしょう!」と語りかけてくるよう。カッチリとした霜の結晶を抱いた草木には、夏とは違う華やかさが宿る。

なーんもない場所で、つまんないかと思ったら、逆にそれがよかった感じ?

次にドライブの機会を得た時は、日の出前に出発した。といっても10時ごろだけどね。それにしても私は本当に何もない場所が好きだ!何もないというのは嘘で、山や川、湖、右溶岩ゴロゴロ、滝、などが常にある。ところで、何もない空間というのは理論的にあるんだろうか???と、時々変なことを私は考える。

そして通ったのが、ランギヨークトルという細長い氷河と、氷河の称号を失ったオーク(Ok)という山の間を走る道のカルディダルル(Kaldidalur)。冬は道路交通局が整備していないし、状況も把握していない。それでもよければ自己責任でどうぞという道。通ると道路にダメージが加わる場合は(特にぬかるむ時期)は通行止めにされる。

通行止め(Lokað)の道を通るのは違法だけれど、通行不能(Ófært)の場合は自己責任通行。紛らわしい!そして我々の自己ルールは常に「ダメそうだったら引き返す」。無理をしないこと。電波は通じないし、交通量も極端に少ない道なので、無理は絶対に禁物。

そして私たちの読みはこうだ。

通行止めになっていない。今年はほとんど雪が降っていない。ここのところ風もないので雪が道路側に溜まっている確率は低い。入り口の前の部分で気温マイナス7-10度なので、道は凍って安定しているはず。行ってみて通り抜けられないようなら引き返そう。

ということで行ってきました12月のカルディダルル。

雪はあるけれど、雪深く一面が真っ白ということではなかった

雪深くないとはいえ、やはり雪が積もっていた場所はあった。彼に言わせれば「入り口近くにこんな場所があったら、すぐに引き返した」と。

ちょいと雪が深くて不安にはなった。けれど、数日前は週末で、ハンターがたくさんここを通っている。道路の真ん中に雪が出っぱっている部分がない(=自分たちの車でガリガリ削る必要はない)。同様に通る道自体は踏み固まっており、ルート通りになぞる限り、動きが取れなくなる可能性は低い。その変わり、一旦止まると出られなくなる可能性はあるため、絶対に停車せず適宜なスピードで針し続ける。ちなみに、私は助手的に座っているだけ!常に運転は彼任せ。

私が運転をしない長点は、運転アドバイスも批判もしない(分からないのでできない)、「ここは私に運転させて〜」と運転席を奪うこともない。短所は運転手がいかに疲れても運転を交代できない。

雪化粧とはよく言ったもので、白いだけで雰囲気が美人になる。角度は違うけどこれも同じ場所の写真

気温が零度を下回って数日になるため、凍った滝が見たいと彼が言っていた。とりあえず見にみると、まだまだ凍りつく時間が少ないのか、思ったほどの凍り具合ではなかった。

滝よりも、周囲の植物に飛ぶ水飛沫が凍りつき、きれいな氷の植物園になっていた

ちなみに、カルディダルルで撮った中で私が一番気に入ったのがこの写真。理由は自分でも分からない。たぶん、石ゴロゴロが多い風景の中、大きな石が二つだけボコボコっと出て雪が溜まっているのを面白いと感じたのかも。

今回もドラレコありです。3時間半と長いのは、カルディダルルを抜けてレイキャビクに戻る途中までも裏道を通ったため、その間も録画をしていたから。実は515号線の後半も「通行不能」とされている道路。ざっくりの時間割はyoutubeの解説に書いておいたので、ご参考にどうぞ。

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小倉悠加(おぐらゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、ツアー企画ガイド等をしている。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。

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