政治を斬る!

こちらアイスランド(110)いつもラッキー!必要なものは必ず現れる。世の中はぜんぶ結果オーライ〜小倉悠加

今回の一時帰国は、何もかもが綱渡状態だ。特にアイスランド大学の配信授業の足枷が重い。というのは前回に書いた通りだ。確か、書いたよね?!

前回は時間の制約での足枷を嘆いたと思うが、今日はwifiのモバイル・ルータに泣いた。そして巡り巡って、綱渡ながらすべて結果オーライとなる私のラッキーを再認識することになった。

まずは大学の授業だ。

配信授業の第一週は、今季授業の説明でほぼ終わった(前期もそうだった)。二週目である今週は前期のお尻の方とかぶっていて、前期の最後の方に予定されていた項目が今頃出てきた。イコール、既に予習していたらしい。「らしい」というのは、はっきりと覚えてはいないけれど、自分の文字の書き込みがあるので、予習した形跡があるという意味だ。なので、質問されれば答えられる。ありがとう、私(笑)。

数日後のスピーチの小テストも、前期の宿題で書いた文章があり、それに少しばかり手を入れればいいことが判明した。丸暗記してスピーチすればいっちょあがりだ。ゼロから考える必要がないのは、時間をとらないので本当にありがたい。

前期のその宿題は成績には関係なく、「提出すれば間違いは正す」と言われたものだった。前期の私は、「成績に関係なくとも宿題は全部やる」をポリシーとした。日本にいる間の一ヶ月間、勉強時間が限られることはわかっていたので、極力稼いでおきたかったのだ。

今期のこの時間のない時に、成績に関係なく出した前期の宿題が、これまた役立ってくれた。ありがとう私、アゲイン。じゃない、アイスランド語ではアフトゥルだ。

アフトゥル(aftur)は英語のアゲイン(again)の意味。エフティル(eftir)は英語のアフター(after)で、混同しやすいけど英語と似ている言葉だ。結構すぐに慣れるし覚えられる。さすがはどちらもインド・ヨーロピアン語だ。親戚はありがたい。

綱渡ということでは、他にも少しばかり面白いことがあった。私は以前「傘は天下の回りもの」とよく言っていた。自分の好きな傘を電車に置き忘れるという事態が何度も続き、がっくりしたものだが、どこかに置き忘れる度に、次の電車に乗ると必ず私の横に傘が現れた(ビニール傘ね)。

捨てるものあれば拾うものあり、とは少し違うが、まぁなんというか、回ってくるんだなぁというのをその時に感じた。それ以降、傘が必要になると、必ず電車に乗れば私の横に傘が現れる。ほぼ、そう80%くらいの確率で。

日本に住まなくなってン年。日常的に電車にも乗らないため、そんなことはすっかり忘れていた。

先日、久々に関東地方に雨が降ったあの日。私は横浜から千葉の実家へと移動した。横浜の家には折り畳み傘が見当たらず、荷物が多いので長傘は持っていきたくなかった。横浜駅までは車で送ってもらい、駅で傘を買うこともできたが、実家から最寄駅までは徒歩5分程度だ。雨が降っていれば濡れて行こうと覚悟を決めて電車に乗った。

実家までは乗り換えが2回ある。二回目の乗り換えは始発駅だ。始発電車に乗り込んだ時、思わず「わっ!」と声が出てしまった。

「傘は天下のまわりものなんだ!」

出たよ出ましたよ。そんなことは忘れて久しいのに、関東に降ったこの久々の雨。降っていれば濡れていこうと思っていたのに、ガラガラの車両の中には持ち主に置いて行かれたビニール傘。ありがとう。

無事に実家に到着して一息つくと、高齢の母を心暖かく見守ってくださる近所の女性が、手料理を持ってきてくれた。ほぼ毎日のことなので、勝手に玄関を開けて、ズケズケと台所まで入ってくる。なにせ90歳近い高齢の母なので、毎日こうして顔を見にきてくれるご近所には、本当に頭が下がるばかりだ。

「今日はキンピラとコロッケだよ」

え?!キンピラ!

なんと、昨夜寝る前に私が思った食材がゴボウだった。海外でごぼうは食べられない。ごぼうを買ってスーツケースに入れたら持って帰れるかなぁ。日本にいる間にきんぴらを作ろうか、などと考えながら眠ったのだ。

すると、ご近所からの差し入れがキンピラ!!マジですか〜。マジ〜〜。なんという神通力!

そんなドンピシャな神通力は宝くじに使うべきなのに、キンピラに使ってしまうところが私らしい。

このキンピラで話が終わってもそれなりに格好はつくと思う。でも話はまだ続く。

傘とキンピラで驚いた後、その夕刻も配信授業を受け、寝不足解消で久々に早く寝床に着くこともできた。よかったよかった。

日本に戻って初めて寝溜めができた今朝、寝床からスマホでTwitterを見ようとすると・・・ん?動かないぞ。

なんかTwitterが挙動不審だけど、どーせ私が寝ぼけているのだろうと気にせず、遅い朝食を食べた。

母にiPad miniを使ってもらおうと説明を始める。母はガンとしてスマホなるものを持とうとしない。なのに、iPad miniは父が使っていたためか、拒絶反応を起こさない。スマホもiPad miniもさほど変わらないと私は思うのだが、彼女の神経回路では全くの別物らしい。中身は類似品でも、名称が異なるので助かった。

母用にアップルIDを作り、アプリを4-5個に絞ったスペシャルなガジェットを用意した。私のお下がり機種だ。彼女はガラケーもスマホを持ったことがなく、固定電話一本の人。クレカもないので、ショッピングも銀行振込一本だ。私よりも賢くて、倹約家で、娘(=私)のことばかりを考えている母で、いろいろと涙ぐましい。ちなみに、とても仲のいい母と娘です。

私がデスクトップから写真を「共有アルバム」に入れると、母のiPad miniに反映されるプレゼンを試みた。前夜私がリハーサルをした時には素早く反映された。ところが今回は母用のiPad miniに写真がまったく反映されない。ん?変だ変だと騒いでいるうちに、ネットは繋がってはいるが、異常に遅いことに気づいた。

最初は原因がわからなかった。次第にモバイル・ルータの契約容量をオーバーだと思えてきた。繋がってはいるけれど、軽いメールを送るのに30秒くらいかかる。サイト上の画像は読み込めないし、読み込み中のグルグルマークがひたすら回るばかりだった。

それでも、午後には容赦なくZoomのミーティングはあるし、配信授業もある。前者は事情を話して音声だけでなんとかした。配信授業はさすがに無理で、30秒に一度くらい切れるため、悔しいけれど諦めた。

配信授業は今後も受ける必要があるし、たぶんルータの速度制限は来月まで解けない。となると・・・短期旅行者用のSIMを入れ、そこからテザリングするのが手っ取り早い解決策だと思われた。まったくぅ、こんな時に役立たずのルータだ!と罵ろうとした時ーーー

え、ん?あれぇ?え”〜〜〜〜!!!

実家に戻る前日、私は新たなモバイル・ルータを契約していた。現在の契約を解除し、新たに同じルータを契約することで、支払い料金が安くなることがわかったからだ。その新しいルータが明日届く。

うゎ、なんちゅータイミング!

さすがに今日は通信不能だった。けれど、明日横浜に戻れば新しいルータが届き、夕方の授業には間に合う。

私、天才なのか?!

もちろん、今日それが入手できていれば、今日のミーティングも配信授業もつつがなく過ごせただろう。けれど、そうならなかったからこそ、ネットが使えない不便さを体験することができた。いや、不便という言葉では収まらないほど、必要不可欠になってしまったことをゾっとするほど深く感じた。

それはネット中毒とか、中毒でないとか、そのような選択のあるレベルではない。日常の当たり前の、例えば電車やバスが走っているのと同じくらい、大前提の物事であることを痛感した。

綱渡にもほどがある。

私はラッキーなのだ。幸運な星の下に生まれて、必ず物事はなるようになると心の底から信じている。小さい頃からいつも、「私はいつもとってもラッキー」と思っていたし、今でもそう思う。そして今回も全部、なるようになったのだ。

綱渡はしたくないけれど、する必要がある時には、綱渡上手でいたい。

意識して計ったことではないけれど、今回も全部が結果オーライ。本当に私はラッキーなのだと思っていれば、本当にラッキーになるのだ!

小倉悠加(おぐらゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、ツアー企画ガイド等をしている。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。

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