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こちらアイスランド(112)ビルボードライブ15周年記念。リチャード・カーペンター来日公演情報。お見逃しなく!〜小倉悠加

羨ましいことにリチャード・カーペンターが来日する。今回はそのご案内をしたい。リチャード・カーペンターとはもちろんカーペンターズのあのリチャードだ。

カーペンターズは私の人生を変えた大切な音楽グループでもある。

あれは私が中学生の時だった。お昼の校内放送で聞いたカーペンターズが大好きになり、彼らを通じて洋楽にのめりこんだ。それは後に私が湯川れい子さんのアシスタントとなる道筋へとつながっていく。

大学卒業後にはレコード会社に入社し、身体を壊して退社した後は、ひょんなきっかけからカーペンターズのアルバム解説をすべて書いた。凝り性が高じてカーペンターズに関する超マニアックな資料本も作ったし、そういえば訳詞も全部手がけたのではと思う。そのためか時に「カーペンターズ研究家」と呼ばれることもあるし、自分でもまぁそんなところかとも思う。

もちろんリチャードには何度も会っているし、ご家族とも知り合うことができた。ファンとして思い残すことはほとんどない。

今回の来日に伴い、招聘元から文章を書く依頼をいただいた。けれど、諸般の事情で今回はお断りせざるを得ず本当に残念だった。その代わりにはならないとはいえ、ここで少し来日の宣伝をさせてほしい。

リチャードは何事にも完璧を求める人だ。いつもファンの期待を裏切らない演奏を聞かせてくれる。前回は日本武道館だったが、今回の会場はビルボードライブなので、彼の表情や息遣いがすぐそこに感じられることだろう。今年でリチャードは77歳になる。アメリカでもソロ・ライブはチャリティ目的以外ではほとんど行われない。日本のファンは是非とも見に行っておきたい。


リチャード・カーペンター
plays The Carpenters Greatest Hits and more
Billboard Live 15th Anniversary Premium Live

【ビルボードライブ大阪】(1日2回公演)
2023/3/27(月)1stステージ 開場16:00 開演17:00 / 2ndステージ 開場19:00 開演20:00

【ビルボードライブ東京】(1日2回公演・3DAYS)
2023/3/29(水)1stステージ 開場16:00 開演17:00 / 2ndステージ 開場19:00 開演20:00
2023/3/30(木)1stステージ 開場16:00 開演17:00 / 2ndステージ 開場19:00 開演20:00
2023/4/1(土)1stステージ 開場16:00 開演17:00 / 2ndステージ 開場19:00 開演20:00

【ビルボードライブ横浜】(1日2回公演)
2023/4/3(月)1stステージ 開場16:00 開演17:00 / 2ndステージ 開場19:00 開演20:00

チケット情報
サービスエリア¥20,000-
カジュアルエリア¥18,500-(1ドリンク付き)
※ご飲食代は別途ご精算となります。

Club BBL会員先行=2023/1/20(金)12:00正午より
一般予約受付開始=2023/1/27(金)12:00正午より

▼公演に関するお問い合わせ
ビルボードライブ東京:03-3405-1133
〒107-0052東京都港区赤坂9丁目7番4号 東京ミッドタウン ガーデンテラス4F

ビルボードライブ横浜:0570-05-6565
〒231-0003 神奈川県横浜市中区北仲通5 丁目57 番地2 KITANAKA BRICK&WHITE 1F

ビルボードライブ大阪: 06-6342-7722
〒530-0001大阪市北区梅田2丁目2番22号 ハービスPLAZA ENT B2

*本公演の横浜公演のご予約はビルボードライブWEBサイトおよびプレイガイドにて行います。ビルボードライブ予約センターでの電話受付はございませんので予めご了承ください。


カーペンターズのあの素晴らしい音楽は、リチャードとカレンという兄妹コンビの賜物だった。清潔感あふれる美しい歌声のカレンと、天才的なひらめきを散りばめたリチャードのアレンジは、ポピュラー音楽界に多大な影響を与えた。

リチャードが残した多大な影響の代表をひとつ挙げれば、「愛にさよならを(Goodbye to Love」の大胆なアレンジがある。曲はリチャード(作曲)とジョン・ベティス(作詞)のオリジナルだ。ジョンはリチャードの大学の同級生で、後にアメリカの音楽著作権協会の会長を務めた。カーペンターズのヒットがきっかけで作詞家となり、マドンナ、マイケル・ジャクソン、ホイットニー・ヒューストン等の大ヒット作を手がけている。

失恋を歌ったバラードの「愛にさよならを」には、大きな仕掛けがあった。それまでのカーペンターズは、兄と妹の美しいハーモニーに彩られるカレンのヴォーカルが人気だったが、この曲で彼らは突然ロックのファズギター・ソロを大フィーチュアしたのだ。

74年日本武道館公演。ギターのソロは2:50あたりから。

当時この曲はファンからの厳しい批判と嫌悪を呼んだ。あのカーペンターズが悪魔に魂を売ったとまで言われた。現代では「それっていったいどんな意味?」と首を傾げたくなる反応だ。けれど、70年前半のロックは反体制の象徴だった。もっと平たく言えば、ロックは悪い子の音楽で、カーペンターズはそれまでいい子の音楽をやっていたのだ。

中産階級の行儀のいい兄妹であったはずのカーペンターズがロック・ギターを楽曲に入れた。それも激しいソロを長々と起用したのだ。さぁ大変、それまでのファンは困惑するし、生粋のロックファンもなぜクリームケーキのような口当たりのいい音楽をやってきたカーペンターズが突然ロック畑に侵入してきたのか理解できないーーーというのが当時の反応だった。リチャードは音楽ファンの度肝を抜いたのだ。

先駆者というのは叩かれてナンボなのかもしれない。リスナーの困惑とは裏腹に、その後多くのミュージシャンがこの手法を取り入れた。特にハード・ロックやメタル・バンドがこの構成を頻繁に使うようになり、パワー・バラッドというジャンルにまでなった。

ちなみにこのギターパートを担当したギタリストのトニー・ペルーソは、ポール・マッカートニーからウィングスに加入しないかとの誘いを受けている。

歌手の魅力を引き出すプロデューサーとしてのリチャードの活躍も素晴らしく、それはカレンをいかに世界的なシンガーとして育てたかで十分に証明されている。それがリチャードでしかなし得なかったことは、当時の超大物プロデューサー、フィル・ラモーンがカレンのソロを成功に導けなかったことからも窺い知ることができる。

リチャードが天才的なアレンジャーでありプロデューサーであったからこそ、「あの」カレン・カーペンターが世に知られることになったのだ。

そんなカーペンターズの真髄のあれこれを、今回の来日公演でリチャードは余すことなく伝えてくれることだろう。これは絶対に体験しておきたいライブだ。けれど、間も無くアイスランドへ戻る私は足を運ぶことができないので、アイスランドでもライブをやって!とリチャードに直訴しなくちゃと思っている。

小倉悠加(おぐらゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、ツアー企画ガイド等をしている。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。

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