二晩連続でレイキャビクではオーロラ祭りが開催された。主催者がいて、まるで計画されたように、二晩同じ時間帯に、異常なまでに素晴らしいオーロラ・ショーが繰り広げられた。
オーロラの周期は11年と言われ、どうやら去年あたりからピーク年に向かっているのではと言われているかと思う(調べ方がわからないので、定かではない)。
アイスランドも特にレイキャビクは比較的に温暖な割に、オーロラがよく見えることで有名だ。ラッキーにも私は、自宅のバルコニーに出ればそこからオーロラが見える時がある。去年まではバルコニーとは反対側の、つまりは北側に見えることが多く、そこにはめ殺しの窓しかない。そんな時は厚着をして、徒歩数分のチョルトニン湖畔まで出て見にいったことが何度かある。
オーロラを見慣れてくると、面倒だからいいかとやり過ごすことも増えてくる。慣れとは薄情なものだ。あれほど「一生に一度は見たい」と恋焦がれていたのに、何度か見てしまうと、まぁいいかとなる。
そんな中、今年に入り、オーロラに対するモチベーションが少しアップした。それは、「きれいな写真を撮りたい」という理由で、携帯を一新したからだ。私の機種変更は6-8年に一度程度だ。OSがアップデートできなくなるギリギリのところでしか変更したくない。なのに今回は3年で変更。早すぎる!
それには目的があった。アイスランドに移り住み、素晴らしい風景を撮る機会が日常的にゴロゴロある。それを前提にコンデジを持ってきたけれど、写真の撮り方に興味がある訳ではないため、併用するのは面倒だ。なので、高級コンデジを買ったと思うことにして、スマホに投資した。収入が乏しいところで、こんな出費をしていいのかと迷ったけれど、どうせ買うなら早い方がいいだろうと、奮発した。
2023年3月14日。素晴らしいオーロラを見ることができたし、スマホのカメラが優秀なのか、写真もそこそこキレイに撮れた!もちろんプロ機材には敵わないけれど、日常ならこれで十分でしょというクオリティ。オーロラの美しさが伝わりそうな程度には撮れてよかった。
オーロラが太陽の磁気嵐に深く関係しているのは知られたところかと思う。なので太陽のそういった動きを見ていれば、気象庁が出すオーロラ指数など見なくても、本来はどの程度見えそうかを予測するのはそれほど難しくないはずだ。そうやらこの日はたまたま大きな磁気嵐の影響が届いた日で、おまけにレイキャビク上空に雲のない、オーロラ観測に適した夜だった。
この日は光も強く、それほどシュルシュルと勢いよく踊る姿は見られなかったけれど、シューッと上から伸びてくるような様子はよくわかった。特に我が家の屋根の上あたりに大きく出ていて、オーロラの直下すぎて、どうやって撮っていいやら・・・。
きれいにオーロラが撮れることがわかってよかったが、「ビデオ」のボタンを押しても真っ暗で撮れない。さすがにビデオは無理なのかとは思ったが、自分でググっている時間もないので、誰か知ってる人はいかにかと、ツイッターで呼びかけてみた。すると「シネマティックモード」であれば映ること。そして「タイムラプス」でもいけることを教えてもらった。さすが、ツイッターは知恵の宝庫だ!
とはいえ、毎日オーロラが、それも私に有利な位置で見えるとは限らない。けれど、超ラッキーなことに翌日も晴天だし、オーロラ指数も高い。ラッキー。
3月15日は母の誕生日だ。お母さん、89歳おめでとう!
翌日の3月15日も負けず劣らず素晴らしいオーロラがレイキャビク市の空に舞った。ニュースにもなったほどなので、オーロラを見慣れたアイスランド人にも特別なものだったのだろう。ましてや外国人の私だ。
この日は、前日のアドバイスに従い、シネマティックモードとタイムラプスでの撮影を試みた。撮影を試みたというほど大袈裟なものではない。けれど、結構いい感じに撮れることがわかってよかった。
タイムラプスはこちら2ツイート。随分と長い間放置したつもりだけど、タイムラプスにすると時間が短縮されるので、もう少し放置すればよかったのかな。次回の課題はわかったのでオッケー。
空の一部だけを撮ってもわかりにくいので、対象物(教会の塔)を入れて撮ったタイムラプスがこちら。
機会がやってくれたとはいえ、初めて撮ってこれだけきれいに撮れることにちょっと感動。
感動といえば、この日は初めてオーロラが爆発する瞬間を目の当たりにした。前日も見てはいたけれど、爆発の目(?)の部分は逃していた。この日は、たまたま見上げていた部分を中心に円ができてきたので、きれいだと思ってある一点を見ていた。すると、あれよあれよという間に、そして一瞬、閃光が輝いたように、突然赤、青、黄色がくっきりと現れて、いつもの緑色のカーテンにブレンドされていった。
オーロラは宇宙からの虹だったのか?!とまで思った。
まさに一瞬の出来事で、初めて目撃した光の饗宴で、えらく感動して涙が出てきた。「これを見ると、人生変わる?」と思うほど、心の奥底に響くものがあった。
火山噴火と関係づけて語るのはあまりにも強引ではあるけれど、宇宙からの自然現象が琴線の深いところに触れたということでは、通じるものがある。
その瞬間はシネマティックモードで撮影していた。けれど、どうもボケた感じにしか映っておらず、すごく残念。それでも、撮った写真は赤や黄色がよくわかるものもあるので、ぜひ少し大きくして見てほしい。
この爆発の後、空を見ると一面が白っぽく見えていた。白っぽく見えながらも、決して雲ではない。そう、オーロラが完全に街を覆っていた状態かと思う。
強い磁気嵐は電気通信や電子機器に障害をもたらすと言われる。生活に支障が出るような強い磁気嵐は希望しないけど、それでも、オーロラは実に美しく神秘的だ。
オーロラに関しては以前、こんな投稿をしている。基本は何も変わっていないので、アイスランドでオーロラを見たいという方はご参考に。
この二日間のオーロラ祭で、オーロラを一生分見たような気がする。もうオーロラは見なくてもいいとさえ思う。もちろんアイスランドに住まう限り、また見る機会は必ずあるだろう。
それでも、今回のオーロラは私にとってとても特別だった気がする。単なる思い込みだろうけれど、人生が、世界が、変わるような気がした。
小倉悠加(おぐらゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、ツアー企画ガイド等をしている。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。