政治を斬る!

こちらアイスランド(158)帰国フライト前夜に火山噴火!自宅バルコニーから真っ赤な炎とオレンジの空を撮影して空港へ!日本に帰ってきました!〜小倉悠加

ただいま!日本に無事帰国!

問題なく帰国できて、ホっとしているところです。

いやぁ、一瞬ヒヤっとした。アイスランドから日本へ旅立とうとする前夜、航空便の出発時間からぴったり12時間1分前に火山が噴火した!

なんだよそれ(泣笑)。

「火山噴火するする」詐欺状態が数ヶ月も続くと、みんなの関心は当然薄れる。そんな騒ぎがあったことさえ忘れ始め、もうすぐクリスマスというところで、突然噴火し始めたのだ。

いや、突然ではなく、事前に感知していた人もいた。学者ではなく火山好きの男性が、「どうやら噴火が始まるようだ。兆候がありありと見えている」と、Facebookのグループに投稿した(リンクは貼っておいたが、グループ加入の承認がないと投稿は見ることができない)。

噴火はその投稿時間から30分後に始まった。この人物は2010年のエイヤフャットラヨークトルでの火山噴火も事前に言い当てた人物だ。まぐれではないだろう。

私は流れてきたツイートで噴火のことを知った。ライブカムを見れば確かに噴火はしている。けれど、もしや巧妙な騙し動画だといけないと思い、とりあえずはこのようなツイートをした。

私のツイートが、日本語での第一報だと思う。それは噴火開始から5分後のことだった。噴火のスタートは12月18日アイスランド現地時間22時17分。私のツイートは22時22分だった。

すぐにバルコニーから噴火地の方向に目をやったが、特に何も見えなかった。

「天気が悪いからここからだと見えないのかも〜」と彼に言ったことを覚えている。

噴火したという裏をあちこちで取り、急いでツイートをしながら「せっかく噴火したのに、見学はできないし、悪天候で噴火の光も見えないなんて最悪!」とも思った。

それがどうだろう。約30分後、バルコニーに出た時、思わず「うわ!」と声をあげた。

空が赤い!これぞ噴火の光だ。2021年、2022年、そして2023年は2回目の噴火だ。自宅からの見え方で、実はその規模がなんとなく掴める。この光を見て、噴火の規模が大きそうな気配がした。

外では犬が盛んに鳴いている。無理もない。空は邪悪な軍団が退去して現れるのではというような、不気味な明るさを放っていた。

不安になってくる。明日の朝、12時間後にはフライトが待っている。航空便が飛ぶことはまず間違い無いと思うが、道路の通行止めが一番怖い。

空港へ行けず乗れなかったらどうしよう。道路の通行止めだと航空会社側の理由ではないため、乗り逃した場合の変更や返金はどうなるのだろう。帰国できなかったら母が悲しむ・・・。

頭の中に、そんな不安がモクモクと、火山の煙とともに猛烈な勢いで湧き上がってきた。

噴火30分後には、噴火でオレンジに空が染まった。自宅バルコニーからスマホで撮影

案の定、警察は噴火地に一番近い場所への道路を閉鎖した。

え〜〜!!その道は国際空港へ通じる。そこだけは閉鎖しないで〜〜!!!

泣きたい気持ちになった。あと、あと、本当にあと半日で帰国便に乗る。このタイミングでの通行止めはあり得ない!

あり得ないというのは比喩ではない。実際に、ありえない物事だと思った。道理に外れている。

まず第一に道路への危険性がない。道路まで溶岩が迫るという状況ではない。第二に道路にアクセスする必要性がありすぎる。今まさに到着しようという便もあるだろう。その乗客をレイキャビクに移動する手段を断つ理由が考えにくい。早朝便の乗客があと数時間で押し寄せる。朝一の機材は既に空港に到着しているはずだ。その航空便がキャンセルになることは非常に考えにくい。火山灰の影響がないことは、過去3回の噴火で証明済みだ。

なぜ通行止めなのか?今だに理解はできないが、通行止めは夜中12時半には解除された。ほどなく専門家との会議の結果、火山灰の影響ゼロも発表された。

よかった、帰れる〜〜(感涙)。

2時間程度だったが、本当に気を揉んだ。通行止めは精神衛生上ダメージだった。

火山噴火に気を取られて、荷物の最終確認はしたのやらしなかったのやら・・・。

翌朝、国際空港への道沿い見た光景

翌朝、ケプラヴィク国際空港までの道のりは、ずっと雪が降り続けた。ワイパーを最大にしていないとすぐに何も見えなくなる勢いだった。

レイキャビクを出発して30分も走ると、噴火地がよく見えてきた。そのあたりから、対向車線の車の数がやたら増えたように見えていた。いつもよりも交通量がひどく多かった。見学したくても近づかないため、せめてもの見学ドライブだろうか。気持ちは分からないでもない。確かに道路からよく見えていた。

最初の数年はアイスランドの暮らしも物珍しかったが、そろそろもう結構ですという感じになってきた。今回は余計に、帰国中は楽しく過ごしたい。前回は大学のオンライン授業が足枷で時間の制限が多かった。その前はコロナで重苦しく、人に会うのも憚られた。普通に日本で時間を過ごせるのは、4年ぶりだろうか。

12月も半ばを過ぎ、アイスランドは朝夕が零下になる日が続くようになった。冷たい空気がピリピリと肌を刺す。日の出が午前11時過ぎで日の入りが15時半の日照は無陰鬱で慈悲だし、気が滅入るというほどではないけれど、しっかりと目覚めないまま、す〜っと夜になってしまう。寒くて暗いアイスランドを抜け出せるのはありがたい。

アイスランド名物、大晦日のクレイジーな大花火大会をサメタイでまだレポートできてないのが残念ではあるけれど、それよりも日本の正月の方が大切だ。今年も無事に帰国できてよかった。

アイスランドのレンタカーは地元の会社で

小倉悠加(おぐらゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、ツアー企画ガイド等をしている。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。

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