最近の日本、寒いっすね〜。実感の玄関先(室内)の気温が4度!台所が9度!
ゔぉ〜〜、実家がアイスランド状態で、私が持ってきてしまったのか?
いや、そのようなことはない。アイスランドの家屋の中はどんなに寒くても15度はある。我が家は通年20度の設定だ。暖房は温水を使用し、全国どこでもそんな感じで、これは地熱の恩恵が大きい。けれど、地熱といえば火山がつきもので、ご存知の通り地熱の恩恵と自然災害は紙一重でもある。
ニュースでご存知かと思うが、アイスランド現地時間2024年1月14日午前7時50分ごろから、12月に亀裂噴火した延長上の場所からマグマが噴き出した。
時間の問題と言われていたので、特に驚きはなかった。ただ、防護壁内での噴火によりグリンダヴィクの民家3軒が犠牲になったことはとても悔やまれる。1973年に起こったヘイマエイ島以来の、民家の惨事となってしまった。
ちなみに、住民は避難済みなので人的被害はない。けれど・・大変に残念なことに、以前の地震でできた亀裂を埋める作業中(それもあと一歩で作業終了というところだったとか)、思わぬ事故が起こった。埋めたと思った亀裂が実はもっと深かったのか、それとも新たに深くなったのか、作業員がクレパスに落ちてしまった。いや、正確にはクレパスには見えなかった場所が、蟻地獄のようになっていったのではと言われている。
一時は60名を出して大掛かりな捜索が行われたが、どこでまた蟻地獄が現れるとも限らず、現場が予想不可能かつ不安定で、捜索が打ち切られてしまった。
そんな悲しいニュースの翌日に新たな噴火がレイキャネス半島内で始まった。
これが私にとってはなんだか凄いタイミングだった。前回の12月の噴火は日本に帰る前夜の出来事だった。今回の噴火は私の第二の母である湯川れい子さんが、88歳のお誕生日を記念して行った合唱団のコンサートの真っ只中に起こった。
コンサートの第一部が終了して休憩時間に入った時、アイスランドにの彼からのメッセージでそのことを知った。
今回の噴火は前回よりも街に影響が出そうな場所だろうということは既にわかっていた。そして前述の通り、民家の被害が出てしまった。
それでも、去年の秋から急ピッチで作った防護壁が役に立ち、溶岩の流れの多くを街から遠ざけることができた。これは、2021年から3年連続のファグラダルスフャットルで防護壁の実験を重ねた成果でもあろうと思う。
その防護壁だが、溶岩の勢いか何かで一部穴が空いた場所があり、それは溶岩の流れを観察しつつ、現場で穴埋め作業を行ったという。溶岩の足は決して速く無い。なので不可能な作業ではないとは知りつつ、風向きによっては熱風で非常に困難な作業にもなり得る。
とにかく、真っ赤に燃える溶岩の流れを横目に作業を続ける重機を見て、感動しなかった人はいないのではないかと思う。初動の速さ、少しでも街を救いたいという思いの重さが感じられる。
能登地震での政府の初動のお粗末さ、20日間も経った未だに救助活動のお粗末さに苛立ちを禁じ得ない。
単純に比べられるものではないとはいえ、すぐにヘリを飛ばし、ドローンも飛ばし、重機を導入したグリンダヴィクでの初動の鮮やかさは際立った。
噴火活動(溶岩の流れ)は既に見えなくなっている。けれど、正式に噴火終了は宣言されていない。たぶんそれはあと数日後ではないだろうか。
それより、またマグマ溜まりになる場所の土地が隆起し始めたという。ここが満タンになると、近隣の割れ目にマグマが入り込んで噴火するらしい。
12月18日、1月14日と一ヶ月間のインターバルで噴火が続いた。まだまだ噴火が続きそうな気配なので、次はどこに噴火するか、時期はいつ頃なのか?まだまだ火山学者や地球物理学者の出番は続く。
今回の日本のマスコミ報道はまともだった。日本だけでなく各国揃ってそうだった。右へ倣えか?!
最初にドロドロと、やれ航空便が飛ばなくなる、街が壊滅すると脅しておき、実際はそこまで酷くはならない。コロナもそうだった?
日本のマスコミ報道は面白くないほどまともだし、専門家の下手なコメントもなく、非常によろしすぎる(上から目線で失礼)。品行方正すぎて面白くないくらいだ。
前回のように不正確なことを書いていたら、たっぷりと噛み付こうと構えていたので、噛みつく場所がなくて残念だ。もしや私が以前『こちらアイスランド』で間違いを容赦無く指摘したのをマスコミ全社が見て、こんなヤツに指摘されるものか!と無理なこじつけや憶測報道はしなくなった?
やればできるじゃん。というか、それが普通の仕事であるべき。というだけのことっしょ?!
能登地震はひどかったし、レイキャネス半島では2021年から5回目の噴火となった。頻繁噴火が起こる時期に突入してしまったようだ。レイキャネスのこの周辺は地殻プレートが重なる部分で、地球の割れ目と言われるギャオの延長線上だ。
頻発する火山噴火に、大きな地殻変動の兆しを感じずにいられない。
小倉悠加(おぐらゆうか):東京生まれ。上智大学外国語学部卒。メディアコーディネーター、コラムニスト、翻訳家、ツアー企画ガイド等をしている。独自企画のアイスランドツアーを10年以上催行。当地の音楽シーン、自然環境、性差別が少ないことに魅了され、子育て後に拠点を移す。好きなのは旅行、食べ歩き、編み物。