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立憲野党私設応援団(43)教育改革の必要性について考える〜憲法9条変えさせないよ

※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。


<目次>

1.安倍政権による教育改革がもたらした教育の「今」の姿から未来を考える

2.教育基本法改正と、若者の「ニッポンスゴイ」化

3.学習指導要領改訂と、大学入試を含む「高大接続改革」

4.今後の教育改革はどうあるべきか

5.追加情報:奨学金について

6.トピックス①:夏の甲子園「クラーク記念国際高校」

7.トピックス②:ヤマモトGPTを使ってみな

8.トピックス③:マイナンバー等デジタル政策に関するシンガポール有志調査団


1.安倍政権による教育改革がもたらした教育の「今」の姿から未来を考える

第1次安倍政権による2006(平成18)年の教育基本法改正と、第2次安倍政権による2017(平成29)年の学習指導要領改訂(高校は2018(平成30)年に改訂)は、子どもたちの教育に非常に大きな影響をもたらしています。

今回の私の記事では、それらの改革の負の側面について指摘を行い、今後の「教育改革」の必要性について考えていきたいと思います。

2.教育基本法改正と、若者の「ニッポンスゴイ」化

第1次安倍政権による2006(平成18)年の教育基本法改正は、いわゆる「『愛国心』条項」が注目を浴びましたが、現実に法律が施行されてから、高校生の意識は大きく様変わりしました。

友枝敏雄(編)『リスク社会を生きる若者たち―高校生の意識調査から』(2015年、大阪大学出版会)による高校生調査

質 問 事 項2001年2007年2013年
「日本の文化や伝統は他の国よりも優れている」の肯定率29%38%55%
「行事の際に、国歌・国旗を用いるべきだ」の肯定率17%26%39%
「太平洋戦争の件で日本は謝罪すべきだ」の肯定率64%49%39%

出典:『デモクラシータイムス』「グダグダ日本の私たちに生きる道はあるか」【本田由紀のヤバい日本をあぶりだす!⑦】2022.1.25.を基に、筆者が表を作成

東京大学大学院教育学研究科教授の本田由紀さんは、こうした高校生の意識の変化を「若者の『ニッポンスゴイ』化」と言っておられますが、上記の表にある2013(平成25)年調査の時に高校生だった若者が今や20代後半の年齢になっているため、現在の10代から20代の若者たちの多くが「ネトウヨ予備軍化」してしまっている危険性が高いと思われ、学校教育の中で「右寄りの思想」が継続的に注入され続けた結果、現代の日本の若者たちはかなり深刻な状況にあるのではないかと想像されます。

3.学習指導要領改訂と、大学入試を含む「高大接続改革」

第2次安倍政権では、2017(平成29)年の学習指導要領改訂(高校は2018(平成30)年に改訂)と、大学入試を含む高大接続改革が行われました。

新しい学習指導要領では、英語教育の早期化や、プログラミング教育の導入などが謳われ、2020(令和2)年から実際に学校で行われる教育に適用されています。

文部科学省は「知識・技能」と「思考力・判断力・表現力」と「主体性を持って様々な人々と協働して学ぶ態度」を「学力の3要素」と定義したうえで、「高校での学び」と「大学入試」と「大学での学び」の一体化を目指す「高大接続改革」を進めています。

具体的には、「大学入試センター試験」が廃止され、2021(令和3)年1月から「大学入学共通テスト」が始まりました。

竹内健登(著)『勉強嫌いな子でも一流難関大学に入れる方法』(2023年、日経BP社)によれば、新しくなった大学入試は、次の4つに分類することができるとのことです。

<学力基準の入試>

○一般入試

○指定校推薦

<アピール入試>

○総合型選抜

○公募推薦

「高大接続改革」によって、ペーパーテストを受けて入試の得点で合否を争う旧来型の「一般入試」の定員は減り、「指定校推薦」や「総合型選抜」や「公募推薦」の定員が増えることになりました。

従って、「大学入試」と言われて私たちの多くがイメージするような「ペーパーテストによる一般入試」は、「高大接続改革」が行われる以前に比べて競争が激しくなることになります。

「指定校推薦」は、大学側が各高校に入学枠を割り当て、割り当てられた高校の中で希望者のうち「評定平均値」が高い生徒を順番に高校側が推薦する入試のやり方で、生徒は高校内部での選考に勝ち残れば、ほぼ自動的に希望する大学に合格できることになります。

「評定平均値」は基本的に高校で行われる定期テストの点数で決まることから、「指定校推薦」も「学力重視型入試」であると言うことができます。

「高大接続改革」によって一躍注目を浴びているのが、「アピール重視型入試」である「総合型選抜」と「公募推薦」です。

「アピール重視型入試」(竹内健登さんによる分類に従えば「アピール入試」)は、提出書類と試験によって「志願者が大学の求める学生像に合うかどうかを確かめる」入試の方法で、自己推薦書・志望理由書・小論文・面接・口頭試問などによって評価する入試方式です。

学力重視の「一般入試」とは大きく異なる評価基準による入試のため、従来は「進学校」とみなされていなかった高校が、創意工夫によって「アピール重視型入試」で大きな成果を上げる例も出てきています。

『西日本新聞』2021年4月8日記事 「新任校長先生は30歳 国公立大学合格20人の実績評価」

福岡県那珂川市の私立福岡女子商業高校の校長に、昨春赴任してきたばかりの30歳の柴山翔太教諭が就いた。四年制大学への進学者が少なかった同校で小論文対策の課外授業に取り組み、20人を国公立大に合格させた実績が評価された。運営する八洲学園(本部・横浜市)によると全日制では全国最年少の校長という。

小論文対策の課外授業に25人の生徒が取り組んで、20人を国公立大学に合格させたということで、この取り組みは非常に素晴らしいと思います。

福岡女子商業高校の取り組み自体は非常に素晴らしいと思うのですが、一方で、「アピール重視型入試」という入試の在り方そのものに関しては、不安を感じてしまいます。

評価の対象になる項目のうち、「自己推薦書」と「志望理由書」に関しては、試験当日に本人が書くものではなく、事前に準備をして提出する書類になりますので、内容的には「大人による代筆」が可能です。

「一般入試」のペーパーテストで本人以外の第三者の大人が「なりすまし」で「替え玉受験」をしようものなら大問題になりますが、「アピール重視型入試」の「自己推薦書」と「志望理由書」は、例えば今後、専門の「代行業者」などが現れて、高校生になりすました文体で巧みに文章の内容を作り込んだとしても、それを「不正行為」だとして摘発するわけにはいかないでしょう。

つまり、「自己推薦書」と「志望理由書」に関して、専門の「代行業者」などを「ゴーストライター」として雇って代わりに内容を作ってもらい、受験生本人がそれを見て「清書」するようなやり方で「アピール重視型入試」に臨むことが可能なわけです。

そのようなことを想定するなら、「アピール重視型入試」においては、「代行業者」に報酬を支払うことができる経済的に裕福な家庭の子弟の方が有利に入試対策を進めることができるものと考えられます。

また、「自己推薦書」や「志望理由書」には「高校時代に行った活動や経験」を記載して、その内容をアピールすることになるのですが、こうした「活動や経験」を行うには、経済的に裕福な家庭の子弟の方が有利です。

典型的には「部活で全国大会に行った」とか「英検の資格を取った」とか「簿記の資格を取った」とか「生徒会活動を行った」といった内容でアピールしていくわけですが、これらのことが無い場合でも、お金があるなら、「参加費を払って参加できる活動」を行うことで、部活や生徒会活動に代わるアピール内容を作り出すことが可能です。

例えば、政治家を親に持つ家庭の子弟が、親が行った海外研修旅行にメンバーとして一緒に参加した場合には、「貴重な体験をした」とアピールすることができるでしょう。

そのうえで、「将来、父(あるいは母)の跡を継いで政治家になり、地域に(あるいは、日本に、世界に)貢献したいので、そのための最適な学びができる○○大学法学部政治学科で学生生活を送りたい」と志望動機を語られれば、(特にその父親や母親が有力政治家であった場合に)これを「不合格」とするのは現実的になかなか難しいのではないでしょうか。

これは少し想像をたくましくし過ぎかもしれませんし、あるいは、ひょっとすると既に現実にこういったことが行われていることがあるのかもしれませんが、専門の業者が「高校生△△合宿」のようなものを企画して、参加費を払ってその合宿に参加すれば、「△△の活動をした」ということで、大学入試におけるアピールの要素に使うことができるようになります。

もちろん、「アピール重視型入試」の門戸は政界や財界の有力者や経済的に裕福な家庭の子弟のみに開かれているというわけではありませんので、一般家庭、あるいは貧困に苦しむ家庭の子弟であっても、数学オリンピックに出場したとか、部活で全国大会に出場したとか、生徒会役員に選ばれて生徒会活動を行ったといった「活動の実績」があれば、それをアピール材料にして「アピール重視型入試」に臨むことができます。

経済的に恵まれない家庭で育った子弟であっても、本人の努力や創意工夫によって、「アピール重視型入試」で成果を上げることは十分に可能です。

しかし、お金さえあれば「お金で経験を買うことができる」という側面もあり、経済的に裕福な家庭の子弟であれば「部活で全国大会にまで行けなくても実績をアピールできる」、あるいは「生徒会役員に選ばれなくても実績をアピールできる」という状況が生じているというのも事実です。

本人がやらなければいけない「小論文」といった要素があるので、「お金で合格を買える」とまで言ってしまうと言い過ぎになりますが、お金を潤沢に使うことができる方が「自己推薦書」や「志望理由書」や「活動・経験」といった要素に関して有利に働くことは間違いありませんので、「お金で合格を買える」という状況にかなり近づいてきていることは指摘しておかなければならないと思います。

やや疑り過ぎかもしれませんが、「アピール重視型入試」には、「入試の公平性」という観点から見て、大いに疑問を感じます。

4.今後の教育改革はどうあるべきか

安倍政権による教育改革の負の側面をふまえたうえで、今後の「教育改革」がどうあるべきかを考える材料として、2020(令和2)年当時高校生だった山邊鈴さんが書いたコラムと、それを取り上げた動画の内容を見ておきましょう。

山邊鈴 「この割れ切った世界の片隅で」(2020年6月8日)

NewsPics 【落合陽一】子どもの教育格差と自己責任論

「この割れ切った世界の片隅で」というコラムを書こうと考えた理由を尋ねられた山邊鈴さんは、次のように答えています。

そうですね、一番最初のきっかけが、私がけっこう教育政策とかに関わる官僚の方とか政治家の方とお話をさせていただく機会があって、そこでお話をしている時に、プログラミング教育をどうするかだったりとか、あの、書くことと話すことっていう、そういう表現のバランスとどうやってとっていくかっていうふうなお話をされているんですけど、そういう話を聞いている時に、公教育についての意見っていうのが全く噛み合わないだったりとか、話が通じないっていうような感覚をすごく持つんですよね。「え、ちょっと待って。私の身の回りにパソコンを持ってる子たちって何人いるだろう」っていうのだったりとか、「そもそも書くこと話すことのバランスって言ってるけど、それ以前の問題で、それをしたこともないよね」っていうふうなお話をしても、「いや、でも、それってマイノリティだし、あなたみたいな子が現状として今ここに来ているわけだから、やろうと思えばできるじゃん」っていうふうなお話を聞いた時に、「なるほど」っていうふうに思って、そのー、けっこうみなさんの「ふつう」っていうのが、自分の周りの5人とか6人とかの平均値の「ふつう」っていうのでけっこういろいろなことを考えられてると思うんですけど、実際に教育政策だったり社会の仕組みっていうのを作られてる方々の「ふつう」っていうのが、その、公教育でその地方だったりとかの日本全体の大部分の方と「ふつう」、(筆者注:日本全体の大部分の)方の「ふつう」っていうのとけっこう違ったら、「これは一生解決されないな」っていうふうに思った時に、「問題が『格差』なんじゃなくて『分断』なんじゃないか」っていうふうに、すごく思ったんですね。

山邊鈴さんが指摘しているように、今の教育政策は「日本全体の大部分の方の『ふつう』」から乖離した認識をベースに立案されてしまっており、「実際に教育政策だったり社会の仕組みっていうのを作られてる方々」の偏った考え方に基づいて組み立てられてしまっているようです。

第1次安倍政権による教育基本法改正も、第2次安倍政権による学習指導要領改訂や高大接続改革も、非常に偏った考え方を日本全国に全面展開してしまっていることに問題があると言えるのではないでしょうか。

今後、自公政権に終止符を打つことができ、新たな政権で「教育改革」を進める機会が得られた場合には、「日本全体の大部分の方の『ふつう』」に立脚した教育政策を立案していく必要があると思います。

5.追加情報:奨学金について

今現実に苦しんでいる方に少しでも役に立つように、奨学金の情報を載せておきます。

文部科学省 「高等教育の修学支援新制度」

6.トピックス①:夏の甲子園「クラーク記念国際高校」

夏の甲子園で、クラーク記念国際高校の試合が雨で2度の中断になり、その時のブラスバンドの演奏が「X」(旧twitter)で話題になりましたので、その時の模様を載せておきます。

7.トピックス②:ヤマモトGPTを使ってみな

夏休み特別企画として、れいわ新選組代表の山本太郎さんが子どもたちからの人生相談に答えていますので、その動画を載せておきます。

ヤマモトGPTを使ってみな【夏休み人生相談】

【好きな人を誘いたい!・チビと言われるのイヤ!】ヤマモトGPTを使ってみな VOL.1【夏休み人生相談】 – YouTube

【校則を変えたい!】ヤマモトGPTを使ってみな VOL.2【夏休み人生相談】 – YouTube

【友達を作りたい!】ヤマモトGPTを使ってみな VOL.3【夏休み人生相談】 – YouTube

【涼しく遊びたい!】ヤマモトGPTを使ってみな VOL.4【夏休み人生相談】 – YouTube

【ずっと一緒にいたい!】ヤマモトGPTを使ってみな VOL.5【夏休み人生相談】 – YouTube

【ゲームをもっとしたい!・男子にイヤなこと言われる!】ヤマモトGPTを使ってみな VOL.6【夏休み人生相談】 – YouTube

8.トピックス③:マイナンバー等デジタル政策に関するシンガポール有志調査団

立憲民主党の小川淳也さんとれいわ新選組の山本太郎さんがマイナンバー等デジタル政策調査のため3日間シンガポールを訪問したとのことですので、そのことに関する「X」(旧twitter)の投稿をご紹介します。


憲法9条変えさせないよ

プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。

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