政治を斬る!

立憲野党私設応援団(60)元国税調査官が斬る衝撃の「日本の絶望ランキング」〜憲法9条変えさせないよ

※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。


<目次>

0.はじめに

1.巨大な公共事業費にもかかわらず「社会インフラは途上国並み」の怪

2.「病床数・病院数は世界一」なのに集中治療室(ICU)も医師の数も少なすぎる怪

3.「日本は生活保護が多すぎる」のウソ

4.「少子化問題」は起きるべくして起きた

5.なぜ日本は「自殺大国」になったのか?

6.選挙に行かないから政治がどんどん悪くなる

7.トピックス①:櫛渕万里さん東京14区へ

8.トピックス②:市井紗耶香さん繰り上げ当選辞退

9.トピックス③:『キャプテン翼』連載終了


0.はじめに

その昔、エズラ・ヴォーゲル(著)広中和歌子、木本彰子(訳)『ジャパンアズナンバーワン―アメリカへの教訓―』(TBSブリタニカ、1979年)が一世を風靡しましたが、今日は、大村大次郎(著)『世界で第何位?日本の絶望ランキング集』(中央公論新社、2023年)を読んで、そこに掲載されている衝撃のランキングと、大村大次郎さんの鋭い分析をみなさまにご紹介したいと思います。

ちなみに、エズラ・ヴォーゲルさんはアメリカの社会学者で、大村大次郎さんは日本の元国税調査官です。

1.巨大な公共事業費にもかかわらず「社会インフラは途上国並み」の怪

日本は「小泉改革」を経た今でも世界有数の公共事業大国ですが、1990年代の日本は「公共工事狂乱時代」を迎えており、今の金額に輪をかけて大きな規模の公共事業を行っていました。

その経緯について、次のように説明されています。

1990年、当時の海部俊樹首相がアメリカに対する公約として、今後10年間で430兆円の公共事業を行うと明言した。その後、村山富市内閣のときに、この公約は上方修正され630兆円にまで膨らんだ。

アメリカがなぜ、このような要求をしたのか?

同年、日本は赤字国債の発行をゼロにして、財政の健全化を達成していた。当時、先進諸国は財政赤字に苦しんでおり、とりわけアメリカは史上最悪の状況になっていた。いまとなっては信じがたいかもしれないが、日本は当時、先進諸国の中でとても財政が健全な国だったのだ。

アメリカとしては何とか危機を脱したい。そこで金回りのいい日本政府に公共事業で金をばら撒かせ内需を拡大させて、貿易収支を改善させようとしたのだ。

1年に63兆円を10年間、つまりは630兆円である。

現在の国の借金1000兆円は、間違いなくこのときの630兆円の公共事業に端を発するのである。

その630兆円の公共事業費は一体どこへ行ったのか?

そのことについて、大村大次郎さんは次のように説明しています。

ここで大きな疑問を持たれないだろうか?

莫大な公共事業費が何に使われてきたのか、と。前述したように、日本は先進国の中で最も公共事業が多く、しかも90年代には現在の倍近くの額を投じてきた。

しかし、まるで、この莫大な額のお金がどこかへ消えたかのように、社会インフラを整えた跡が見られない。

実際、何に使われたかというと、その答えは「無駄な箱モノ」「無駄な道路」などである。

地方に行くと、人影もまばらな駅の周辺が非常に美しく整備されていたり、車がめったに通らない場所にすごく立派な道路があったり、さびれた街並みに突然、巨大な建物が現れたりすることがある。

そういう地域には有力な国会議員がおり、その議員に群がる利権関係者がいるのだ。

政治家は、自分を支持する建設土木業者のために、公共事業を地元に誘致しようとする。必然的にその業者が得意な公共事業ばかりが予算化されるのだ。道路工事が得意な事業者には道路工事を、箱モノ建設が得意な事業者には箱モノ建設を発注するという具合である。

となると、その地域には、非常に偏った公共事業ばかりが行われることになる。道路工事ばかり行っている地域、箱モノ建設ばかりを行っている地域という具合に。

そこには、国全体を見渡してインフラの不備な部分を整備しようなどという発想はまったくない。だから、莫大な公共事業費を使っていながら、日本のインフラはボロボロなのである。

顕著なのは下水道の普及率の低さで、大村大次郎さんはその数値を「アフリカ並み」だと指摘しています。

下水道の普及率で、特にひどいのは四国である。4県のうち3県が50%を切っている。

坂本龍馬のような開明的な人物を生んだ高知県だが、41.2%である。

徳島県に至っては、18.7%。なんと県民のほとんどは、下水道のない生活を送っているのだ。この数値はアフリカ並みである。広大な砂漠、ジャングルを持つアフリカ大陸と徳島県は、下水道の普及率に関する限り、ほぼ同じなのである。

また、「無電柱化率」の異常な低さ(ロンドンとパリは100%に対し、東京は8%、大阪は6%)も際立っています。

日本では、国全体に電柱がたち、電線が張りめぐらされている。

日本人は電柱のことを「電気を通すためになくてはならない設備」と思っており、街中に電柱があることをまったく不思議に思っていない。

しかしこの電柱は、先進国にはほとんどないということをご存じだろうか?

海外旅行をしたことがある人なら覚えがあると思うが、欧米には電柱や電線というのはほとんどないのだ。先進国の大半で、電線は地中に埋められている。先進国の中で、これほど電柱があるのは日本だけなのだ。

(中略)

電柱は、地震や台風などの災害時に大きな危険要素となる。地震や台風が頻発する日本こそ、無電柱化をどこよりも進めなくてはならないはずなのに、この体たらくはどういうことなのだろう?

こうした体たらくを見て、大村大次郎さんは次のように結論しています。

アメリカは、「公共投資を増やして国が主導して消費を増やせ」と要求した。

それに対し、日本は公共投資を約束したものの、愚にもつかない箱モノをつくったり、無駄な道路をつくるばかりで630兆円もの巨額のお金を浪費してしまったのだ。

このときにもっと有効なお金の使い方をしていれば、いまのような閉塞した経済社会にはなっていなかったにちがいない。

2.「病床数・病院数は世界一」なのに集中治療室(ICU)も医師の数も少なすぎる怪

大村大次郎さんが紹介するデータによれば、公共事業の世界だけではなく、医療の世界も「異様な数値」に満ちています。

日本は人口1000人あたりの病床の数が世界一多い。(中略)

また病院の数も異常に多い。

日本には2018年のデータで8000以上の病院、診療所があり、断トツの世界一なのである。世界第2位はアメリカだが6000ちょっとしかない。

アメリカは日本の2倍以上の人口を持つので、日本の現状は異常値である。

(中略)

「病床数は世界一なのに集中治療室は先進国最低レベル」

このいびつさこそ、日本医療界の暗部を象徴するものなのである。

日本の医療システムには、「公立病院の割合が少なく民間病院が異常に多い」という特徴がある。

なぜ日本にICUが少ないのか、という問いの答えはここにあるのだ。

(中略)

民間病院というのは、当然のことながら儲かることしかしない傾向がある。民間病院では手間がかかる上にリスクの多い重症患者などはあまり受け入れたがらない。だから民間病院には、集中治療室などはあまり設置されていないのだ。そのため、日本では集中治療室が異常に少ないという状況に陥っている。

そして民間病院の大半は、新型コロナの患者を受け入れなかった。だから欧米よりも感染者が何十分の一、何百分の一しかいなかったコロナ禍初期の段階で、すでに医療崩壊の危機に瀕してしまったのだ。

このいびつな構造は、「国民の健康よりも、民間病院の権益を優先する」という日本の医療行政の歪んだ根本姿勢に起因するのだといいます。

日本全体の医療費の多くが開業医に流れるようになっているということだ。こういうシステムがあるので、開業医は勤務医の2倍もの収入を得られている。

にもかかわらず新型コロナ禍の際、民間病院の大半は非協力的であり、中には患者も受け入れていないのに多額の補助金だけせしめるところも少なからずあったのだ。

日本は、病床数、病院数は世界一多いにもかかわらず、医者の数は先進国の中で異常に少ない。それが、医療を脆弱にしている大きな要因の一つである。

しかも医者の数が少ない理由の一つが、開業医の既得権益を守るためなのであるから二の句が継げない。

(中略)

日本の医療がなぜ、このように開業医にばかり有利になっているのかというと、開業医は「日本医師会」という強力な圧力団体を持っているからだ。

(中略)

日本は世界的に見て医者が少ないのだから、増やすのが当然の施策である。

もし将来、医者が余れば無能な医者が淘汰されればいいだけの話である。実際に、ほかの業種ではそういう健全な競争が行われている。

しかし、そういう競争が行われた場合、金の力で医者になった開業医の子どもたちが一番に淘汰されるのは目に見えているので、日本医師会は頑強に反対しているのだろうと勘繰りたくもなる。

そして厚生労働省も日本医師会の圧力に屈している。ご存じのように役人は政治家に頭が上がらない。政治家に圧力をかける日本医師会には、厚生労働省も逆らえないわけだ。だから、医者が少ないのがわかっていながら医学部の新設がなかなか認められず、医学部の定員もなかなか増えないのだ。

もちろんツケを負わされるのは国民である。

実は、日本の国家予算の中で最も大きな割合を占めているのは「医療費」で、そのいびつな構造について、大村大次郎さんは次のように指摘しています。

定義によって若干違ってくるが、日本の財政支出のうち、最も大きいのは医療費だと言えるのだ。

正当な医療費が不足し、社会保険料だけでは賄えず、そのために税金から支出されているのであれば、国民として仕方がないと思う。

しかし、日本の医療の場合、異常なシステムがあり、一部の病院、医師だけが法外な高収入を得る仕組みになっている。そして、その一部の医療関係者のために、日本の医療費全体が引き上げられ、国民の税金を浪費しているのだ。

大村大次郎さんの本を読むまで、私はこのことについて全く知らなかったのですが、日本の医療の「異常なシステム」の中で最も象徴的なのが「精神科病院が多いこと」と「精神科病院が儲かること」なのだそうで、大村大次郎さんは次のように述べています。

日本の医療において、「開業医が多いこと」と並んでもう一つ非常にいびつな構造がある。それは「精神科病院が多いこと」である。

あまり知られていないが、日本は世界の中で精神科病院がきわめて多い国なのである。しかも「入院型」の病院が多いのだ。

(中略)

日本の精神科の病床は32万3500床にのぼり、全病床のうち、21.6%は精神科なのである(2021年10月時点)。

これは世界的に見て異常な多さなのだ。

OECD加盟国の中で、人口1000人あたりの精神科ベッド数は、日本が2.6床で断トツの1位。2位のベルギーは1.4床なので、ダブルスコアに近い差がある。

そしてOECDの平均は、0.7床しかない。つまり、日本はOECD諸国の平均よりも、約3.5倍の精神科病床を抱えているのである。

(中略)

日本の精神科病院がきわめて多いのは、儲かるからである。

まず精神疾患の患者からは、確実に治療費が取れる。

(中略)

精神疾患の治療も社会保険が適用されるので、患者の自己負担は3割である。が、精神疾患の場合、自治体が患者の自己負担分を補助しているケースが多いので、患者の負担はゼロになっていることが多いのだ。

(中略)

精神科の入院点数は、一般科の入院点数より少ない。だから、一人一人の入院患者から得る収入は、一般の病院よりも少ない。

しかし、精神科病院の入院患者は、あまり手がかからない。普通に生活できる人がほとんどなので、医師や看護士(原文ママ:できれば「看護師」と読み替えた方がよいものと思われます)の数は少なくても大丈夫なのである。

しかも、ほかの病気のように、検査や治療のための設備もほとんど必要ない。

つまりストレートに言えば、「元手がかからない」のである。建物さえつくっておけば、後はお金が入ってくるだけである。

(中略)

このようにして、精神科病院は儲かっているのだ。

が、われわれが見過ごしてならないのは、精神科病院の儲けというのは、われわれの払った税金や社会保険料で賄われているということである。

国の歳出のうち最も大きいのが医療費であることは前述したが、その大きな部分を精神科病院が分捕っていると言っても過言ではないだろう。

日本に集中治療室が少ないのも、PCR検査体制が途上国よりも遅れていたのも、この精神科病院の巨大な利権が影響している―そう筆者(大村大次郎氏)は考えている。

3.「日本は生活保護が多すぎる」のウソ

先進主要国における「貧困者のうち生活保護を受けている人の割合」について、大村大次郎さんは次のように説明しています。

先進主要国の多くが、100%近い保護をしているのに対し、日本は20%台と明らかに低い。フランスは100%を超えているが、これは貧困者と分類されていない人々にも、公的扶助が及んでいるということである。

イギリス、フランス、ドイツ、アメリカなどの先進国では、要保護世帯のほとんどが生活保護を受けているのに、日本では本来は生活保護を受けるべき状況なのに受けていない人が、受給者の4倍にも達するというのである。

生活保護というと、昨今では不正受給の問題ばかりが取り沙汰される。しかし、これは非常に偏向的なものだと言わざるをえない。

不正受給者というのは、せいぜい2~3万人である。一方、生活保護のもらい漏れは、800万人近くいると推定されている。どちらが大きな問題なのか、と言うのは火を見るより明らかだ。

日本では、必要がある人でも、なかなか生活保護を受けることができない。「日本は生活保護が非常に受けにくい国」なのである。

(中略)

それにしても、国はなぜ生活保護を悪宣伝ばかりして、その予算を削ろうとするのだろうか?

ここに、国の予算に対する姿勢が如実に表れていると言える。

国は、声の大きい者、国に圧力をかけてくる者に対しては優遇する。そして、国に文句を言わない人、国に文句を言えないような弱い立場の人に対しては、非常に厳しい態度をとる。

ここでそもそもの話になるが、国の予算というのは、あちこちに利権が絡んでいる。

まず省庁が予算を押さえる。省庁に関係する企業、団体などが予算に対して利権を求めてくる。それらの企業、団体などは、政治家と密接なつながりを持っている。政・官と企業が、三者で利権を分け合っているのだ。

その利権は、1円単位で網が張られていると言える。そして、その利権を持つ者たちは、国に常に圧力をかけてくる。だから、無駄な予算を削ろうとしても、なかなかできないのだ。

そして、税収が1円増えれば、その1円もたちまち利権に組み込まれてしまう。国はいつも1円の余裕もないと言っていいだろう。

ところが、生活保護受給者は、国に何も文句を言わない。

個人単位でケースワーカーや市の職員などに文句を言っている人はいると思われるが、団体となって、国に圧力をかけるようなことはない。

政治家に対して、ロビー活動をするようなこともないし、団結して選挙などで影響力を持つこともない。

だから、生活保護の予算は、政治家にとって非常に削りやすいのだ。この予算を削っても、文句を言ってくる人はあまりいないからである。

つまり、公共事業費や医療費などの利権構造が改まらないままの「財政健全化」のシワ寄せが、生活保護費の圧迫につながっているというのです。

4.「少子化問題」は起きるべくして起きた

「少子化問題」が起きる必然性について、大村大次郎さんは次のように述べています。

筆者(大村大次郎氏)は、この「90年代の公共工事狂乱時代」に、地方の税務署に勤務していたので、その異常さを肌身で知っている。

(中略)

当時からすでに人口動態により今後の日本は少子高齢化社会になるとわかっていたので、その対策を講じるべきではなかったのか。

待機児童のための施設をつくったり、子どもを産みやすくなったり、子育てをしやすくなったりするような、基盤整備になぜ使われなかったのか。

そして、もし老人や貧困者のための住宅建設を行っていれば、現在の社会保障費の大幅な節減につながっていたはずである。

この巨額の無駄遣いこそが、いまの日本社会に閉塞感を蔓延させた最大の原因だと言えるだろう。

財政支出の内容だけではなく、雇用政策の中身も、少子化を招いた大きな原因であるとして、大村大次郎さんは次のように指摘しています。

少子化問題は経済問題でもある。

データを見る限りでは、現在の少子化を招いた原因として、経済も非常に大きい要素を占めている。

男性の場合、正社員(30~34歳)の既婚率は約60%だが、非正規社員の既婚率は約20%である(「令和4年版 少子化社会対策白書」)。

非正規社員のうち、結婚している人が2割しかいないということは、事実上、非正規社員の男性は結婚が困難、ということである。

(中略)

現在、日本では働く人の約4割が非正規雇用である。その中で男性は、700万人近くもいる。20年前よりも倍増したのだ。つまり、結婚できない男性がこの20年間で300万人以上も増加したようなものである。

現在の日本は、世界に例を見ないようなスピードで少子高齢化が進んでいる。このままでは、日本が衰退していくのは目に見えている。どんなに経済成長をしたって、子どもの数が減っていけば、国力が減退するのは避けられない。

いまの日本にとって、経済成長よりもなによりも、少子高齢化を防がなければならないはずだ。

「非正規雇用が増えれば、結婚できない若者が増え、少子高齢化が加速する」

これは、理論的にも当然のことであり、データにもはっきり表れていることである。

なのに、なぜ政治家や官僚はまったく何の手も打たなかったのか、不思議でならない。

5.なぜ日本は「自殺大国」になったのか?

日本は、自殺者数や自殺率のデータを見ても、悲惨な数値が続いています。

近年、日本では自殺者が年間2万人を超えている。

(中略)世界的に見ても、日本の自殺率はワースト6位である。世界で6番目に自殺率が高いということは、世界で6番目に生きる希望がない国と言ってさしつかえないだろう。

(中略)

しかし日本は昔から自殺率が高かったわけではない。1995年の時点では先進国の中では普通の水準だった。フランスなどは、日本よりも高かったのだ。

90年代後半から日本の自殺率は急上昇し、他の先進国を大きく引き離すことになった。一時的には年間3万人を超えることもあった。この当時の日本の自殺率を押し上げたのは、中高年男性の自殺の急増である。90年代後半からリストラが激しくなり、中高年男性の失業が急激に増えたことが背景にある。

その後、中高年の自殺が落ち着くと、今度は若者の自殺が多くなった。

中高年のうち、経済的弱者などが自殺していなくなり、残された若者世代の自殺が多くなったというわけである。

これを見たとき、われわれはこれまで一体何をしてきたのか、疑問を持たざるをえない。こんな社会をつくるために、一所懸命頑張ってきたのだろうか?

6.選挙に行かないから政治がどんどん悪くなる

このようなひどい世の中を生み出してしまった原因として、大村大次郎さんは「低投票率」のことを指摘しています。

OECDの38ヵ国における選挙の投票率を低い順にランキングした(中略)ランキングにおいて、残念ながら日本は第4位(同率3ヵ国)である。

日本が「子育て地獄」になったのも、この投票率の低さがかなり影響している。というのも、日本の投票率を引き下げているのは、若い世代だからだ。

2022年7月に行われた第26回参議院議員選挙では、全体の投票率は52.05%だったが10代は35.42%、20代は33.99%、30代は44.80%である。結婚する世代、子育てする世代である20代で、3人に1人しか投票していないのだ。

選挙に行かない若者の中には、「投票したい候補者がいない」ということを理由にする人が多い。

筆者(大村大次郎氏)としてもその気持ちは非常によくわかる。与党は利権のしがらみでがんじがらめになっており、野党は頼りなさすぎて危なっかしい。

しかし、だからといって投票に行かなければ、日本の政治レベルは下がっていく。

投票率が低くなると業界団体、宗教団体などの「組織票」の力が大きくなる。そうなると、政治家は、有権者全体のことよりも、業界団体や宗教団体のほうを向いた政治を行うようになる。そういう政治が行き着いた先が、いまの日本だと言えるのだ。

若者の投票率が低ければ、当然、政治は若者のほうを向かなくなる。子育て世代の投票率が3割台となれば、子育て政策がなおざりにされてしまうのが、いまの政治システムなのである。

食指の動かない候補者リストでも、どうにかして自分の意思に近い人を選びだし、一票を投じ、投票率を上昇させれば、政治家も有権者全体のほうを向かざるをえなくなるのだ。

それが日本の将来を明るくするために、われわれがしなければならない第一歩なのである。

このように指摘したうえで、大村大次郎さんは次のように結論づけています。

いまの日本で問題なのは金がないことではなく、金があるのにそれがきちんと循環していない、ということである。

週に40時間まともに働いて、家族を養うどころか自分がまともに食うことさえできない国というのは、世界中そうそうあるものではない。

政治家や財界人は、それを恥じてほしいものである。

これだけ金を持っているくせに、国民をまともに食わせることさえできないのか、ということである。

いまの日本に必要なのは、大企業、天下り特殊法人がため込んでいる金を引き出して、金が足りない人のところに分配することである。それは、決して特別なことではない。先進国として最低限度の雇用政策、経済政策をとるということである。

世界の10%という莫大な金を持っているのに、たった1億2000万人の国民を満足に生活させることができない、という「経済循環の悪さ」。その点に、為政者、経済界のリーダーたちが気づいていただきたいものである。

(中略)

そして「金がないから進学できない」「金がないから結婚、出産できない」というような若者を絶対に出さないことである。

7.トピックス①:櫛渕万里さん東京14区へ

れいわ新選組共同代表の櫛渕万里さんが、次期衆院選において選挙区を東京22区から東京14区に移動して出馬する予定であることを明らかにしました。

立憲民主党とれいわ新選組が東京14区と東京22区に関して選挙区の調整を行い、合意したのですが、この状況を分かったうえで、共産党は東京14区に新人候補を擁立することを発表しました。

ある意味で、れいわ新選組代表の山本太郎さんだけではなく、立憲民主党代表の泉健太さんの顔にも泥を塗るような候補者擁立を共産党がしてきたわけですが、共産党の側の事情を忖度するならば、あえてそうしてでもれいわ新選組に対して発したいメッセージがあるということなのだと思います。

それは、「大阪5区からの大石晃子さんの出馬を取り下げてほしい」ということなのか、「京都1区からの安持成美さんの出馬を取り下げてほしい」ということなのか、あるいはその両方なのか分かりませんが、共産党の側としてはそのようなことを考えているのではないかと私は想像します。

れいわ新選組の側も、共産党が東京14区に候補者を擁立してくる可能性を事前に考えていたようで、おしゃべり会で次のようなやり取りが行われています。

ここからは私個人の想像というか妄想になりますが、2019年参院選でれいわ新選組から東京選挙区に立候補した野原善正さんと今でもコンタクトが取れるなら、次期衆院選で沖縄1区から立候補してもらうとか、あるいは、2004年7月から2010年7月の時期に参議院議員を務めていた元民主党の喜納昌吉さんを探し出してきて沖縄1区に擁立みたいなことをするなら、共産党とれいわ新選組の間でバチバチのガチンコバトルが発生することになります。

8.トピックス②:市井紗耶香さん繰り上げ当選辞退

元立憲民主党で現在無所属の須藤元気参議院議員が4月28日に行われる衆議院補欠選挙に東京15区から出馬し、参議院で繰り上げ当選が発生することとなりました。

順当にいけば元モーニング娘。の市井紗耶香さんが次点で繰り上げ当選となるはずでしたが、市井紗耶香さんは繰り上げ当選の辞退を表明しました。

その市井紗耶香さんと2月に行われたトークセッションで泉房穂さんが共演していたようで、ツーショット写真が「X」(旧twitter)に上がっています。

その泉房穂さんは、解散総選挙が遠のいたのを見てタレント活動に力を入れるつもりなのか、ホリプロに所属することにしたそうです。

これは「エイプリルフール」のネタ投稿ではなく、本当にホリプロに所属することになったのだそうです。

9.トピックス③:『キャプテン翼』連載終了

1981年に『週刊少年ジャンプ』で連載が開始された『キャプテン翼』が、2024年4月4日発売の『キャプテン翼マガジン』掲載を最後としてマンガ連載を終え、原作者の高橋陽一さんが漫画家を引退することを発表しました。

『キャプテン翼』の連載が始まった1981年は野球全盛の時代で、失礼な言い方をするなら、日本ではサッカーは「マイナーなスポーツ」に過ぎませんでした。

当時、日本はプロリーグもなければ、サッカーW杯に出場したこともなく、「日本がW杯出場に最も近づいた」と言われた「木村和司伝説のフリーキック」が1985年、Jリーグの発足が1993年、「ジョホールバルの歓喜」でW杯出場を決めたのが1997年、W杯フランス大会に初出場したのが1998年、日韓共催W杯で初めてベスト16進出を果たしたのが2002年ということで、その後の日本サッカー界の歴史を先取りしたというか、日本のスポーツ文化を根底から変えたマンガであったと言うことができます。

実際、日本の中田英寿選手や、フランスのジダン選手、イタリアのトッティ選手、スペインのイニエスタ選手、ブラジルのカカ選手、アルゼンチンのメッシ選手など、各国の代表経験者が軒並み「小さい頃『キャプテン翼』のファンだった」とか「『キャプテン翼』から影響を受けた」といったことを語っています。

世界のサッカーに大きな影響を与えた『キャプテン翼』を生み出した高橋陽一さんには、本当にお疲れ様でしたと言いたいですし、サッカー日本代表には、高橋陽一さんが御元気なうちに是非「ワールドカップ優勝」の夢を実現してほしいと思います。


憲法9条変えさせないよ

プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。

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