政治を斬る!

立憲野党私設応援団(83)「救民内閣構想プランB」を考えてみる(その1)〜憲法9条変えさせないよ

※この連載はSAMEJIMA TIMESの筆者同盟に参加するハンドルネーム「憲法9条変えさせないよ」さんが執筆しています。


<目次>

1.泉房穂さんの「救民内閣構想プランA」は未完成

2.「非自民連立政権」と「民主党政権」それぞれの3人の総理

3.長嶋巨人「10.8決戦」の3人の投手リレー

4.私が考える「救民内閣構想プランB」の3人の総理

5.トピックス①:財務省解体デモ

6.トピックス②:ヤクルト「つば九郎」担当者逝去


1.泉房穂さんの「救民内閣構想プランA」は未完成

今回の記事は、森永卓郎・泉房穂(著)『ザイム真理教と闘う!救民内閣構想」(発行:ビジネス社、印刷・製本:三松堂印刷、2024年)を読んで、お二人の対談に触発される形で、「救民内閣構想プランB」について考えていきたいと思います。

私がこの本を読んだのは、今年の1月に亡くなられた森永卓郎さんを追悼する気持ちからで、昨年の衆院選で決起しなかった泉房穂さんの「救民内閣構想」については、これは実現できなかった「オワコン」のプランだと考えていました。

しかし、森永卓郎さんと泉房穂さんの対談の内容を読み進めていくと、泉さんの「救民内閣構想」は構想の途中の未完成のシナリオであり、20年の歳月をかけた壮大な日本の改革プランなのだということが分かりました。

泉房穂さんオリジナルの「救民内閣構想プランA」自体が未完成で、完成に向けてこれから練り上げられていくことになるわけですが、泉房穂さんは、さらに他のいろいろな人が「プランB」や「プランC」を次々と構想していくことを望んでいるようです。

まずは、その部分の記述を引用したいと思います。

泉:確実に今の政治状況を根本から変えるためには、総理候補は1人では足らない。最低3人いると思っています。そして、正当な方法で改革を実現するために、衆議院、参議院合わせて、選挙は5回必要です。

(中略)

 先に「政権交代で総理を取って、できることは、これまでの政治を止めることだ」と言いました。アメリカのように、大統領とまでいかなくても、日本の総理大臣にも相応の力がありますから、総理の座をとることに意味があります。

 しかし、おそらく簡単ではありません。対する「ザイム真理教チーム」と相打ちで1人目の総理が失脚の憂き目に遭い、2人目もおそらく財務省と相打ちで共に倒れると思いますから、3人ぐらい総理がいると思っているんですよ。

森永:そこはこれまでのご経験から。

泉:明石市長の12年間、私はずっとネガティブキャンペーンにさらされていました。リークされるのは「あること、ないこと」じゃないんです。身に覚えのない「ないこと、ないこと」をでっちあげられ、それで検察が動いて、捜査に挑むことは十分あり得る。

 だから繰り返しになりますが、総理を取った後、警戒すべきは財務省のリーク情報に基づくマスコミのネガティブキャンペーンと検察の捜査です。

 まさに国策捜査ですよ。たとえば財務省は、国税庁を使って脱税疑惑をでっち上げるとか、政治規正法(筆者注:政治資金規正法)違反の疑いをかけて検察が動くとか。大マスコミや権力いいなりの検察との闘いが始まるから、そこで持ち応えられるかどうかにかかってきます。

 ジャーナリストの田原総一朗さんとも話したのですが、2009年から2012年まで続いた民主党政権のときには、検察が政治資金規正法の違反容疑などで、小沢一郎氏を標的にしたようです。

 また、1993年から翌年まで続いた細川護熙政権でも、佐川急便からの借入金処理問題という10年前のネタによって、マスコミのネガティブキャンペーンが続き、それに屈したものだとされています。

(中略)

 そして、先に述べたような5回の選挙を勝ちきったとしても、実はまだそれで始まりなんです。本当に改革を成し遂げるには、国会だけでは終わりではありません。

 本当の意味で国民の方を向いた体制づくりには、先に述べた廃“県”置“圏”、国・都道府県・市町村の3層構造を2層に変え、中央省庁の再編をすることも含めて、考えなければなりません。

 ですから、その次の敵は47都道府県の知事たちと、全国およそ1700もの市長・町長、さらに各市会議員(筆者注:市議会議員)、町議会議員たちです。まさに既得権益との全面戦争です。

 これは生半可なものではないですし、5回の選挙に勝っても、それがスタートだということなんです。

森永:そうなると、10年計画ですか?

泉:私の見立てでは、その期間は10年ではすみません。5回の選挙というハードルを乗り越えて、都道府県の市町村への一体化という2層構造への改革、抜本的な中央省庁再編に手をつける。先に述べたように、明治維新に匹敵するような、“令和の大革命”を成し遂げねばならないのです。

森永:明治維新レベルの改革とは、本当に凄いプランですね。

(中略)

泉:私の役割り(原文ママ)としては、まずはシナリオを書くこと。そして5回の選挙であれば5回の選挙のキャスティングが必要で、それを行うこと。つまり5回、映画のロードショーを成功させるようなものです。私の役割は映画でいうところのシナリオを書いて、総監督を務めるということでしょうね。

森永:なるほど、壮大な計画です。

泉:シナリオも20年分ぐらいのストーリーですからね。シナリオは状況に応じて途中で変えてもいいし、現場で変更することもありです。ただ、いったんは20年分を用意する必要性を感じています。

 そしてそれは、全部自分1人で書きたいわけではなく、「みんなで書きましょう」という感じです。自分は言い出しっぺとして、1つの案を示す責任があると思うから、A案かB案などの、「泉案」を示すから、違うC案、D案のアイデアをぜひ出してほしいですね。アイデアに文句があれば、どんどん議論しましょう。ただポイントは、「本気で日本を変えましょうという気持ち」です。

森永:みんなでつくるわけですね。

泉房穂さんの話で、私が特に注目したいのが、「総理候補は1人では足らない。最低3人いる」という話です。

この「3人の総理候補」という点に着目して、今回および次回以降の私の連載記事で、「救民内閣構想プランB」について考えていきたいと思います。

2.「非自民連立政権」と「民主党政権」それぞれの3人の総理

まずは、失敗に終わった1993年の「非自民連立政権」と2009年の「民主党政権」の「3人の総理」を振り返ってみましょう。

日本新党の細川護熙さんを首班として1993年に発足した「非自民党政権」は、「政治改革」を掲げて颯爽とスタートしたものの、首班の細川護熙総理が佐川急便からの1億円借り入れ問題を追及され、発足から8ヵ月で辞任に追い込まれました。

その後、新生党の羽田孜さんが後継首班となり、(1994年の)平成6年度予算を成立させたものの、予算成立後に内閣不信任案が国会に提出され、それを受けて羽田内閣は総辞職しました。

そして、羽田内閣総辞職に伴う首班指名選挙で、小沢一郎さんは海部俊樹さんを後継首班候補に担ぎ出し、投票は決選投票にまでもつれ込みますが、自由民主党・日本社会党・新党さきがけが推す社会党委員長の村山富市さんが決選投票を制して(非自民連立政権3人目の)「海部俊樹総理大臣」の誕生は幻に終わり、「非自民連立政権」は政権交代からわずか1年足らずで終焉を迎え、「自社さ連立政権」が発足して自民党が政権復帰を果たすこととなりました。

それから15年の月日が流れ、2009年に再び政権交代が起きて自民党は下野し、鳩山由紀夫さんを首班とする「民主党政権」が発足します。

しかし、民主党幹事長の小沢一郎さんが「西松建設事件」を追及され、「政治とカネ」の問題で民主党がマスコミからネガティブキャンペーンを受けることとなり、政策面においても、1人目の鳩山由紀夫総理が外務官僚にミスリードされて辺野古沖への新基地建設を決め、2人目の菅直人総理が財務官僚にミスリードされて消費税増税の方針を打ち出し、3人目の野田佳彦総理が経産官僚にミスリードされて原発再稼働の決断を下してしまい、「スリーアウト・チェンジ」で自民党政権へ大政奉還がなされることとなりました。

実は、民主党3人目の総理大臣を選ぶ民主党代表選挙において、第1回投票では小沢一郎さんの推す海江田万里さんが1位を取っていたのですが、決選投票で野田佳彦さんが逆転して、野田総理が誕生する流れになったのでした。

1993年の「非自民連立政権」においても、2009年の「民主党政権」においても、小沢一郎さんが思い描いていた構想は実現せず、「3人の総理候補のリレー」はともに失敗に終わりました。

3.長嶋巨人「10.8決戦」の3人の投手リレー

ここで話題を変えて、政界からプロ野球の世界に目を転じてみましょう。

「3人の投手リレー」が成功した例として、1994年10月8日に巨人と中日が優勝を懸けて戦った「10.8決戦」のことが思い出されます。

この年のセリーグは、129試合を終えた時点で巨人と中日がともに「69勝60敗」の成績で並び、ナゴヤ球場で行われる「中日vs巨人」の最終戦の結果でリーグ優勝の行方が決まるという展開になっていました。

長嶋茂雄監督率いる巨人は、その年の5月に平成時代唯一の完全試合を達成した槙原寛己投手に大一番の先発を託します。

ところが、この日の槙原投手は大乱調で、1回裏にいきなり1番打者の清水雅治選手に2塁打を打たれてしまいます。

続く2番打者の小森哲也選手が送りバントを空振りし、2塁ランナーの清水選手が塁に戻れずにアウトになりますが、ライト前ヒットを放って1死1塁の場面となります。

さらに3番打者の立浪和義選手が死球で出塁して1死1塁2塁と、中日がチャンスを広げます。

この場面で打席に立った4番打者の大豊泰昭選手はピッチャー返しの鋭い打球を放ちますが、巨人の2塁手の元木大介選手がベース寄りに守備位置を取っていたことから、セカンドゴロで「4-6-3」のダブルプレーとなって、中日は先制点のチャンスをつぶしてしまいます。

2回表の巨人の攻撃は、4番打者の落合博満選手のソロホームランなどで2点を先制します。

2回裏の中日の攻撃は、5番打者のアロンゾ・パウエル選手、6番打者の仁村徹選手、7番打者の彦野利勝選手、8番打者の中村武志選手が4者連続ヒットを放ち、巨人側のまずい守備もあって、中日が「2-2」と同点に追い付きます。

なおも無死1塁2塁のピンチが続く場面で、長嶋監督は槙原投手をあきらめ、2番手の斎藤雅樹投手にスイッチします。

斎藤投手は2日前の試合でも投げていて中1日での登板で、しかも右足内転筋を痛めていて足をテーピングでぐるぐる巻きにしての投球でしたが、2回裏のピンチをしのぎ、その後6回裏までの5イニングを1失点と好投を見せます。

巨人打線は、2回表の落合選手のソロホームランに続き、村田真一選手、ヘンリー・コトー選手、松井秀喜選手にもそれぞれソロホームランが飛び出し、一発攻勢やタイムリーなどで、9回で6得点という攻撃を見せます。

そして巨人は、7回裏から3番手の桑田真澄投手がマウンドに上がります。

桑田投手は3日前の試合でも投げていて中2日での登板でしたが、魂のこもったピッチングで、7回から9回までの3イニングを無失点に抑え、「6-3」で試合に勝って、優勝の胴上げ投手となります。

「10.8決戦」投手リレー


投手投球イニング失点
先発投手槙原寛己1回0/3
勝利投手斎藤雅樹  5回
救援投手(セーブ)桑田真澄  3回

槙原・斎藤・桑田の「3本柱」による投手リレーで大一番の試合に勝利し、巨人は球団創設60周年の記念の年にセリーグ優勝を果たし、さらにパリーグ優勝の西武との日本シリーズも4勝2敗で制して、「日本一」に輝きます。

「10.8決戦」の時の槙原投手の投球は、打者8人と対戦して6安打1死球という散々なもので、もっと大量に失点していてもおかしくない内容でした。

唯一打者を打ち取った大豊選手の併殺打も、2塁手の元木大介選手が「1・2塁間を詰めるのを失念して、ベース寄りに守っていた」ことによる偶然の産物で、本当に「運が良かった」としか言いようがありません。

ちなみに、槙原投手はその後の西武との日本シリーズにおいて、第2戦で完封勝利、第6戦で1失点完投勝利をあげ、日本一を決める胴上げ投手になったうえに、日本シリーズのMVPも獲得しました。

1994年の槙原投手は、本当にすごいくらいの強運を持っていました。

巨人スコアメモリアル【巨人・中日同率首位優勝決定戦「10.8」】1994年10月08日(土)

週刊ベースボールONLINE 最終戦同率決戦!伝説の「10.8」【1994年10月8日】

熱闘ベースボールレコード 【伝説の優勝決定戦】1994年読売ジャイアンツを振り返る!国民的行事の裏側

4.私が考える「救民内閣構想プランB」の3人の総理

さて、政治の話に話題を戻しますが、泉房穂さんは「確実に今の政治状況を根本から変えるためには、総理候補は1人では足らない。最低3人いる」と語っています。

政権交代を実現するまでに3年くらい時間がかかると仮定したうえで、私の独断と偏見で、このような「3人の総理候補のリレー」を見てみたいと考えています。

「救民内閣構想プランB」総理候補リレー


内閣総理大臣所属
2028年~2029年泉房穂泉新党
2030年~2039年山本太郎れいわ新選組
2040年~2045年三好諒れいわ新選組

泉房穂さんは「救民内閣構想」について語る中で「1人目の総理は長く持ちません。」と言っておられますが、私個人の考えとしては、「そうはいっても最低1年、できれば2年くらいは政権を持たせてほしい。」というふうに思っています。

「劇場版 孤独のグルメ」では、俳優の松重豊さんが監督・脚本・主演の一人三役を務めていますが、同じように「救民内閣構想」も、泉房穂さんが監督・脚本・主演の一人三役を務める必要があるのではないでしょうか。

1番手の泉房穂さんが、「10.8決戦」の槙原寛己投手の役割です。

そして、泉房穂さんの次は、れいわ新選組の山本太郎さんに、本格的長期政権を担ってほしいと考えています。

2番手の山本太郎さんが、「10.8決戦」の斎藤雅樹投手の役割です。

できれば、10年以上政権を担当することで、亡くなられた安倍晋三さんが持っている総理在職日数の記録を更新してほしいと思っています。

最後に、山本太郎さんの後は、同じくれいわ新選組の三好諒さんに総理大臣をやってほしいと思います。

3番手の三好諒さんが、「10.8決戦」の桑田真澄投手の役割です。

日本は1951年のサンフランシスコ平和条約で形式的には独立を回復していますが、実質的な面を見れば、はたして「独立国家」と言えるのか、非常に怪しい状況にあります。

2045年の「戦後100年」を目標に、「アメリカからの実質的な独立」を勝ち獲るという大事業を実現する役割を、ぜひ三好諒さんに担ってもらいたいと考えています。

それぞれの政権で実現してほしい具体的な政策に関しては、次回以降の私の連載記事で、論究していきたいと思います。

5.トピックス①:財務省解体デモ

財務省解体デモが盛り上がりを見せています。

6.トピックス②:ヤクルト「つば九郎」担当者逝去

ヤクルトスワローズのマスコットキャラクター「つば九郎」を支えてきた担当者が逝去したと2月19日に球団より公表されました。

謹んでご冥福をお祈りいたします。

「つば九郎」へ向けて、私から和歌を詠みたいと思います。

きゅうしゅんの そらへとびたつ つばくろう われもえみふる かれもえみふる


憲法9条変えさせないよ

プロ野球好きのただのオジサンが、冗談で「巨人ファーストの会」の話を「SAMEJIMA TIMES」にコメント投稿したことがきっかけで、ひょんなことから「筆者同盟」に加わることに。「憲法9条を次世代に」という一民間人の視点で、立憲野党とそれを支持するなかまたちに、叱咤激励と斬新な提案を届けます。