安倍晋三元首相の妻・昭恵夫人が米国次期大統領のトランプ氏に夕食会に招かれた時、私は石破茂首相を毛嫌いしている麻生太郎元首相が昭恵訪米に関与しているとの見方をYouTubeで示した。
石破首相はトランプ氏の大統領就任前の会談を打診したが、断られていた。その理由は「就任前に他国の首脳とは会わない」だった。ところがトランプ氏はその後、カナダ首相やフランス大統領と相次いで会談し、石破首相のメンツは丸潰れになっていた。
そこでトドメを刺すような昭恵・トランプ会談である。トランプ氏は2016年に大統領選に勝利した際、就任前に安倍首相と会っていた。今回は昭恵夫人が石破首相に先駆けて会ったのだ。しかも安倍氏も石破首相とは犬猿の仲だった。これは石破首相へのあてつけ以外の何者もでもない。
昭恵夫人が独力でトランプ氏との会談を実現させるのは難しい。そこで、今年春に「もしトラ」に備えて真っ先にトランプ氏と会談していた麻生氏が昭恵夫人をサポートしていたのではないかと私は見立てたのである。
なにしろ麻生氏は石破首相が大嫌いだ。石破政権では非主流派に転落し、石破おろしの機会をうかがっている。昭恵・トランプ会談を実現させて石破首相のメンツをつぶす動機は十分にある。
そうした見立てをユーチューブ動画で配信した。当時、このような見方を示したジャーナリストはほとんどいなかったのではないか。(以下は当時の動画)
トランプ氏は昭恵夫人との会談後、石破首相と就任前の会談に応じる姿勢に転じた。昭恵訪米によって石破外交が前へ進んだのである。これまた石破首相にとってはメンツ丸潰れだった。
石破首相も昭恵訪米の背後に麻生氏の影を感じ取ったのかもしれない。クリスマスイブの日、就任後はじめて麻生氏と国会内で会談し、恥を忍んでトランプ氏との会談に向けて助言を求めたのだろう。
その直後、FNNが昭恵・トランプ会談に麻生氏の元秘書で安倍政権で外務副大臣を務めた薗浦健太郎元衆院議員が同席していたと報じた(こちら参照)。それによると、 薗浦氏がトランプ氏に近い人物を通じて会談を調整したという。 トランプ氏との会談では、安倍氏と石破首相は犬猿の仲だったことも話題にのぼったらしい。
薗浦氏は政治とカネの問題で議員辞職に追い込まれたが、その後も麻生側近の立場を維持している。外務副大臣を歴任しており、外務省とのパイプもある。麻生氏の意向をうけて昭恵トランプ会談の実現に動いたのは間違いないだろう。
やはり黒幕は麻生氏だった。石破おろしの第一弾を米国で放ったといっていい。
来春の予算成立までは誰が首相になっても少数与党として厳しい国会運営を迫られる。予算成立までは石破首相を国会審議の矢面に立たせ、予算成立後に今度は国内で石破おろしの狼煙をあげるーー麻生氏の逆襲が始まったとみていい。