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麻生太郎 小泉進次郎と衝撃の面会!総裁選最終局面で菅義偉と手を結んで進次郎に乗り換えるという老獪な立ち回りでキングメーカーの座を守るのか? 総裁選はいよいよ9月27日投開票

小泉進次郎氏、石破茂氏、高市早苗氏の三つ巴になった自民党総裁選。当初本命視された小泉氏が国会議員票では優勢なものの、党員投票で伸び悩み、上位2人による決選投票に勝ち残れるかどうかが大きな焦点となっている。

小泉氏は、国会議員票で勝敗が決する決戦投票にさえ進めば勝利する可能性が高いが、第一回投票で3位に沈む可能性も指摘されている。その場合、国会議員に不人気の石破氏vs高市氏の対決となり、決選投票の行方はまったく見通せない。

そんな最終盤で俄然注目を集めているのが、派閥存続を唯一宣言している麻生太郎副総裁だ。

麻生氏は麻生派の河野太郎氏の擁立を認めたものの、他の候補の支援も容認。麻生派議員を小林鷹之氏や上川陽子氏らの陣営に分散させ、決選投票で勝ち馬に乗る戦略を進めてきた。はたして最終盤で麻生氏が上位3人のうち誰に乗るかが勝敗を大きく左右する状況になってきたのだ。

私はこれまで①麻生氏には高市氏には乗りにくい事情がある(米国が高市氏の靖国参拝で日米韓の連携が揺らぐことを警戒していること、麻生氏は家柄や格式を重んじる「権威主義者」であること等)②麻生氏は石破氏が大嫌いだ(麻生内閣の時に農水相だった石破氏が真っ先に麻生おろしに動いたことを根に持っている)ーーことを指摘。麻生氏は 高市氏に乗るフリをして、小泉氏を担ぐ菅義偉氏を焦らせ、土壇場で有利な条件で和解し、最後は小泉氏に乗る老獪な立ち回りをするのではないかと予測してきた。

その矢先、『小泉進次郎氏、麻生副総裁と面会「力を貸してください」』とのニュースが飛び出した。やはりという感じである。

麻生氏が高市氏に乗るつもりなら、小泉氏失速が伝えられている今の情勢で面会する必要はない。少なくとも最終局面で小泉氏に乗る選択肢を排除していないのは明らかだ。

小泉氏の後ろ盾である菅義偉氏がこの面会を知らなかったはずはない。小泉氏は、麻生氏とキングメーカーの座を争う菅氏と入念な相談をしたうえで麻生氏と会ったとみられる。だとすれば、菅氏も最終局面の情勢を分析したうえで、麻生氏の支持を得なければ決選投票に勝ち残れないリスクが高まったと判断し、麻生氏をキングメーカーから蹴落とすことをあきらめ、連携に舵を切ったということであろう。

しかもそれが報じられたということは、麻生氏も小泉氏と面談した事実が自民党内に広がることを容認しているとみていい。麻生氏と菅氏が手を握ったという観測が広がれば、模様眺めの議員たちが小泉氏支持へ雪崩を打つことを承知のうえで面会したのである。

麻生氏は河野太郎氏の推薦人に麻生派議員18人、上川陽子氏の推薦人に麻生派議員9人を振り向けている。しかし河野氏も上川氏も決選投票に勝ち残る可能性はない。これら推薦人の第一回投票は死票となる。それを第一回投票から小泉氏にひそかに回せば、小泉氏が決選投票へ勝ち上がる可能性は格段に増すであろう。

もちろん、この面会をもって、麻生氏が最終的に小泉氏に乗ると約束したことはない。これから土壇場まで菅氏との条件闘争を重ねるだろう。

菅氏がキングメーカーの座に君臨すれば、麻生氏は10月解散総選挙で政界引退に追い込まれるとの観測もあった。ここまでこればその事態は回避したとみていい。もちろん条件闘争はそれだけではない。自らが副総裁にとどまることに加え、幹事長や官房長官という要職に誰を起用するのか(あるいはしないのか)、このあたりも取引材料となる。

海千山千の老獪な政治家同士。ここまでくれば裏交渉が決裂する可能性は低いのではないか。決裂してもお互いにいいことはないからだ。賢明な重鎮は土壇場で「相打ち」を避け、お互いの体面を守る「談合」を成立させるものである。

それにもかかわらず、小泉氏が決選投票に進めない結果となった場合は、麻生氏と菅氏という重鎮も自民党内をコントロールできないほど統治システムが揺らぎ、中堅若手をはじめとする個々の議員がそれぞれの判断で投票先を決めたということだ。

さて、結果はいかに。総裁選の投開票日は27日。いよいよ大決戦である。



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