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維新の路線対立が鮮明に!自公連立入りを視野に自民接近を強める馬場代表vs総選挙対策で政権批判重視の吉村知事「黒塗り」めぐり真っ向対立 「馬場代表が入閣したいだけ」との声も

日本維新の会の馬場伸幸代表が暴走している。維新の主張を踏まえて政策活動費の領収書を10年後に公開する規定が盛り込まれ、自公維3党の賛成で衆院を通過した政治資金規正法の改正案をめぐり、一部を黒塗りして公開することを容認する発言をしたのだ。

維新が自民の改正案に賛成する大方針は、岸田文雄首相と馬場代表の党首会談でトップダウンで決定した。ところが自民が国会に提出した修正案は領収書公開を50万円超の支出に限定していたため、維新は党首会談の合意に反するとして激しく反発。自民はいったん提出した改正案を取り下げて50万円超の限定を削除し、再提出していた。

ただし、具体的な公開のルールは法案成立後に検討するとしてあいまいなことから、立憲民主党は「10年後に公開された時点で多くの部分が黒塗りにされる恐れがある」などとして「抜け穴だらけ」と反発。全面公開なのか、黒塗りなのかがひとつの焦点となっていた。

馬場代表は改正案が衆院を通過した6日の記者会見で、公開には個人情報への配慮が重要と指摘した上で「プライバシーに関わる部分はマスキングが必要だ」と明言したのである。

自民と実務者協議にあたってきた維新議員たちが公開ルールを少しでも広げようとしているなかで、トップの馬場代表が頭越しに「黒塗り」をあっさり容認してしまった格好だ。維新の「改革圧力」は大きく削がれ、「維新は抜け穴だらけの改正案成立に手を貸した」との批判が強まりそうだ。

維新の共同代表である吉村洋文・大阪府知事は記者団に「10年先ならプライバシーは守れる。黒塗りはおかしい」と疑問を呈した。馬場代表と吉村知事で公開のあり方を巡り意見の相違が表面化した格好だ。

馬場代表はそもそも党首会談で岸田首相の合意した際、「100%我が党の考え方が通った」と明言し、自民修正案への賛成に前のめりだった。その後、維新の実務者たちが実際の修正案に反発し、自民との協議が難航していたが、積み残された論点である「黒塗り」について、馬場代表がまたも真っ先に自民寄りの姿勢を鮮明にしたといえる。

馬場代表の自民接近路線は党内でも突出している。次の総選挙で自公与党が過半数割れした場合の対応をインターネット番組で問われ、維新が連立する可能性は排除しなかった。これに対し、吉村知事が「連立入りすれば維新は消滅する」と真っ向から否定したこともある。

維新は反自民よりも反立憲を全面に打ち出し、野党第一党を奪う目標を掲げてきた。ところが大阪万博への批判で失速し、一時の躍進はストップ。関西圏以外では伸び悩み、全国政党への脱皮は進んでいない。

一方、支持率が低迷していた立憲民主党は、自民党の裏金事件で息を吹き返し、4月の衆院3補選と5月の静岡県知事選で4連勝。このうち自民不戦敗の衆院2補選(東京15区と長崎3区)では維新を打ち負かし、野党第一党争いに決着をつけた。7月の東京都知事選には蓮舫氏を擁立し、自公と連携を深めてきた小池百合子知事に挑むことを決め、勢いづいている。

維新が次の総選挙で野党第一党を奪取する可能性はほぼ消滅したなかで、馬場代表はむしろ「自公過半数割れ」による維新の影響力拡大を基本戦略に据えたようだ。そこで総選挙後の自公連立入りも視野に自民接近を強めているとみられる。「馬場代表が連立政権で入閣して大臣になりたいだけだ」「すでに自民党側から大臣ポストをぶら下げられているのではないか」との見方も広がっている。

だが、自民接近路線を強めるほど、次の総選挙で維新の勢いは止まりかねない。政権批判票はますます維新から離れ、立憲など他の野党へ向かうことになる。吉村知事が馬場路線と対立しているのは、自民接近路線では次の総選挙を戦えないという判断からだ。

政権入りか、議席増か。維新内部の路線対立は今後ますます強まるだろう。政局全体への影響も少なくない。

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