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ついにドローンも!ウクライナへの武器支援がエスカレート〜それでも追認していくマスコミ報道

国民総動員令を発令して成年男子の出国を禁じ、軍隊への招集令状を送って戦争を遂行しているゼレンスキー政権に対し、日本政府は自衛隊が保有するドローンや化学兵器対応の防護マスクなどの「防衛装備品」を追加支援すると発表した。ゼレンスキー政権の要請に基づくものだという。

日本政府が最初に防弾チョッキを支援する際、私は防弾チョッキといえどもウクライナ側の戦闘員に提供される以上は明白な「軍事支援」であること、戦争当事国の一方に軍事的に肩入れする行為はもう一方(ロシア)から敵国認定されて戦争に巻き込まれるリスクが高まること、さらには、当初は軍事用ヘルメットの支援にとどめていたドイツがミサイル供与に踏み切ったように「防衛装備品」の支援がエスカレートしていく恐れが強いことを指摘した(以下の記事参照)。その懸念がまさに的中したといっていい。

ウクライナへの防弾装備品提供で日本は「対ロシア戦争」に加わった!〜国会決議「ウクライナと共にある」の帰結

時を同じくして米国のバイデン政権はウクライナへドローンを中心に8億ドル(約1千億円)規模の軍事追加支援を決めた(『ウクライナに「ゴーストドローン」提供へ、米国「空軍が急いで開発」』参照)。このことはまさにドローンが今後のロシアとの戦争を遂行していくために極めて重要な「武器」であることを端的に示しているだろう。

日本が支援するドローンも戦場において人間を殺すための兵器として使用される可能性は極めて高い。私たちの国はすでに戦争当事国の一方を軍事支援し、戦争遂行に加担しているという現実をまずは直視するほかない。

これを伝えるマスコミ報道からはそのような自覚はまったく伝わってこない。朝日新聞デジタルの報道「自衛隊保有のドローンなど、ウクライナに提供へ 追加支援の要請受け」の全文をみてみよう。

 岸信夫防衛相は19日の閣議後の記者会見で、ロシアの侵攻を受けているウクライナに対し、防衛省・自衛隊が保有するドローンと、化学兵器対応の防護マスク・防護衣を提供すると発表した。ウクライナからの要請を踏まえた対応だという。数は調整中で、準備が整いしだい、民間機でウクライナ周辺国に輸送する方向で調整している。

 岸氏は会見で、ドローンが条件付きで武器輸出を認める「防衛装備移転三原則」の対象となる防衛装備品にあたるか問われ、「市販品だからあたらない」と説明。防護マスク・防護衣も含め「不用扱いにして供与する」と述べ、自衛隊の不用品を譲渡できるとする自衛隊法の規定に基づく対応だとした。防衛省関係者によると、ドローンは情報収集などに使うことを想定しているという。

 日本政府は自衛隊の防弾チョッキなどの防衛装備品をすでにウクライナに提供している。岸氏はウクライナのレズニコフ国防相との13日のテレビ会談で、追加支援の要請を受けていた。

この記事はご覧の通り、日本政府の主張を垂れ流しているだけである。

ドローンが戦場で人間を殺すために使用される「武器」と化す可能性が極めて高いという事実も、それが「防衛装備品移転3原則」の対象となるという日本政府の説明が適切なのかという解説もなく、ただ「ドローンは情報収集などに使う」という「防衛省関係者」の言い分を垂れ流し、追加支援をなし崩し的に正当化しようとする日本政府の世論工作に加担している。

これは国家権力を監視するジャーナリズムの役割を放棄した報道である。他のメディアの報道もさして変わりはない。防衛省の記者クラブをあげて「日本政府の広報機関」と化しているのが現状である。

マスコミがこのような報道を展開しているひとつの理由は、前回の「防弾チョッキ」の支援の際に「身を守る装備品だから問題はない」という日本政府の主張をそのまま受け入れ、無批判に報道したからだ。

ドイツの例をみて想像力を働かせたら、「防衛装備品」の支援がエスカレートしていくことは容易に想像できるのに、最初の段階で国家権力を批判的に報じないから、芋づる式に「垂れ流し報道」を続ける羽目になる。第一報の段階で厳しく批判していたら、追加支援が発表された時に、もっと厳しい姿勢で報道できたはずだ。権力監視の姿勢がそもそも欠如している。

なぜそのような甘い姿勢になるのかというと、朝日新聞をはじめマスコミが「ロシア=悪、ウクライナ=正義」の善悪二元論に染まり、この戦争を客観的に分析したうえで、日本政府のとるべき立場を中立的な視点から探るという、ジャーナリズムにとって当たり前の姿勢を放棄してきたからだ。

欧米メディアや国内世論に追従して感情的な報道を重ねてきたからこそ、日本政府の対応を批判的に報じることができないのである。

米国のバイデン政権は、ウクライナの人々の命を守るための即時停戦を進めるつもりは毛頭ない。逆にウクライナを盾にして戦争を長期化させ、ロシアへの経済制裁を強化・継続することでプーチン体制をじわじわ揺さぶり転覆させることを最優先している。

欧米主導の経済制裁に対して中国やインドをはじめ第三世界は極めて冷淡で、ロシアが孤立する気配はなく、ロシアのルーブルは軍事侵攻以前の水準に戻った。ウクライナを盾にした軍事的戦争も、制裁強化による経済戦争も長引く様相である。日本のウクライナ政府への軍事支援はますますエスカレートしていくだろう。

朝日新聞をはじめとするマスコミはいつになったら「反対」の声をあげるのか。

防弾チョッキ、ドローンの次は自衛隊の輸送機や輸送車の派遣かもしれない。戦闘員が使用するための防衛装備品を提供した時点で「超えてはいけない一線」をすでに超えてしまっている。今回のドローンを機に厳しく批判する姿勢に転じなければ、ずるずると追認を重ねていくことになるだろう。

以下は日本政府が最初にウクライナに防弾チョッキの支援を決めた時のYouTube解説である。改めてご覧いただければ幸いだ。

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