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枝野幸男、代表復帰を阻む「リベラル色」と「進次郎」〜3年前の代表辞任時から「いつかもう一度」と決めていた!真っ先に名乗りをあげた執念と限界

9月の立憲民主党代表選に真っ先に名乗りを挙げたのは、党の創始者である枝野幸男前代表だった。総選挙で惨敗して代表を退いてから3年。リベラル勢力の期待のエースである一方、保守層には拒否度が強い。代表復帰はあるのか。

立憲民主党代表選の日程(9月7日告示、9月23日投開票)が決定した直後の8月9日、枝野氏は国会内で記者団に出馬を表明した。マスコミではすでに「出馬の意向を固めた」と報じていたが、枝野氏は明言を避けていた。党創始者として泉健太代表の足を真っ先に引っ張るとの批判を避ける狙いだったのだろう。

枝野氏は一番乗りの出馬表明について「メディアをはじめこの問題への関心が高い状況の中、意思を固めたら早く明確にした方がいいと判断した」と説明。代表辞任から3年しか経っていないことについては「そうした指摘は十分理解する。私にためらう気持ちがなかったと言えばうそになる」としつつ、「最大野党の党首を、任期満了で選ぶ選挙だ」として問題はないと強調した。

泉代表については「厳しい状況の中で悪戦苦闘しながら1歩ずつ前に進めていただいた。感謝しているし、ありがたいと思っている」とねぎらったが、→あくまでも自分が党の創始者であるという自負がにじんだ。「あえて申し上げれば(3年前に)代表を辞した時から、いずれはもう1度この党を率いて政権にチャレンジしたいと一貫して思っていた」とも語り、かなり早い時期から出馬の意向を固めていたことを示唆した。

真っ先に出馬表明したのは、代表選戦略というよりも、我慢を重ねて出馬表明を見送ってきたが、代表選日程が正式決定したことを受けて、もう待ちきれずに表明したというのが実態であろう。

枝野氏は民主党政権で官房長官などを務めた。

2017年の民進党代表選で盟友・前原誠司氏に敗北して決別。小池百合子東京都知事が旗揚げした希望の党への合流を前原氏が決断した際、枝野氏らはリベラル色が強いとして小池氏に排除され、追い込まれるかたちで立憲民主党を結成した。

ところが希望の党が急失速し、予想に反して立憲民主党が野党第一党に躍進。2020年には希望の党の流れをくむ国民民主党の大半が立憲へ合流し、その後の代表選で枝野氏は国民民主党からの合流組である泉氏を倒して代表になっていた。

しかし2021年衆院選で惨敗し、代表を辞任。泉氏が代表に就いた後は党運営から一線を画す一方、代表時代に共産党やれいわ新選組と共闘し、時限的な消費税減税を掲げたことも「間違いだった」と総括した。

枝野氏は今回の代表選でも全国的な野党共闘路線は否定し、個別選挙区で調整できるところは協力するという立憲単独路線を唱える見通しだ。

問題は、枝野氏が代表選に勝てるのか、勝ったとしても枝野体制で総選挙で自公与党に勝てるのか、である。

7月の東京都知事選では枝野氏と同じくリベラル色が強い蓮舫氏が3位に惨敗した。立憲と共産のコア支持層の熱狂的な応援を得たものの、無党派層にはほとんど浸透せず、自公のステルス支援を受けた小池氏にダブルスコア以上の大差で完敗。人気ユーチューバーの石丸伸二氏にも無党派層の支持を奪われ、3位に沈んだ。

枝野氏は蓮舫氏の敗北のイメージもかさなりあう。リベラル色が強く、総選挙になれば保守層に反発を招くばかりか、無党派層にもそっぽを剥かれるという懸念が広がっているのだ。

さらに自民党総裁選で本命視される43歳の小泉進次郎氏が勝利すれば、自民党は世代交代を前面に打ち出して総選挙を戦うことになる。そこへ代表復帰の枝野氏を看板にして対抗できるのか。立憲党内にはネガティブな声が強い。

リベラルへの反発と世代交代の流れにどう対抗して勝利をもぎとるのか。枝野氏の展望はけっして開けていない。

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