政治とマスコミを斬る
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参院選公示にあたって〜ウソ臭い「客観中立」の仮面を外し、支持政党を鮮明にした「生きた選挙報道」へ脱皮しよう!

6月22日は参院選公示日。7月10日の投開票日に向けて夏の選挙戦が始まる。

この20〜30年にわたる自公政権の歪んだ政治がもたらした日本経済の低迷、とりわけ消費税増税やアベノミクスが加速させた貧富の格差の拡大、そこへ追い討ちをかけたウクライナ戦争による物価高。弱い立場にある人々ほど政治の失政のツケを背負わされるという不条理に満ちた現実の中で迎える参院選である。

21日には恒例の日本記者クラブ主催の9党首討論会があった。質問者は大手新聞社の毎度の面々。政治家や官僚、学者、経営者、マスコミ人ら勝ち組の上級国民の関心に沿う質問ばかりで、正直つまらなかった。大手マスコミが仕切る党首討論会は一般大衆の感覚とずれている。「やってる感」だけが伝わる内向きの討論会だった。

これでは参院選への関心が盛りあがるはずがない。投票率低下を招いている大きな責任は、上級国民の関心にしか応えないマスコミにある。マスコミがそんな状況だから、主要政党もまた上級国民の代弁者になってしまうのだ。

政治改革は政治報道改革から始まる。そう痛感する日本記者クラブ主催の党首討論会だった。

マスコミの政治報道がつまらないのは「客観中立」の殻に閉じこもっているからだ。それはマスコミ人たちが「フェアでありたい」という正義感に燃えているからではない。

そもそも「客観中立」報道というのは嘘である。何を取材するのか、どの部分を報じるのか、さらには何をトップニュースに掲げるのか。そもそも取材・報道という行為は、記者の主観的な価値観に基づく価値判断がなければ成り立たない。その現実を覆い隠して「客観中立」を強弁することほど事実に反する欺瞞はない。

それでも報道人たちが「客観中立」を強調するのは「偏っている」「不公平だ」という批判を浴びることを恐れているからである。自分たちの保身や出世を優先し、余計なトラブルに巻き込まれるリスクを回避するため、差し障りのない無難な記事を量産して「やってる感」を演出するには、「客観中立」という建前は実に都合のよい隠れ蓑なのだ。その内実は、一般大衆の立場に立って政治権力を監視・追及する報道人としての責任の放棄でしかない。

客観中立の建前を優先すると、各党の主張を垂れ流すだけの単調な政治報道になる。そこには突っ込んだ解説も批判もない(そもそも解説や批判は主観的なものだ)。アリバイづくりの両論併記や主張一覧で紙面は溢れる。政治報道・選挙報道が面白くなるはずがない。投票率は下がる。

それでいちばん得をするのは、政権を維持したい与党だ。マスコミ人たちが批判を恐れて展開する「客観中立」報道は、与党の政権維持に加勢しているのである。

本来、報道という行為は、主観抜きには成立しない。その主観を隠すのではなく、自分達はこのような考えに基づき、このようなバックグラウンドを持っているという内実を透明化し、政治的立場も鮮明にした上で、客観的なデータと論理的な主張を掲げて説得力ある記事を追求し、最終的な判断は読者に委ねる。それこそ、本来の報道という行為である。欧米メディアでは支持政党を明らかにした上で選挙報道をする方が一般的だ。

「これが客観中立の正しい情報だ」という上から目線で記事を一方的に押し付けるのではなく、「自分はこのような考え方に基づいてこのような現在の政治情勢をさまざまな根拠を示しながら誠実に読み解いた。私はこれが真実であると信じているが、それでもこれは絶対ではなく、ひとつの見方であり、読者の皆さんが最終判断するための判断材料にしてほしい」という態度が本来のあるべき姿だ。そのためには自らの考えや主張を読者にさらけ出し、それを理解してもらった上で記事を読んでもらうことがフェアな報道姿勢だと私は思う。読者はそのような主観的報道をいくつか対比させながら、自分自身の現状認識や主張を練り上げていけば良い。

私は朝日新聞記者時代から以上のような考え方を持っていた。だが、新聞社の中でそのような報道を実現することはできなかった。それほどまでに「客観中立」の建前は新聞社にとって金科玉条の「社是」になっている。

朝日新聞社から独立して1年がたった。私は今回の参院選では自らの立場を明確にして参院選報道をしようと考えた。ウソ臭い「客観中立」の仮面を外し、主観的見解を率直に示した上で評価していただく新しい形の「公正な報道」である。

日本を取り巻く閉塞感を打破するため、現時点において最も議席を伸ばしてほしいのは、れいわ新選組だと私は思う。そこで旧知の政治学者である中島岳志さんとの対談をYouTubeで配信し、れいわ新選組をなぜ支持するのかを明らかにしたところである。

この動画は大きな反響を呼び、実に多くの激励や共感が寄せられた一方、「ジャーナリストとして特定政党に肩入れしていいのか」「客観中立を踏み外している」という批判もいただいた。日本ではこれまであまりなかったことであり、違和感や戸惑いを感じた読者もいるだろう。

だが、これまでのウソ臭い「客観中立」の政治報道が日本の政治を良くするとは、私には到底思えない。試行錯誤を重ねながら一般大衆に寄り添った新しい時代の政治報道に挑戦していきたいと思っている。自分自身の主観的な立場を隠さずに鮮明に掲げた上で、データや論理性を充実させて説得力ある主張を追求する選挙報道はその第一弾だ。

その矢先、作家の雨宮処凛さんから「れいわ新選組への応援メッセージをショート動画でほしい」と依頼されたので喜んでお受けした。れいわ新選組のサイトからご覧いただきたい。