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兵庫県の斎藤知事、全会一致の不信任案に対抗して議会解散を断行する覚悟なし? なぜここまで居座ったのか? 暴走する知事を止められない自民・維新・総務省の劣化

兵庫県の斎藤元彦知事の不信任決議案が県議会で全会一致で可決された。斎藤知事はこれまで四面楚歌でも知事に留まる姿勢を見せてきたが、全会一致の可決を重く受け止め「結果責任」を認めた。

知事を辞職するのか、不信任案に対抗して史上初めて県議会を解散するのか。斎藤知事はこの日は明言しなかった。10日以内に判断することになる。

ふつう政治家が「結果責任」を認めるのは、辞職する覚悟を決めた時だ。これが総理大臣ならマスコミ各社は一斉に「退陣へ」と報じるところだろう。

けれども、斉藤知事はこれまであまりに稚拙な対応を繰り返してきただけに、報道陣もその真意をはかりかねているようだ。

私には議会解散に踏み切る覚悟はとてもなさそうに見えた。県議会を解散したところで、選挙後の新しい議会で不信任案が過半数の賛成で再可決されれば、即日失職する。

県議選にかかる税金は16億円。いったい何のための県議選なのか。

知事が県議選に自らを支持する候補者を大量に擁立し、現職を大量落選させ、過半数獲得を目指して不信任案の再可決阻止を目指すのであれば、県議会解散の意味はある。県民に対し、知事を支持するのか、県議会を支持するのかを直接問う選挙になるからだ。

けれども、斉藤知事にその覚悟があるようには見えない。候補者擁立の準備を進めている気配もない。今の不人気ぶりをみれば、仮に大量擁立したところで惨敗は目に見えている。

それでも県議会解散をちらつかせて知事の座に居座ってきたのは、すこしでも多くの知事報酬を得ることが目的だったとしか思えない。

政治家として戦うつもりもなく、単なる時間稼ぎをしているうちに不信任決議案の全会一致の可決に至ってしまったのではなかろうか。所詮は小役人にすぎなかったと私は思う。

このような人物を知事に担いだ自民党、そして維新の責任は重大だ。

総務省から大阪府財政課長に出向していた斎藤氏を3年前の兵庫知事選に担ぎ出したのは、自民党と維新だった。当時は菅義偉政権。菅氏は維新と蜜月だった。自民党兵庫県連には別の候補擁立を目指す動きもあったが、自民党はトップダウンで押し切ったのだ。

自民党兵庫県連にも維新への恐れがあった。当時は維新が躍進中で、本拠地・大阪から兵庫や京都、奈良など関西圏に勢力を拡大しつつあった。兵庫県知事を維新に奪われるくらいなら、相乗りしたほうがマシだという思いもあったのだろう。

自民党と維新の党利党略から担ぎ出されれたのが斎藤氏だった。

斎藤氏にはもうひとつの顔がある。総務省のキャリア官僚出身であることだ。

実は兵庫県は前任知事(5期20年)も、その前任知事(4期20年)も総務省(自治省)出身である。その前任(4期20年)は警察庁出身だ。半世紀以降も中央省庁の官僚を相乗りで担ぎ出し、兵庫県政界は与野党を超えて利権を分け合ってきたのである。

今は全会一致で斎藤知事に辞任を迫る兵庫県議会には、このような与野党談合の歴史があることも見逃せない。

このような官僚出身知事は、自ら選挙を仕切るノウハウがなく、政治家に担がれて選挙に勝つ。だから政治家たちには逆らえず、政治家たちの利害調整を通じてパワーバランスの上で県政運営を続けていくのが一般的だ。斎藤知事のような四面楚歌になるのは珍しい。

斎藤知事の居座りを見て、政党も総務省もコントロール不能になった「現代版官僚知事」が出現したと私は思った。自民党の菅前首相も維新の吉村知事も、そして総務省の先輩たちも、斎藤氏に辞任を受け入れさせることができなかったのだ。それほど政党や中央省庁の影響力が落ちてきているということだろう。

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