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安倍氏に従う岸田・高市vs.安倍氏に背く河野・石破〜石破氏不出馬の可能性を読み解く

自民党総裁選の構図が見えてきた。安倍氏に従う「岸田・高市」vs.安倍氏に反く「河野・石破」だ。影の主役は安倍晋三前首相である。

詳しい読み解きをプレジデントオンラインに寄稿した。以下のツイートからも記事を読めるのでご覧いただければ幸いだ。

私はこの記事で、安倍氏が最も警戒してきた石破茂元幹事長が出馬を見送り、世代交代を訴える河野太郎ワクチン担当相の支援に回る可能性に触れた。SAMEJIMA TIMESでは、石破氏の立場をさらに深掘りしてみたい。

まずは総裁選の仕組みをおさらいしておこう。

国会議員票383票(1人1票)と党員票383票(約113万人の党員票を比例配分)の計766票の過半数を取れば勝ちだ。誰も過半数に届かなければ上位2人による決選投票に持ち込まれる。決選投票は国会議員票383票と各都道府県連に1票ずつ配分された党員票47票の計430票で争う。国会議員票の比重が格段に増すので、決選投票になれば派閥の力がモノをいう。

自民党員を対象にした9月4日時点の調査によると、石破氏が29%でトップ。続いて河野氏が21%、岸田文雄氏が19%で続いている。ただし、石破氏は国会議員票で苦戦が予想される。石破派は出馬に必要な推薦人の20人に満たない弱小派閥。安倍氏と確執の深い二階俊博幹事長の助けを借りて出馬にこぎつけ、党員投票で優位に立ったとしても、候補者が乱立して決選投票にもつれ込めば、安倍氏が率いる最大派閥・細田派や第二派閥・麻生派の支援を受ける岸田氏に逆転される可能性が高い。これは河野氏が決選投票に進んだ場合も同じだ。

そこで石破氏が出馬をとりやめて河野氏の支援に回り、党員投票で圧勝して第一回目投票で過半数獲得をめざすーー安倍氏に従う岸田氏の勝利を阻止することが「河野・石破連合」の狙いである。安倍氏が描く「決選投票で逆転」のシナリオを封じるための一本化といえる。

実際、石破氏は2012年総裁選の第一回目投票で党員票を多く集めてトップに立ったが、国会議員中心の決選投票で安倍氏に逆転された経験がある。あの逆転負けの再現だけは阻止したいという思いはあるだろう。

だが、「河野・石破連合」には落とし穴がある。

安倍氏が最も首相になってほしくないのは石破氏である。なぜなら、石破氏はこれまで、モリカケサクラなど安倍氏の疑惑解明に前向きな姿勢を示してきたからだ。

これに対し、河野氏は安倍内閣で外相・防衛相に抜擢され、首相候補に躍り出た経緯がある。安倍氏の疑惑追及に意欲を示したことはなく、首相になっても本腰を入れるかは不透明だ。さらに菅内閣ではワクチン担当相としてコロナ対策を担った。国民の不満が高いコロナ対策の抜本的転換に踏み切れるかも定かではない。2016年に安倍内閣を去った後、要職につかず干され続けたきた石破氏が安倍氏の疑惑追及やコロナ対策の抜本的転換にフリーハンドなのに対し、河野氏は一定のしがらみがあるといえるだろう。

河野氏は菅義偉首相とも親しい関係だ。菅首相は不出馬に追い込まれた場合は河野氏を担いで安倍氏に対抗する準備を進めてきた。その意味で河野氏は菅首相の後継者の側面が強く、河野政権が誕生すれば菅首相の影響力が残る可能性は捨てきれない。

しかも河野氏は麻生派の一員だ。麻生太郎副総理兼財務相は、派閥内の世代交代が進むのを嫌って昨年秋の総裁選では河野氏の出馬を許さなかった。今回は出馬自体は止めないものの、派閥としては支持しない意向だ。河野氏が麻生氏と決別して総裁選に勝利するのか、決選投票などで麻生氏の協力を得て勝利するのかで、河野政権の性格は大きく変わってくるだろう。

石破氏が河野氏支持に回る場合、石破氏がその代償として何をどこまで引き出せるかが焦点となる。石破氏としては①幹事長などの要職を得て政権運営に深くかかわること②安倍氏の疑惑追及に全力をあげることーーなどの確約を事前にとりたいところだが、河野氏が応じる保証はない。そこをあいまいにしたまま河野氏支持に回った場合、あとで梯子を外されても、弱小派閥の石破氏には手の打ちようがない。気付いてみると「安倍氏や麻生氏に支えられる河野政権」が誕生している恐れもある。一本化交渉はそう簡単ではない。

とはいえ、河野氏と石破氏がともに出馬すれば、反安倍票が分散することになり、安倍氏の思惑とおりに決選投票にもつれ込んで岸田氏を利する可能性が高い。土壇場で何かしらかのかたちで折り合うのではないか。

この点、安倍氏は岸田氏と高市早苗氏に圧倒的な影響力を握っており、いざとなれば候補者一本化や決選投票での連携を難なく進められるのが強みだ。さらに国家観やジェンダー問題で極めて右寄りな主張を掲げる高市氏とハト派を標榜する老舗派閥・宏池会を率いる岸田氏では党員の支持層が重なりあわないことも、第一回目投票で河野氏の過半数を制するには有利な材料である。

河野氏と石破氏の一本化交渉の行方が総裁選の当面の焦点となる。そこで重要なのは、河野氏が安倍氏や麻生氏との関係をどうするのか、明確な言葉で語らせることだ。マスコミ各社は河野氏に対してそこを厳しく追及しなければならない。現職閣僚なのだから追及する場面はいくらでもある。「ワクチン以外は答えない」という答弁を許してはならない。河野氏の立ち位置をあいまいにしたまま「河野政権」を誕生させるのは極めて危険だ。

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