自公与党は総選挙に惨敗し、15年ぶりに過半数を割った。石破茂首相は自ら掲げた「自公過半数」の勝敗ラインを18議席も下回ったものの、首相の座に居座る意向を表明した。
現時点では立憲民主党や日本維新の会、国民民主党など野党は自公連立入りを否定している。石破首相は萩生田光一氏ら裏金問題で非公認とした無所属4人を追加公認したり、野党議員を一本釣りしたりして過半数回復を目指すが、18議席を増やすのは簡単ではない。
それでも石破政権がすぐに倒れる気配もない。
野党勢力は数の上では過半数を獲得したものの、野党各党はバラバラで、立憲民主党の野田佳彦代表を首相に担ぐ野党連立政権をつくる機運はまったくない。
自民党総裁選で高市早苗氏を支持した安倍派など反主流派も大量落選し、ただちに石破おろしへ動く力はない。
石破政権は、ボロボロになりながら、当面は続く見通しだ。総選挙後、30日以内に召集される特別国会の総理大臣指名選挙でバラバラな野党に救われて「少数与党政権」として発足し、立憲、維新、国民の各党と個別に政策協議して大幅に譲歩しながら、予算案や法案を成立させていくことになろう。いわゆる「部分連合」(パーシャル連合)だ。
少数与党政権の基盤は極めて弱く、いつ倒れてもおかしくはない。内閣不信任案が提出されれば、いつでも可決され、衆院解散や内閣総辞職を選択するほかなくなる。
石破政権のままでは来年夏の参院選もボロ負けする可能性が高い。遅くても来年春の予算成立後には退陣を迫られるのではないだろうか。石破政権の余命は長くて半年であろう。
日本政界は大激動の時代に突入した。
自公与党は288議席から73議席減らして215議席のなった。過半数233議席を18議席下回る大惨敗である。自公両党が過半数を割るのは、民主党政権が誕生した2009年以来、15年ぶりだ。
小泉進次郎選対委員長は責任をとって辞任を表明したが、石破首相と森山裕幹事長は続投する意向を表明した。自ら設定した勝敗ラインをあっけなく棚上げしてしまったのだ。石破首相は総裁選での発言を翻して世論の批判を浴びたが、自らの進退を巡ってもなりふり構わず軌道修正である。
石破首相は「連立拡大なのか、閣外協力なのか。いろんなやり方がある」と記者会見で述べ、政権維持のため野党との連携を幅広く探る方針を示した。
しかし野党各党は、総選挙で惨敗し、国民人気も凋落した石破氏とは連携しにくい。維新や国民を連立政権に引き入れるための前提条件は、石破首相が退陣することではないだろうか。
自民党内も石破首相のままでは来年夏の参院選で再びボロ負けしてしまうという危機感が広がるだろう。来春の予算成立を花道に退陣を求める声が強まるに違いない。
石破政権はいつ倒れてもおかしくない。私はどんなに長く続いても来春までの半年だとみている。