「日本がトランプ政権と経済合意」「25%関税を回避」――このニュースに、安堵の声を漏らした国民も多かったかもしれない。だが、その裏側をひもとくと、そこにあるのは一方的に搾取された日本の姿、そして自国の利益より政権の延命を優先した首相の影が浮かび上がる。
これは単なる外交的失敗ではない。令和の不平等条約とも言える“屈辱合意”だ。
■口約束で国益を差し出す危うさ
事の発端は、トランプ政権が突如発表した25%の関税発動計画だった。それが15%に下げられたことで、日本政府は“最悪を回避した”と発表、経済界やマスコミもこれを歓迎。石破政権は、あたかも成果を挙げたかのように装った。
だが、蓋を開けてみれば、この合意には正式な文書が存在しない。口頭の取り決めにすぎず、解釈の食い違いがあれば、米国はいつでも25%に戻せるという立場だ。これでは交渉とは名ばかりで、米国の都合次第で日本は振り回される。
さらに驚くべきは、その見返りとして、日本が政府系金融機関を通じて米国に5500億ドル(約80兆円)もの巨額投資を約束した点だ。投資先は米国が一方的に決める。軍需産業、製薬業界、インフラ開発など、日本側に裁量はない。しかも利益配分は「アメリカ9、日本1」という一方的な条件。損失リスクは日本国民が負うのに、果実は米国が独占する構図である。
■交渉力なき日本、参院選に付け込まれる
そもそも、なぜこのような屈辱的な交渉結果に陥ったのか。それは、石破政権の“弱さ”に尽きる。
交渉は石破総理の側近・赤沢大臣が担当したが、彼は訪米のたびにへりくだるばかりで、主導権は常にワシントンにあった。
米国側は当初、関税発動は参院選の真っ只中である7月9日と通告。その意図は明白だった。選挙への影響を恐れる石破政権が譲歩を引き出されるのを見越してのタイミングである。
実際、石破政権が交渉で求めたのは、合意の「中身」ではなく「発表時期」だった。参院選後の8月1日への発動延期を勝ち取るために、日本は80兆円規模の投資という“貢物”を差し出すこととなった。これは、外交というより“脅迫に屈した服従”とすら言える。
選挙のために国を売る。これこそが、今回の合意の本質である。
■「売国総理」の正体――国内基盤なきリーダーの限界
外交には英語力でも知識でもなく、揺るがぬ政治基盤が不可欠だ。相手国の首脳と対等に渡り合うには、国内での支持と政権の安定が必要条件となる。
だが、石破総理の足元は脆弱だ。国政選挙に2連敗して衆参両院で過半数を失い、、内閣支持率は20%台に低迷。党内では右寄りの高市早苗氏の首相就任を阻止するための消去法として選ばれただけで、強力な支持基盤も後ろ盾も存在しない。
そんな政権が、米国大統領選に勝利し、勢いに乗るトランプ政権と対峙できるはずもなかった。外交での弱腰は当然の帰結であり、それはトランプ政権に完全に見透かされていた。
石破政権が合意後に発した言葉は、さらに国民の不信を募らせた。「国の将来のため、自分を滅して責任を果たす」「政権にしがみつくつもりはない」と語る石破総理だが、その“自己犠牲”という美辞麗句の裏にあるのは、明らかに“居座り”の論理である。
彼が守ろうとしているのは、国益ではなく自らの地位にすぎない。
■繰り返される屈服、日本に必要な「本当の外交力」
このまま石破政権が続けば、トランプ政権はさらなる要求を突き付けてくるだろう。そして、石破政権はまた、国民に黙ってそれを飲むのではないか――そうした疑念は拭えない。
外交とは、国家の尊厳をかけた闘いであり、譲れない一線を持たねばならない。しかし今の日本には、その一線を守る政治リーダーが存在しない。
強い国内基盤なくして、対外交渉は成り立たない。
石破総理は8月末に退陣表明に追い込まれる見通しだが、一刻も早く退陣させ、真に国益を守ることのできる体制へ早急に舵を切らなければ、日本はさらに“高くつく代償”を払わされることになりかねない。