本日11月28日14時より、日本ジャーナリスト会議(JCJ)で「政治を読み解く〜与野党激突の総選挙後の行方」と題してオンライン講演会を行います。参加費500円。申し込みをされた方は12月3日までの期限付きで視聴できます。申し込みはこちらをクリック。
今回は講演時間が質疑応答を含めて2時間あまり用意されています。時間がたっぷりあるので、この9月〜11月の自民党総裁選(岸田政権誕生)、衆院選(自民圧勝、立憲惨敗、維新躍進)、立憲民主党代表選(4氏の争い)の流れを歴史的に俯瞰したうえで、今後の政治の行方をじっくり展望してみたいと思います。
本日は特別にこのオンライン講演会のレジュメをここで事前公開します。
ひとつめのテーマは、菅義偉政権の退陣→自民党総裁選で岸田政権誕生→衆院選で岸田自民党が圧勝という一連の流れを受けて、自民党内の権力構造が大きく変化したことです。
① 岸田政権は麻生氏の独り勝ち、ついに「安倍vs麻生」へ
・首相官邸に権力が集中した安倍政権の権力私物化と疑惑隠蔽が生んだ「行政崩壊」
・「野党の非力」による低投票率で実現した安倍政権の国政選挙6連勝
・安倍、麻生、二階、菅の4長老が世代交代を阻み国家利権を独占した「長老政治」
・コロナ危機で行政崩壊が露呈。安倍政権、菅政権が相次いで倒れる
・岸田政権誕生の目くらましと「野党の非力」で衆院選を乗り切った自民党
・岸田政権は麻生独り勝ち。「安倍・麻生vs二階・菅」から「安倍vs麻生」へ
・ポスト岸田は林芳正か高市早苗か茂木敏充か
端的に言うと、安倍晋三氏、麻生太郎氏、二階俊博氏、菅義偉氏の「4長老」が支配してきた安倍・菅政権の勢力地図が大きく入れ替わり、岸田政権では麻生氏が突出しました。二階氏と菅氏は失脚しましたが、安倍氏の影響力も陰りが見えます。これを受けて安倍氏と麻生氏の盟友関係が軋み始めたことが最大のポイントです。
ふたつめのテーマは、野党第一党の立憲民主党が惨敗し、1990年代の政治改革が目指してきた二大政党政治が終焉を迎えつつあるということです。
② 立憲民主惨敗の真因は「二者択一の消去法」の二大政党政治への拒絶感
・2009年衆院選の政権交代は「二者択一の消去法」で実現
・民主党は自民党と中間層を奪い合う「接近戦」に成功
・民主党政権の失敗による有権者の幻滅と政治離れ、投票率の低下
・デジタル時代がもたらした価値観の多様性と「二者択一の消去法」の矛盾
・経済界に接近し労働者と離れた米民主党と英労働党。二大政党離れが進むドイツ
・政策が似通う二大政党への飽き。主張が鮮明な維新やれいわの躍進(第三極の台頭)
・トランプと高市早苗、サンダースと山本太郎(「中道を制した者が勝つ」という常識の崩壊)
・二大政党政治の幻影に固執する立憲代表選
枝野幸男代表は衆院選で「野党共闘」という言葉を使わず、「単独政権」を目指すと言明し、中途半端な「野党共闘」に終始した結果、「野党連合政権」の具体像が見えず、政権選択の選挙になりえませんでした。立憲民主党は「単独政権」を実現する力は持ち合わせていないのに、「単独政権」を掲げたことが、リアリズムを消失したと私は思います。
現在実施されている立憲民主党代表選でも、4氏とも自民党に対抗する勢力が野党第一党に結集する「二大政党政治」によって政権交代を目指すという幻想を追い続けているように見えます。これは価値観が多様化し、多党制による連立時代が常態化した世界の政治の潮流にも逆行しており、立憲民主党は来年の参院選に向けて展望が開けないのが現状でしょう。
三つめのテーマは、ふたつめと重なりますが、第三極である日本維新の会の躍進と、れいわ新選組の衆院進出によって、二大政党制から多党制へ日本の政治が大きく移行しはじめたということです。
③ 参院選に向けて本格的な多党制時代へ
・維新が狙うのは野党第一党(自民と維新の二大政党政治の実現)
・改憲を掲げる維新の狙い
・「自民vs立憲」のぼやける対立軸。「維新vsれいわ」の鮮明な対立軸
・公明と共産の将来
・参院選後の野党再編。二大政党政治から多党制時代へ
以上がオンライン講演会の大まかな流れです。質疑応答時間も十分にあります。ぜひご覧ください。お申し込みはこちらをクリック。