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最もイヤな「政治資金の透明化」から目をそらすための「派閥解消」パフォーマンス〜自民党の政治刷新本部の中間とりまとめはイカサマだらけ!

自民党の政治刷新本部(本部長・岸田文雄総裁)が裏金事件で失った政治への信頼回復を掲げてまとめた中間報告案によると、これからの派閥は「カネと人事」から完全決別し、ひたすら「政策」を勉強する集団に生まれ変わるそうだ。

はたして、そんなことがありうるのか。「派閥解消」は「政治資金の透明化」から目をそらすためのパフォーマンスとしか思えない。

中間報告案の柱はふたつ、「派閥解消」と「政治資金の透明化」だ。

🔸派閥解消

中間報告案は派閥について「カネと人事から完全決別」し、「政策集団」に徹することをうたっている。その実効性を担保するために、①派閥による政治資金パーティーの開催を禁止、②内閣改造・党役員人事の際に派閥が推薦名簿を提出することを禁止、③派閥事務所の廃止(活動は党本部で実施)、④派閥に法律違反があった場合、党本部が審査して活動停止や解散を要求ーーなどの項目を掲げている。

しかし、派閥は政党とちがって私的集団である。そもそも私的集団を禁止したり、解消したり、活動を制約することができるのか。

①の政治資金パーティーの禁止はなぜ「派閥」だけなのか。そもそも政治資金パーティーという仕組み自体がイカサマである。一般の献金は5万円超の寄付者を公開しなければならないが、政治資金パーティーは参加の対価としてお金を受け取る体裁を取り繕い、特別に20万円以下なら購入者を公開する必要はない。つまり寄付者の隠すために導入した「抜け道」の献金制度なのだ。

この結果、西村康稔前経産省が裏金疑惑渦中に開催した「架空パーティー」(パーティー券購入者はほとんど参加せず、平日に昼に軽食を出す形式的な勉強会)のような「偽装」が繰り返されている。このようなイカサマが合法的に認められていること自体が政治不信を買っているといっていい。

派閥に限らず、政治資金パーティーそのものを法律で禁止するのが筋だ。派閥による政治資金パーティーだけを禁止しても、派閥幹部の政治団体や政党支部が形式的には主催し、実際は派閥が取り仕切るパーティーをいくらでも開催できる。

②の人事推薦名簿の禁止も実効性はほとんどない。人事は水面化の折衝で決まる。名簿を出さなくても口頭で要望(要求)すれば事足りる。推薦名簿の禁止はアリバイづくりの改革でしかない。

③の派閥事務所の廃止もほとんど意味はない。実務の拠点は派閥会長の個人事務所等に事実上移せばよいだけだ。派閥のメンバーの宴会や飲み会はどうするのか。そんなものまで禁止はできない。

④はそもそも私的集団である派閥を審査して解散を命じる権限が政党にあるのかという問題に行き着く。それを強権的に実行するとしたら、党執行部による管理統制が強まりすぎて、逆に共産党のような組織になるかもしれない。小選挙区制度が導入された後、党執行部に忠実なヒラメ議員が急増したが、それがさらに加速するという弊害も懸念される。

派閥には様々な問題はあるが、権力闘争に派閥はつきものである。完全に解消などできない。

今の派閥解消論は、現在の権力力学(麻生・茂木・岸田の主流3派体制)を打破する勢力(無派閥の菅義偉前首相や非主流派の二階派など)が仕掛けたという政局的意味合いが強い。それに、麻生太郎副総裁から今春の退陣を迫られた岸田首相が反旗を翻し、岸田派解散を打ち上げて逆襲に出たという構図だ。

つまり、派閥解消論は、現体制を打ち壊して新体制をつくる「政局」とみたほうがよい。勢力地図の塗り替えを狙って、いまの派閥体制をリセットすることに狙いがあると言えるだろう。結局は新しい派閥が誕生し、新しい派閥秩序ができるのだ。

それでも岸田首相らが「派閥解消」を強調するのは、「政治資金の透明化」という本質的な問題から目をそらす狙いがあるとしか思えない。

🔸政治資金の透明化

裏金事件で最も問われるべきは、不透明な政治資金がまかり通っていたことだ。政治の信頼回復で最も求められているのは、政治資金を透明化するための政治資金規正法の改正である。

ところが、自民党の中間報告案は、肝心の政治資金規正法の改正について「法整備を速やかに行う」とするにとどめ、具体的な内容に踏み込んでいない。

必要なのは、①政治資金パーティーを全面禁止する、②会計責任者が立件された場合は議員本人も刑事責任を問われる連座制を導入する、③政党から政治家個人へ寄付することが特別に認められ、使途を公開する必要のない「政策活動費」を廃止する④すべての政治資金の使途に領収書添付を義務付けるーーといった政治資金を透明化するための具体的な改革だ。

ところが、自民党の中間報告案は、会計責任者が立件された場合に議員本人を「党として処分する」ことなどしか打ち出していない。「処分」といっても「役職停止」程度なら、痛くもかゆくもない。党としての対応策を打ち出すのなら「除名・議員辞職勧告」は最低限必要だ。

自民党が最も避けたい「政治資金の透明化」をかわすため「派閥解消」を大々的に打ち出す。このようなまやかしに惑わされていけない。


  

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