自民党総裁選の投開票日を9月20日とする案が浮上していると毎日新聞が報じた。
自民党の総裁公選規程によると、議員投票は「総裁の任期満了前10日以内」。岸田文雄首相の総裁任期満了は9月30日のため、総裁選の投開票日は20~29日の間に行う必要がある。
24日には米国で国連総会の一般討論演説が始まる予定だ。例年なら首相が出席して演説するが、総裁選期間と重なると出席するのが難しい。このため、20日投開票の日程が浮上しているという。その場合、総裁選告示は9月8日となる。
自民党の総裁レースはこの日程を念頭に進むだろう。都知事選の最中に石破茂元幹事長や高市早苗経済安保担当相が出馬の意向と報じられ、本人が否定するということがあったが、いずれも「まえのめり」との批判を恐れたためだ。
告示が9月8日となると、お盆明けには出馬をめぐる駆け引きが本格化し、事実上の総裁レースが始まる。岸田首相は出馬するのか、それとも出馬を断念するのか、8月中には決断を迫られるだろう。岸田首相の進退が決定した時点で、石破氏や茂木敏充幹事長ら有力候補が次々に名乗りを上げるという展開となろう。
20日は金曜日で、21〜23日は三連休だ。新総裁が決定すれば、ただちに自民党役員人事(幹事長、政調会長、総務会長ら)を実施し、臨時国会を召集して総理大臣指名選挙を経て組閣人事が行われる。岸田首相が続投する場合は国連総会出席後に内閣改造人事を行うことも可能だが、新首相に代わる場合は、外遊日程と組閣人事が重なり、日程調整が難航しそうだ(このあたりも岸田首相が再選前提に日程を組んでいる可能性がある)。
新首相が誕生した場合、ご祝儀相場で内閣支持率は上がるのが通例だ。今回は裏金事件への世論の批判が強く、首相の顔をすげ替えるだけでただちに支持率が上向く保証はないが、それでも岸田内閣よりは上がるのではないか。その場合、ご祝儀相場のうちに解散総選挙を断行する可能性が高まってくる。
9月中に新内閣が発足し、10月上旬に衆参で代表質問を行い、ただちに衆院解散という日程が浮かんでくる。その場合は早ければ10月20日か10月27日の投開票という超短期決戦の可能性がある。
いずれにしろ、お盆明けから政局は急速に動き始める。岸田退陣表明→総裁レース本格化→新総裁決定・新内閣発足→臨時国会で代表質問→衆院解散という急展開が予想される。
立憲民主党も9月に代表選が予定されている。東京都知事選の惨敗を受けて、泉健太代表の責任を問う声が出ている。一方、泉代表に代わって野田佳彦元首相や枝野幸男前代表を担ぐ動きもあるが、いずれも都知事選で蓮舫氏を全面的に応援して敗れた責任を問う声もある。ポスト岸田と対決する10月解散総選挙を想定して準備を急ぐ必要があるが、「党の顔」選びで党内闘争が激化する可能性もある。