政治とマスコミを斬る
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JR東日本社長は「恵比寿駅ロシア語隠し」の差別行為で引責辞任すべき!善悪二元論で差別を助長した与野党とマスコミは猛省を!

JR東日本が4月7日から恵比寿駅(東京都渋谷区)にあるロシア語の案内表示を隠していた。ロシア軍のウクライナ侵攻後、乗客から「案内板のロシア語を見ると不快だ」という声が相次いだため、ロシア語の案内表示に白い紙を貼り付けて隠し「調整中」と表記していた。

SNS上で「差別につながる」としてJR東日本の対応を批判する声が広がり、15日に紙をはがして元に戻したという。

JR東日本の外国語案内は中国語、韓国語、英語が多いが、恵比寿駅を通る日比谷線沿線にはロシア大使館があり、行き方の問い合わせが多いことからロシア語も表示してきたという。

NHK報道によると、JR東日本は「批判を受けて元の状態に戻すことが適切だと判断した。差別にあたるという誤解を与えたことをおわび申し上げたい」としているが、JR東日本の行為は「差別にあたるという誤解を与えた」ものではなく、差別行為そのものである。認識が甘いのではないか。この「おわび」は不誠実極まりない。

国民の巨大な財産を受け継いだ社会的大企業であるJR東日本が、乗客からの差別的要求を受け入れ、差別を助長した責任は極めて重大である。絶対に許してはいけない。社長は引責辞任すべきだ。

マスコミはなぜ社長の引責辞任を迫らないのか。差別に寛容すぎるのではないか。日本社会は差別を絶対に許さないという姿勢を断固として示す時ではないのか。

JR東日本はロシア語の案内表示を隠すに至った経緯を徹底調査したうえで公表し、この差別行為の判断を下した責任者を厳正に処分すべきである。うやむやにしてはならない。

私はこのニュースを見た時、この差別問題は起こるべくして起きたと思った。

私たちの国は先の大戦で、英語を敵性言語として禁止した。そればかりではない。日韓併合下の朝鮮半島では姓名を日本風に変えることを強要した。「言語使用の禁止・抑圧・差別」と「戦争・侵略」は切っても切れない関係にある。私たちは戦争で破滅した自国の歴史をいまいちど学ぶべき時である。

ウクライナは西側地域を除くと、日常生活ではロシア語が広く使われてきた。テレビ番組でもロシア語とウクライナ語の両方が一般的に使われてきた。しかし、米国が後押しした2014年の騒乱で親米政権が発足した後、生活や教育などの場でウクライナ語の使用を義務化する政策が推し進められ、これがロシア語を話す住民が多数であるドンバス地方を中心として「ロシア語系住民vsウクライナ政府・アゾフ大隊など白人至上主義を掲げる極右武装勢力」の内戦を激化させる大きな要因となった。

ウクライナ戦争に至るウクライナ国内の内戦・抑圧・差別の実態は、「ロシア=悪、ウクライナ=正義」の善悪二元論に染まる日本社会ではほとんど報道されない。欧米社会にはロシア人をはじめとするスラブ社会への偏見が根強いこともあまり知られていない。さらにウクライナから脱出する際に白人が優遇され黒人労働者らが差別的に扱われている実態もあまり報じられない。(参照・毎日「警棒で殴られ、乗車妨害…ウクライナから避難に「黒人差別」」)

戦争と差別は極めて密接に関係している。いったん差別を許すと、それは瞬く間に社会を蝕み、排外主義を増幅させ、好戦的世論を醸成し、人々を戦争に駆り立てる。

戦前の日本もそうだった。朝鮮をはじめアジアの人々への差別・偏見が広がるとともに、日本軍はアジア侵略にのめり込んでいった(現在の欧州各国で極右・白人至上主義が広がっていることは極めて危険な兆候である。彼ら白人至上主義勢力にとってウクライナの対ロシア内戦は「主戦場」と認識されていたことも日本ではほとんど報じられていない)。

戦争は人間の生命を奪うばかりでなく、人間性を奪い、憎悪を掻き立て、復讐心を醸成し、争いをとめどなくエスカレートさせる。だからこそ、すべての戦争は「悪」であり、戦争の「種」となる差別・偏見はどんなに小さな芽であっても絶対に許してはならない。

ウクライナ戦争が勃発した後、「ロシア=悪、ウクライナ=正義」の善悪二元論に染まる日本社会。軍事侵攻に及んだロシア側の経緯を説明したり、民間人に戦争を強要するウクライナ政府の姿勢を批判したりするだけで、「ロシアに味方するのか」というバッシングの嵐が吹き荒れる現状は、極めて危うい。

ロシア軍の侵攻は許されない暴挙であると断りつつ、ロシアを批判するだけでは早期停戦は実現しないと主張しただけで袋叩きにされる「狂乱」ぶりは、もはや開戦前夜の様相といっても過言ではない。

そのような社会の空気を醸成してきたのは、政治であり、マスコミである。

国会は、戦争当事国の一方であるウクライナに全面加担する国会決議をれいわ新選組をのぞく与野党の全会一致で採択。国民総動員令を出して戦争を遂行するゼレンスキー大統領の国会演説をスタンディングオベーションで称賛した。国会決議やスタンディングオベーションに唯一反対したれいわ新選組は激しいバッシングを浴びた。

マスコミは「ロシア=悪、ウクライナ=正義」の印象操作を露骨に展開。ロシアの目線で戦争を伝える報道やウクライナ政府を批判する報道はほとんど姿を消した。ウクライナを盾にロシアと戦う米国とそれに歩調をあわせる欧米メディアの「プロパガンダ」を垂れ流すばかりだ。

ロシアのプロパガンダは激しいが、欧米のプロパガンダはもっと巧妙で大々的である。米国が「大量破壊兵器」を口実に開戦したイラク戦争の「ウソ」という歴史の教訓があるのに(欧米メディアは当時「大量破壊兵器」のプロパガンダを垂れ流した)同じ過ちを繰り返している。

国益と国益が衝突する戦争は、どうしてもプロパガンダ合戦になる。双方から距離を置いて冷静に報道しなければならない。マスコミ界全体が「正義」を掲げて戦争当事国の一方に加担して報道が一色に染まると、社会全体は善悪二元論に支配され、差別・偏見に巣食われてしまう。

政治とマスコミが主導して醸成した善悪二元論の帰結として、JR恵比寿駅のロシア語表示に乗客から「不快だ」と苦情が相次ぎ、JR東日本がそれに応じてロシア語表示を隠すという差別行為が起きてしまったことを、政治家やマスコミ人はどれほど自覚しているのだろうか。政治とマスコミが差別を煽っているのである。

ロシア軍のウクライナ侵攻を批判するのは当たり前だ。だが、それがロシア人やロシア語への差別・偏見を招かないように、人一倍気をつけて発信するのが、政治家やマスコミ人が身につけなければならない最低限の所作である。「国家」と「個人」は別なのだ。

政治家やマスコミは「とにかくロシア批判」という劣悪な姿勢そのものだ。彼らは「国家」の視点ばかりで政治を考え、「個人」を軽視している。

私は、国民総動員令を出して成年男子の出国を禁じ、軍隊への招集令状を出して戦争参加を強要し、民間人に火炎瓶をつくらせて戦争に巻き込み、白人至上主義を掲げる極右武装勢力に武器を渡してともに戦争を遂行するゼレンスキー大統領をスタンディングオベーションで称賛する気になれない。

れいわをのぞく与野党の国会議員がゼレンスキー氏を称賛したのは、氏と同じように「個人」より「国家」を重視する政治家だからであろう。彼らは日本が侵攻された時、ゼレンスキー氏と同様、私たちに召集令状を送りつけて戦争参加を強要するに違いない。

個人より国家を重視する政治は、いったん国家危機に直面すると全体主義に発展し、そこからこぼれる人々への差別・偏見を生む。だからこそ「差別・偏見は絶対悪」であり、国家より個人の基本的人権を尊重するという思想で日本国憲法は貫かれている。ゼレンスキー氏を称賛した与野党の国会議員たちは日本国憲法の理念を軽視しているとしかいいようがない。

他国からの侵攻以前に、私たちを戦争に導くのは、私たちの社会に巣食う差別・偏見である。

今こそ、大日本帝国が戦争へ至った道を、ウクライナが「米国vsロシア」の代理戦争に巻き込まれてしまった道を、私たちはしっかり見つめ直す時である。差別・偏見こそ、排外主義を高め、好戦的世論を醸成し、私たちを戦争へと駆り立てるのだ。

最後に重ねて指摘したい。JR東日本による差別行為にしっかりとケジメをつけ、日本社会は差別を絶対に許さないという決意を明確に示すためにも、JR東日本の社長は引責辞任すべきである。

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