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妻が上げ息子が下げた内閣支持率!広島サミットの貯金が吹っ飛んだ!! 岸田長男秘書官ついに陥落「6月解散阻止」の標的に〜岸田首相が解散回避したら一気にレームダック化も

岸田文雄首相の長男である翔太郎・首相秘書官がついに辞任することになった。週刊文春が報じた「岸田一族が首相官邸で大ハシャギ忘年会」を取り仕切ったことへ世論の批判が殺到。広島サミットで急上昇した内閣支持率は急転して下落し、更迭に追い込まれた格好だ。

岸田政権発足からちょうど1年たった昨年10月、首相秘書官に抜擢されたものの「縁故人事」と批判され、内閣支持率の急降下に一役買った。年明けには首相の欧米外遊に同行し、パリやロンドンで公用車に乗って観光地や高級デパートを巡っていたことが発覚。岸田首相が「公務だった」とかばったことで内閣支持率は続落し、岸田政権は危機に直面したように見えた。

ところが、岸田首相は今春以降、ウクライナのキーウ訪問や日韓首脳会談、広島サミットなど「岸田外交」で盛り返し、内閣支持率は急上昇。自民党内で「今なら勝てる」として6月解散・7月総選挙を求める声が高まるほどになっていた。裕子夫人の単独訪米や広島サミットでのファーストレディー外交も好意的に報道され、内閣支持率の押し上げに貢献した。

そこへ冷や水を浴びせたのが、長男スキャンダルの再襲来である。妻で上げ息子で下げる岸田内閣。翔太郎氏はつねに政権最大のアキレス腱であり、自民党内の反岸田勢力にとっては格好の標的だったといえるだろう。

岸田首相は広島サミット直後の5月24日(水)に文春のスクープが流れた後、一度は長男の更迭を否定したが、5月29日(月)になって一転して辞任させることになったのは、週末から通明けにかけて文春砲の続報(第二弾)の取材を受け、さすがに持ち堪えられないと観念した結果かもしれない。

私も朝日新聞特別報道部で調査報道に携わってきたが、このようなスクープは通常、第二弾、第三弾を用意しておくものである。とくに今回の文春は広島サミットで内閣支持率が跳ね上がった直後を狙い澄まして報道したとみられ、なおさら続報を仕込んでいた可能性は高いだろう。

いずれにせよ、長男をかばいつづけた挙句に更迭に追い込まれた結果、岸田首相の傷口は大きく広がり、広島サミットで稼いだ「貯金」は瞬く間に雲散霧消した格好である。

東京の選挙区調整をめぐる自公対立も「6月解散阻止」を目論む菅義偉前首相ら自民党反主流派と公明党の共演による「猿芝居」であるという政局分析は、すでに『岸田首相に6月解散・7月総選挙を躊躇させる「首相長男」と「公明党」〜背後にちらつく菅前首相の影』で示したが、岸田首相が長男更迭に踏み切ったことで内閣支持率が急落し、6月解散風は一気にしぼむ可能性がある。

今後、6月21日に会期末を迎える終盤国会で、長男の問題を含め「岸田家による権力私物化」が大きな焦点となることは確実だ。岸田一族の忘年会には首相自身も顔を出しており、長男だけに責任を転嫁できるかどうか微妙である。

さらに注目すべきは、立憲民主党が国会最終盤に内閣不信任案を提出した場合の対応だ。

岸田首相が立憲に対抗して衆院解散に踏み切らなければ「総選挙から逃げた」「岸田首相はもう解散できない」との見方が与党内で広がり、岸田政権は一挙にレームダック化して、来年秋の自民党総裁再選に早くも黄信号が灯るだろう。

岸田首相はここまで自民党内で高まる6月解散論をむしろ抑え込む意向をにじませていたが、長男更迭で内閣支持率が急落した場合、逆に衆院解散を断行しなければ求心力を失ってジリ貧になる恐れがあり、「止むに止まれず解散に踏み切るしかない」状況に追い込まれるかもしれない。

反岸田勢力の反撃が炸裂し、岸田首相は広島サミット後の「天国」から、岸田家を直撃したスキャンダルで「地獄」へ突き落とされた格好だ。ここから再起を期すことができるか。政局は激しく動き出した。


岸田長男問題と自公対立は、岸田政権長期化につながる「6月解散」を封じる非主流派の動きがあります。それを解説した動画です。上段は日曜恒例の『ダメダメTOP10』。自公対立や岸田長男問題、岸田夫人外交を取り上げています。下段は「自公対立のウソ」について5分で簡潔に解説した動画です。

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