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首相公邸「岸田一族・大忘年会」を主催したのは長男翔太郎氏ではなく岸田首相本人だった?それでも長男に全責任を転嫁して逃げ切るの?

週刊文春に続いて岸田文雄首相に痛打を浴びせたのはフライデーだった。

首相秘書官を更迭された長男翔太郎氏が昨年12月30日に首相公邸で開催したとされている岸田一族の大忘年会に、岸田首相が裕子夫人とそろって参加している姿を写す集合写真を入手して報じたのである(『やっぱりあった!岸田首相が「息子大ハシャギ公邸忘年会」に寝間着&裸足で「ご満悦参加写真」独占入手』)。

岸田首相はスウェットにダウンベスト、裸足という寝間着姿で、裕子夫人とともに満面の笑みを浮かべている。参加したのは岸田家4人きょうだいとその配偶者や子の親族18人。身内限定の大忘年会だったという。

文春砲の第一弾は、新閣僚が就任会見することで知られる赤じゅうたんの階段に親族の若者が寝そべっている写真が衝撃を与えた。翔太郎氏を中心に同世代のいとこたちがこの階段で並んで記念撮影する「閣僚ごっこ」も不快感を与えた。

それらの写真には岸田夫妻ら親世代の姿はなく、多くの国民は「大忘年会を呼びかけたのは翔太郎氏だった」と感じたに違いない。

翔太郎氏への批判は過熱し、岸田首相は当初こそ厳重注意にとどめる姿勢をみせていたものの、ついには世論の圧力に押されて「公邸での昨年の行動が政務秘書官として不適切で、けじめをつけるため交代させる」と更迭に踏み切ったのだ。

岸田首相は一方で、国会審議で「私も私的な居住スペースにおける食事の場に顔出しをし、あいさつもした」と答弁していたことから、「息子に責任転嫁して許されるのか」との批判もくすぶっていた。

そこへ飛び出した今回のスクープ写真である。岸田首相は「食事の場に顔出しをし、あいさつもした」程度どころか、裕子夫人とともに集合写真の真ん中に収まり、ご満悦だったのだ。

しかもフライデーが報じた集合写真には、文春砲の写真に写っていた翔太郎氏と同世代の若者たち(12人のいとこたちとみられる)だけではなく、岸田首相夫妻を含む親世代の姿もあったのである。

大忘年会は首相公邸の「居住スペース」で親族18人で盛大に行われ、途中から翔太郎氏が同世代のいとこたちを引き連れて赤じゅうたんの階段など「公的スペース」を案内して回ったーーというのが真相ではないか。

大忘年会の実質的な主催者は翔太郎氏ではなく、岸田首相本人ではなかったのかという疑念が浮かんでくる。

首相公邸の居住スペースへ多くの親族を招いて酒宴を開くことに是非は見解が割れるだろう。国家中枢の危機管理として問題視する意見もあるだろうし、親族限定の酒宴にそこまで目くじらを立てる必要はないとの意見もあると思う。

だが、首相公邸の公的スペースで寝そべるなどの振る舞いは「公私混同」との批判を免れない。少なくとも親族を招き入れた首相側の管理監督責任は問われるべきだ。

翔太郎氏が首相秘書官を更迭されたのは、まさに主催者としての管理監督責任を問われたといえるだろう。

ところが、実質的な主催者が岸田首相本人だとすれば、話はまったく違ってくる。

岸田首相が自らのきょうだい夫妻を招待し、その子たちが同伴してきたというのなら、やはり主催者は翔太郎氏ではなく、岸田家の主だり首相公邸の主でもある岸田首相と考えたほうが腑に落ちる。

少なくとも岸田首相は大忘年会の開催を十分に認識しており、その中心人物として参加していた。国会審議であたかも「顔出ししただけ」というそぶりで答弁したのは、自らの関与を隠すため国民を欺いたというほかない。

これは大忘年会そのものよりも重大な政治問題である。首相の言葉への信用が根本から揺らぐからだ。岸田首相は国会で事実関係を丁寧に説明し、自らの関与をぼかしてきたことを謝罪しなければならない。

終盤国会は「岸田家の公私混同・権力私物化」と「岸田首相のウソ」が大焦点として浮上してきた。内閣支持率はさらに下がり、6月解散の機運はますます薄れ、首相の進退問題が浮上してもおかしくない事態である。

野党が今国会最終盤に内閣不信任案を提出しても、岸田首相は対抗して解散に踏み切ることはできず、国会閉幕後に内閣改造・党役員人事を実行して反主流派を取り込み、党内基盤の立て直しを図るのではないかと私は見ている。その場合も岸田首相の求心力は低下し、解散総選挙に踏み切れないまま、来年秋の自民党総裁選で勇退に追い込まれる展開も現実味を帯びてきた。


首相長男の更迭劇の裏側にある自民党内の権力闘争を5分動画で解説しました。ぜひご覧ください。

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