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女帝・小池百合子が裏金自民を救う? 安倍派5人衆で裏金トップの萩生田氏は小池知事の「裏支援」で連敗ストッパーになれば復権への足がかり? 

東京都の小池百合子知事がようやく都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)への出馬を表明した。裏金事件で世論から猛批判を受けている自民党からの推薦は表向き受けないものの、実質的には支援を受ける「ステレス選挙」だ。

自民党からの推薦を受けないため、他の政党からも推薦を受けず、すべて事実上の支援というかたちにするという。まさに「裏金自民隠し」の選挙戦といっていい。

自民党からみれば、政治資金も「裏金」、選挙も「裏支援」。ウラ尽くしの政党というほかない。

小池知事は8年前の知事選で「反自民」を掲げて当選した。ところが2期8年のうちに、東京五輪や都心再開発といった巨大利権を通じて自民党と一体化。自民党側の窓口役だったのは、裏金議員の二階俊博元幹事長や萩生田光一都連会長だったのだから、なおさらタチが悪い。

裏金事件そのものにくわえ、小池知事の自民党に対する政治姿勢の変節を覆い隠すという狙いも「ステレス選挙」にはあるのだろう。

一方、自民党にとっても「ステレス選挙」は意味がある。裏金自民が前面に出て敗北すれば、4月の衆院3補選と5月の静岡県知事選に続いて5連敗となってしまうからだ。今回の都知事選に小池知事に便乗し、連敗をストップすることに最大の狙いがあると言っていい。

表向きは推薦を控えつつ、小池知事が勝利すれば「自民党の事実上の勝利だ」として連敗ストップを宣言するのは目に見えている。それにより、次の総選挙への反転攻勢のスタートにしようという算段だろう。

このステレス選挙の仕組みを小池知事と相談して決めたのは、萩生田都連会長である。

森喜朗元首相の寵愛を受けて最大派閥・安倍派5人衆のひとりとして影響力を誇ってきたが、裏金事件で政調会長を辞任し失脚。5人衆のなかでは裏金額がトップだった。

だが、党内で上手く立ち回って党の処分は5人衆では最も軽い党の役職停止1年で逃げ切った。しかも小池知事とのパイプをいかして都知事選対応を取り仕切り、都連会長には留任。今回の都知事選で「勝利」すれば自民党の連敗ストッパーとしての功績が認められ、復権への足がかりとなる。

衆院東京24区選出の萩生田氏としては、逆風が吹き荒れる自らの次の選挙を勝ち抜くためにも負けられない都知事選だ。小池知事が親密な関係を築いてきた二階元幹事長は高齢に加えて裏金事件で批判を浴びて次の総選挙への不出馬を表明しており、今後の小池知事とのパイプ役を独占する立場にある。小池知事を当選させ、小池知事を後ろ盾に政治基盤を再構築させる狙いだ。

萩生田氏は9月総裁選にむけて、非主流派のドンである菅義偉前首相との連携を強めている。萩生田氏の復権は菅氏にも追い風となるかもしれない。

一方、岸田文雄首相はすでに6月解散を断念し、今国会の大幅延長も見送る方針を与党幹部に伝え、9月総裁選前の解散権を事実上封じられていることから、都知事選に勝利してもさほどの政治的メリットはないだろう。小池知事が立憲民主党の勢いを止めて、政権交代の機運を沈静化させ、裏金自民を救うことはあっても、岸田首相の救世主とはならないのではないか。

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