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今の朝日新聞にそっくり!?共産党は党首公選を主張した党員を処分して「党員の言論の自由」を否定した〜若者離れ、党勢後退、野党共闘の崩壊が加速する

共産党は2月6日、党首公選を記者会見などで訴えた党員の松竹伸幸氏を除名処分にした。党の決定に反する意見を勝手に発表し、党規約に違反したことを理由としている。

小池晃書記局長は同日の記者会見で「異論があるから処分したわけでは全くない。党内で意見を述べることなしに突然攻撃をしてきたことが理由だ」と述べた。

共産党発表のコメントは、松竹氏が「全国メディアや記者会見などで公然と党攻撃を行っている」と認定し、党規約は中央委員会を含めどの機関にも自由に意見をのべる権利を保障しているのに「そうした規約に保障された権利を行使することなく、突然の党規約および党綱領に対する攻撃を開始した」と糾弾している。

そのうえで、松竹氏の一連の言動は、以下の党規約を踏みにじる重大な規律違反と結論づけている。

第3条4項 党内に派閥・分派はつくらない

第5条2項 党の統一と団結に努力し、党に敵対する行為はおこなわない

第5条5項 党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない

つまり、党員は外部に開かれていない党内会議で意見を述べることは許されているが、党外で党執行部を勝手に批判したら処分されるということだ。

入党する際に党規約に同意した以上、このルールを守るのは当然であり、それに反した以上は除名にするというわけである。

この党見解は「党員の言論の自由」を否定しているとしかいいようがない。現在の「党執行部」への批判を「党への批判」と同一視しているのも問題だ。「党執行部=党」というのは、党執行部の思い上がりでしかない。

そのように管理統制された政党にあえて入党したいと思う若者が今の日本社会にどのくらいいるだろうか。

密室の党内会議で党の方針に異論を述べても、党執行部が採用する可能性は極めて低い。人事などで不利益を受ける恐れもある。だからこそ党外での発言の自由を保障し、党外世論の力で党執行部の誤りをただすのが「言論の自由」のあるべき姿だ。

共産党執行部はそれを全否定した。「党員は黙って党執行部の方針に従え」というメッセージと受け止めるほかない。

これは現代日本の民主社会の一般感覚から大きく逸脱している。時代遅れの政党であることを露見してしまった格好だ。

党方針への異論や批判を「攻撃」という言葉で呼ぶこと自体、「ちょっと近寄りがたい」という印象を多くの人々に与えただろう。党勢後退に拍車がかかるのは避けられない。特に若者には共産党を敬遠する動きが加速すると思う。立憲民主党が「共産党との決別」「野党共闘の撤回」の口実にするという展開も予想される。

共産党が国会でのスキャンダル追及や自治体での地道な活動に取り組んでいることを私は大いに評価しているだけに、今回の処分決定はとても残念だ。

私は党内の異論を封じる「民主集中制」には強く反対する。その結果として党勢が後退しても党執行部の政治責任はあいまいにされ、志位和夫委員長が20年以上もトップに君臨しているのは、現代の政党としてはやはり不健全だ。

このあたりの論考はすでに詳報したので、参考にして欲しい(私は共産党員ではないから党首公選を主張してもかまわないというのが共産党の理屈なのだろう)。

共産党の次世代は執行部批判を封じる「民主集中制」と決別して「党首公選制」に踏み切ろう!その先に新生共産党があるはずだ

私は共産党の対応をみて、私が2年前に退職した朝日新聞社の現状にそっくりだと思った。

共産党の主張は、憲法が保障する「言論の自由」はあくまでも国家権力から個人の言論の自由を守るもので、党内ルールは別だということなのだろう。

だが、それをいうならば、大手企業の社員にも、さらには新聞社の記者にも、社外で発言する自由は認められないことになる。

私は拙著『朝日新聞政治部』のなかで、近年の朝日新聞社が記者のツイッター発信を厳しく見張り、朝日新聞の紙面を批判する投稿を見つけると処分をちらつかせて注意・警告をし、「言論の自由」を強く制約している実態を自らの経験をもとに赤裸々に明かした。私が2021年に退社した後、朝日新聞社はますます記者の社外活動を厳しく制限し、管理統制を強めていることも鮫島タイムスで繰り返し報じてきた。

自民党と統一教会の歪んだ関係を報じない朝日新聞の闇〜追い出し部屋行き人事に怯える朝日記者たち

「党の決定に反する意見を、勝手に発表することはしない」という党規約をふりかざして党員を処分する共産党の姿は、就業規則をふりかざして社員による紙面批判や会社批判を押しこめる今の朝日新聞と瓜二つである。

政治活動やジャーナリズムが健全に機能する大前提は、それぞれの言論の自由が保障されていることである。リベラルを標榜してきた朝日新聞や言論弾圧された歴史を持つ共産党は「言論の自由」を重視してきたはずだ。

その一方で、上層部が内部の異論を封じるため処分に踏み切るというのは、自己否定そのものである。組織内の言論の自由さえ守らない人々が、国家全体の言論の自由を守ることなどできるのか。これは共産党や朝日新聞が常日頃主張していることの信憑性を揺るがす大問題といってよい。すべてが欺瞞に見えてしまう。

リベラルを標榜する以上、社会の平均値よりも大幅に組織内の言論の自由を認めなければ説得力がない。

共産党は民主集中制と決別しなければ明日はなかろう。20年以上も民主集中制に守られてきた志位氏では自己改革はもはや不可能だ。次世代の田村智子氏や山添拓氏が勇気を持って異論を唱えなければ、この党はますます国民世論と乖離していくだろう。


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