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大石あきこが質問を強制終了させられたってよ!与野党の「れいわ外し」強まる〜自民・公明・立憲・維新が組む大政翼賛政治の序幕

国会で与野党双方によるれいわ新選組へのイジメが強まっている。大石あきこ衆院議員が10月24日に質問に立った予算委員会が一際ひどかった。

大石氏がツイッターで明らかにしたところによると、この日の予算審議ではれいわに3分の質問時間が割り当てられていた。「たった3分?」ということだけでも驚きである。

質問時間は議席数に応じて割り当てられる。しかし3分ではいくらなんでも質問は成立しない。少数会派には質問時間を多めに確保するのが長い国会の歴史で築かれてきた慣行だ。「3分」はその歴史を無視するイジメそのものである。

しかも大石氏は立憲から「4分でもよかったが、1分減らした」と告げられたという。大石氏が18日の予算委で「論拠なく維新を批判した」からだという。大石氏は「論拠はある」と反論したが、聞き入れられなかったようだ。

与党が、野党に割り当てた質問時間の配分について口出しすることはめったにない。4分から3分に減らされたのは、立憲、維新、れいわの野党内のイザコザの結果とみていいだろう。

れいわの衆院議席が3しかないことを考慮しても、野党第一党の立憲民主党がれいわを含む野党共闘を強化して自公政権に対峙するつもりなら、決してこのように無下に扱うはずがない。

立憲は今夏の参院選で惨敗した後、激しく罵り合ってきた維新と和解して「国会共闘」で合意した。そもそもれいわとはギクシャクした関係が続いてきたが、維新との連携を強化する以上、維新を怒らせたれいわの大石氏の発言を放置できなかったのだろう。立憲が共産・れいわよりも維新との連携を重視する方針に転換したのは、もはや明白だ。

しかも立憲と維新は統一教会の被害者救済法案をめぐって自公与党との「4党合意」を実現させ、4党協議を最重視する姿勢を鮮明にしている。国会は野党第一党の立憲と野党第二党の維新が組んでその他の野党を外し、与党との連携を探るという大きな転換点を迎えているのだ。「れいわ外し」はその一貫とみていい。

さらに衝撃だったのは、大石氏が3分を前提に質問を開始したところ、根本匠予算委員長(自民)が2分12秒時点で突然打ち切りを宣告したことだった。大石氏は、自民党の村上誠一郎衆院議員が安倍晋三元首相を「国賊」と批判して処分されたことを取り上げていた。

根本委員長は岸田文雄首相と当選同期で、岸田派の重鎮である。大石氏の質問を遮ったのは、統一教会問題での自民追及をかわすことだけが目的ではない。

岸田首相が内閣支持率続落による自民党内での求心力低下を受けて立憲・維新との連携を探るなかで、予算委員会の運営も立憲・維新に配慮して進めることが岸田政権の大方針となっている。そこで立憲・維新のれいわに対する冷淡な姿勢を考慮して、大石氏の質問を強制終了させたのだろう。

予算委員会の委員長ポストは与党の指定席である。しかしその立場は公正さが求められ、野党とりわけ少数会派には配慮して運営することが国会の慣例だった。私も20年以上国会をウオッチしてきたが、今回ほど少数会派のわずかな質問時間を露骨に打ち切る場面を見たことはない。

これは「弱い者にはより厳しく」という安倍政権以降の自民党の政治姿勢を映し出す場面であるとともに、やはり根本委員長が自民・公明・立憲・維新の4党協議を最優先する岸田首相の意向を踏まえ、その他の野党を外す予算委運営を基本方針としていることを浮き彫りにした場面であるともいえる。

国会は与野党の第一党・第二党が手を組む大政翼賛体制へひた走っている。そのきっかけは、多くの国民が反対しない「統一教会の被害者救済」だ。しかし、その先にあるのは、消費税増税の4党合意である。大石氏へのイジメ、露骨な「れいわ外し」は、いよいよ大政翼賛体制が幕を開けたことを告げているように私には思える。

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