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大石あきこ登場で政治が動く!?参院選の主戦場は大阪!「維新vsれいわ」が沸騰して「自民・立憲は議席ゼロ」も!!

12月12日のNHK日曜討論に出演したれいわ新選組の大石あきこ衆院議員の奮闘ぶりがSNSで話題を呼んでいる。とりわけ日本維新の会の足立康史衆院議員とのバトルは関心を集めた。新しいスターの誕生を予感させる大石氏のNHKデビューであった。

れいわ新選組は2019年参院選で「2%以上の得票」の政党要件を満たした後もNHKの討論番組から外されることが多く、山本太郎代表は怒っていた。今回の衆院選で3議席を獲得し、もうひとつの政党要件である「国会議員5人以上」も満たしたことから、NHKもこれ以上出演を拒むことは難しいと観念したのだろう。今回の大石氏の出演はれいわのNHK討論番組への本格参入と位置付けていい。

しかもデビュー戦で大暴れしたのが山本代表ではなく大石氏であったことは「山本代表の一枚看板」というれいわのイメージを刷新し、党勢拡大へつながるのではないか。

12月6日の国会召集日にれいわの国会議員5人が並ぶ写真(以下のツイート参照)が、手前に重度障害者の木村英子参院議員と難病ALS患者の舩後靖彦参院議員、中央に大石氏、いちばん奥に山本代表という配列だったのは印象的だった。手作り感満載の破天荒なチーム結成である。立憲民主党を除籍された後にれいわに転じた高井たかし氏を幹事長に、大石氏を政審会長に、たがや亮衆院議員を国対委員長に起用する人事も発表され、れいわはいよいよ本格政党として始動する。

来年夏の参院選は「新自由主義を掲げる維新」vs「超積極財政による弱者支援のれいわ」の対決構図が注目を集めて第三極の両党が台頭し、二大政党(自民党と立憲民主党)は埋没して伸び悩むとの見方を私は繰り返し示してきた。山本代表が今回の衆院選で自民党よりも維新への対抗心を鮮明に打ち出したのは、多党制時代を見据えた第三極政党の戦い方として斬新であるとも指摘してきた。

大阪5区で落選したものの比例近畿ブロックで復活当選した大石氏がNHK日曜討論で、維新の吉村洋文大阪府知事のコロナ対策をこき下ろして足立氏とバトルを演じたのは、「維新vsれいわ」の対立軸を鮮明にしてれいわの存在感を増す戦略にのっとったものであろう。大阪を地盤とする大石氏はまさに「vs維新の急先鋒」なのだ。

れいわが来年夏の参院選で最重点選挙区に位置付けるのは大阪選挙区に違いない。衆院選大阪1区かられいわ公認で出馬すると表明した後に野党一本化で比例に回ったタレントの八幡愛氏を擁立する可能性が高いと私はみている。

私は今回の衆院選でれいわでは大石氏と並んで八幡氏に注目していたが、大石氏に劣らず度胸と発信力があると感じた。参院選大阪選挙区でれいわ公認で出馬すれば「台風の目」になるのは間違いない。

2019年参院選の大阪選挙区(改選数4)の開票結果は以下の通りである。

1位 維新 梅村みずほ 729818票

2位 維新 東徹    660128票

3位 公明 杉久武   591664票

4位 自民 太田房江  559709票

落選 共産 辰巳孝太郎 381854票

落選 立憲 亀石倫子  356177票

共産現職だった辰巳氏は国会質問の切れ味が良く爽やかな若手で、将来の共産党を担う政治家として私は高く評価していた。そこへ立憲が擁立した新人の亀石氏も知名度が高く切れ味鋭い弁護士である。どちらも国会議員として活躍することが期待できる「良い候補」だった。ところが、結果は共倒れに終わり、自公維の「改憲勢力」に議席独占を許すことになったのである。

辰巳氏と亀石氏の得票を単純にあわせればトップ当選の梅村氏を上回るだけに、野党が戦略的に選挙協力をしていれば一議席は確保できたと指摘された。

この論点については、SAMEJIMA TIMESのコメント欄で「憲法9条変えさせないよ」氏が詳しく分析したうえで来年参院選における野党共闘のあり方を提案し、私も以下の記事で紹介させていただいた。この記事のコメント欄には「憲法9条変えさせないよ」氏の問題提起に対して読者の皆様の多様な論議が続いている。とても興味深いのでぜひご覧いただきたい。

野党4党は1人区より複数区で選挙協力を!参院選最大の焦点は「維新封じ込め」だ〜「憲法9条変えさせないよ」さんの独創的な参院選戦略をみんなで議論してみよう!!

私はきょうは「野党共闘はどうあるべきか」という論説ではなく「野党共闘はどうなるか」という予測をしてみたい。

参院選は比例区や複数区の比重が増すため、衆院選以上に野党共闘は難しくなる。比例区では野党候補が競い合うのはもちろんのこと、大都市部の複数区でも議席獲得と比例票の掘り起こしを目指して野党各党が独自色を強めてしのぎを削ることは避けられない。野党共闘は1人区を中心とした限定的な内容にとどまるだろう。

そのなかで立憲民主党は泉健太新体制となり、共産党との共闘の見直し姿勢を強めている。共産党の志位和夫委員長は自らが主導して踏み出した野党共闘の枠組み維持を目指す構えだが、衆院選で議席を減らしたのに続いて参院選でも議席を減らせば野党共闘を進めた志位氏の責任論が浮上するのは避けられない。参院選では議席増が絶対に必要で、独自色を強めざるを得ないだろう。

共産党以上に独自色を強めるのがれいわである。立憲民主党の泉代表は経済界寄りの連合や国民民主党との連携を最優先に掲げており、「弱者支援」最優先のれいわとの距離は開く一方だ。

れいわが今回の衆院選で立憲民主党に大幅譲歩して野党一本化に協力したのは、政権交代を実現させ消費税減税を成し遂げるという大義名分があったからだ。立憲民主党が野党第一党として政権奪取を果たすリアリズムを失えば、野党共闘に参加する意義は大きく失われる。しかも参院選は「政権選択の選挙」ではない。

山本代表はすべての複数区に候補者を擁立する構えをみせている。衆院選で自らの小選挙区出馬の表明が遅れて比例に回ることになった反省を踏まえて、参院選では早めに候補者擁立を表明して野党間の候補者調整に出遅れないようにする狙いがあるのだろう。立憲民主党との候補者調整は難航必至だ。

れいわとしては比例票を伸ばすためにも大都市部の複数区への候補者擁立は譲れない。1人区で協力しつつも、複数区では激突するという展開は十分に予想できる。れいわは「野党共闘」より「第三極」の性格を強める可能性が高い。

そこで最も注目されるのが大阪選挙区ということになる。

維新は本拠地・大阪で二人を擁立するのは間違いない。公明党も牙城・大阪で候補者擁立を見送るという選択肢はない。自民党も与党第一党として改選数4の選挙区で候補者を立てないことはありえない。共産党は若手ホープである辰巳氏を擁立して議席奪還を目指すだろう。立憲は衆院選で落選した辻元清美氏を担ぐ可能性がある。そこへれいわ(おそらく八幡愛氏)が乱入し、山本代表や大石政審会長が全面支援する展開となろう。主要7候補による激しいバトルが展開される全国最注目区になる可能性が極めて高い。

大阪選挙区の主役はやはり維新だ。維新の新自由主義的な競争政策(弱者に厳しい政策)に対して、最も鮮明な対立軸を示すのはれいわだろう。立憲は連合や国民民主党との連携を強めて中道路線に立つほど、共産党は立憲民主党との選挙協力に固執するほど、立ち位置がぼやける。維新に対抗する勢力の一番手にれいわが浮上するのではないか。大阪での「維新vsれいわ」の対決構図は全国に波及し、第三極を標榜する維新とれいわが存在感を増して躍進するというのが私の予測だ。

大阪に話を戻す。改選4議席のうち上位3つは、維新、維新、公明となる公算が高い。つまり、残りひとつを自民、立憲、共産、れいわで争うという展開になるのではないか。その場合、れいわが最後の一議席に食い込み、自民と立憲の二大政党が改選数4の大阪選挙区で議席を失うという、二大政党政治の終焉を象徴するような結果となることが十分にありえる。そして最注目選挙区となる大阪の動向は全国に波及するはずだ。

立憲民主党がこの流れを食い止めるには、れいわと選挙協力を進めるしかない。しかし、れいわに複数区での候補者擁立を見送ってもらうには、相当大きな見返りが必要であろう。新興勢力で来夏参院選で改選を迎える現職がいないれいわには、立憲民主党に比べて選挙協力を進めるメリットがないからだ。れいわを野党共闘につなぎ止めるには、立憲民主党が大幅譲歩するしかあるまい。

しかし、立憲民主党がれいわに大幅譲歩する可能性は、現実政治としてかなり低い。立憲民主党が連合と国民民主党との連携を優先することは、れいわが野党共闘と一線を画し、第三極路線を強める口実となる。その結果、れいわは対極にある維新とともに存在感を増して躍進するというのが私の参院選予測である。

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