年明けから新刊『朝日新聞政治部』の執筆作業とYouTubeへの本格参入を同時に進めてきました。新刊は5月27日の発売日から第3刷が決定する大好評で、YouTubeも登録者数1万人を突破しました。読者の皆様に支えられて好発進することができ、本当に感謝しています。
この間、寸暇を惜しんで本の執筆とYouTube番組の企画・研究・編集に全力投入し、気力・体力をかなり消耗したのですが、やはり多くの方に読んでもらったり見てもらったりするのがいちばんの薬です。そのうえにたくさんの感想や激励をいただいています。それがいちばん嬉しいことです。
この数ヶ月、サメジマタイムスへの執筆は継続してきましたが、他媒体への寄稿などは控えてきました(正直、手が回りませんでした)。これから新刊関連のイベントや取材などが相次ぐものの、ちょっとひと段落したということで、他媒体への寄稿を再開しました。
6月6日夜にはプレジデントオンラインで、自民圧勝の見方が強まる参院選に向けて、戦線崩壊状態にある野党各党の現況を詳しく解説する記事を発表しました。無料公開されているのでぜひご覧ください。
朝日新聞社を一年前に退職するにあたり、自らが運営するサメジマタイムスとは別に、紙媒体とネット媒体でひとつずつ定期的に寄稿するメディアを持とうと考えました。ひとりよがりになることを防ぐには、定期的にプロの編集者に自分の原稿を客観的に読んでもらうことが不可欠であると考えたからです。
いくつかのメディアからお声かけいただいたのですが、私がネット媒体としてひとつ選んだのがプレジデントオンラインでした。その理由は明快です。私に声をかけてきてくれたプレジデントオンライン編集部の編集者であるSさんが、少し前まで朝日新聞政治部の記者だったからです。
新刊『朝日新聞政治部』に詳細は譲りますが、私は2012年に政治部デスクから特別報道部デスクに転じた後、政治部に所属することはありませんでした。Sさんは私が「吉田調書報道」でデスクを解任された2014年に朝日新聞社に入社した若手記者で、私とは直接の接点はありませんでした。
私がSさんのことを政治部の後輩から聞いたのは、Sさんが政治部一年生の記者が務める首相番を務めた後、ほどなく朝日新聞社を退職し、プレジデント社へ転身した時でした。実はこの時、首相番を務めていたSさんら3人の政治部新人記者が全員、朝日新聞社を去っていったのです。これは政治部だけではなく、朝日新聞社全体に衝撃の事実として広がりました。
政治部は朝日新聞社の花形部署です。各地方支局でそれなりの実績を重ねなければ政治部に異動することはできません。狭き門を突破してきた3人が、政治部での仕事ぶりを実体験して落胆し、この世界の未来に失望し、さっさと見切りをつけ、新しい道へ進んでいったのかーーこの事実ほど、政治報道や新聞報道の凋落を映し出すものはないかもしれません。私たちは新しい世代の感性と生き方をみせつけられたのです。
私がSさんに遅れて2021年に朝日新聞社に退職届を出し、サメジマタイムスを創刊してまもなく、Sさんからプレジデントオンラインへの執筆依頼をいただきました。「彼が着任してすぐに朝日新聞政治部を見切ったS記者だ」と知り、とても興味を抱いたのです。他にもいくつかのネット媒体からお声かけをいただいたのですが、どうしてもSさんと仕事がしたいと思い、プレジデントオンラインに決めたのでした。
私は新聞社の古い体質、とりわけ政治取材の旧態依然たる現場にどっぷり浸かってきた記者です。いちはやく新聞社に見切りをつけたSさんの編集センスから学ぶものは多いと思いました。そこで最初からプレジデントオンラインに執筆する「お題」をSさんに提案してもらい、原稿にも遠慮なく注文をつけてもらって、私は極力それに応じることを約束して寄稿を始めました。
私よりかなり若い編集者からの提案や注文は、私にとってやはり新鮮でした。自分では思いもつかない切り口がどんどん提示されてきます。日頃サメジマタイムスをひとりで執筆しているだけでは絶対に得られない「気づき」がそこにはあります。私はプレジデントオンラインに寄稿することにしてほんとうによかったと思っています。
今回の記事もSさんの注文に基づくものです。彼が今回示した「お題」は「野党は政治を諦めたのかーー批判をやめた日本の野党の問題」というものでした。その要請にどこまで応じることができたのかわかりませんが、今回も楽しく執筆させていただきました。ぜひご覧ください。
紙媒体で執筆することを選んだのはサンデー毎日です。こちらは永田町で取材するベテランライターの山田厚俊さんからお声かけいただきました。
新聞社を退職して独立する時、私は自らのジャーナリズム活動の中心をインターネットに移すことを決意しました。けれども、元来は縦書きの原稿を書くことが好きです。しかもネットではあまり人気のない、いかにも政治玄人が好みそうな権謀術数が渦巻く永田町の権力闘争を生々しく、じっくり描きこむことを許してもらえる媒体がひとつほしいと考えていました。サンデー毎日はそれにぴったりでした。
サンデー毎日にはサメジマタイムスやプレジデントオンラインとは趣向を異にした4ページの長文記事を時折寄稿しています。政治好きな方にはおススメです。
これまで自民党の党内闘争に注目した記事を続けてきましたが、前回5月24日発売号では衆院議員を辞職して参院選に出馬するれいわ新選組の山本太郎代表の戦いについて、みっちり書きました。6月7日発売号では「共産党とウクライナ戦争」について徹底解説しています。
サンデー毎日は申し訳ないですが、ネットでは読めません。よろしければ手に取ってお読みください。