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山本太郎のたった“15分”の国会質問を読み解く〜この政治家が総理大臣を直接追及する質疑を見てみたい!

れいわ新選組の山本太郎代表が国会復帰後はじめて質問に立った。

衆院内閣委員会で15分。衆院議席3つの少数政党に割り当てられた時間はほんのわずかである。それにもかかわらず見どころ満載の質問だった。

ぜひ以下のYouTubeで質問全体をご覧いただきたいが、私の独自の視点で解説したい。

■10万円の一律現金給付をもう一度!

内閣委員会の議員はコロナ対策の仕切り版に囲まれて質問に立つ。画面を通じて最初に感じたのは、アクリル板の枠にとても収まりきらない山本代表の存在感だった。

山本代表が最初に取り上げたのは「一律10万円の現金給付をもう1回」という民の声である。

前任財務大臣の麻生太郎氏は「一律給付をしても多くが貯蓄に回るので消費喚起効果が薄い」として再度の一律給付に消極的だったことを紹介したうえ、現在の財務省政務官に「政務官ご自身も麻生さんの考えに賛同するか。時間がないので申し訳ないがYESかNOで端的にお答えいただきたい」と問うた。政務官の答えはYESだった。

これに対し、山本代表の反論が明快だった。「給付されてすぐに消費に回らないとしても、それぞれのペースで緩やかにお金を使ってもらえれば、消費喚起につながることははっきりしている」と指摘。その根拠として、米国ではコロナ禍で三度の現金給付を行い、その多くが貯蓄に回って過剰貯蓄と批判されたものの、その過剰貯蓄が消費をゆるやかに刺激し、失業率回復や賃金上昇に結びついてコロナ前の景気を上回る状態になったことをあげた。山本代表はそのうえで次にように訴えたのである。

政府からの給付金が何度か行われる安心感がなければこのようにはならない。日本のようにたった一度だけの一律給付では大きな効果は得られない。現在は通常時ではない。25年間の経済政策の失敗とコロナ災害のダブルパンチの真っ只中。一律現金給付を複数回行う必要がある。

これはれいわ新選組の「超積極財政」を代表する主張だ。論旨は極めて明快である。「生きているだけで価値がある」「すべての人を救う」というれいわの政治信条をいま具体的な経済政策として実行するのなら、最優先すべきは「複数回の一律現金給付」ということだろう。

■生活保護を受けるべき人々が受けられていない!

これに続く山本代表の質問がしびれた。賛否がわれるテーマへの立場をごまかさない姿勢、対立点の核心をあいまいにしない姿勢に、私は彼の政治に対する誠実さを感じている。

給付金を出すのなら、真に必要とされる人々に絞ったほうが良いと考えますか?

財務省政務官は「それぞれ制度に適合する方にしっかりとご支援していくことが必要だ」と官僚答弁で応じた。これに対する山本代表の反論がまた秀逸だった。「真に必要とする人々に給付を絞るべきという声がありますが、大間違い」と言い切ったのである。

山本氏はその根拠を示すため、今度は厚労省に質問を振った。平成28年国民生活基礎調査で「生活保護を受けられる所得水準の世帯」のうち「実際に生活保護を受けている世帯」の割合を尋ねた。厚労省の審議官は「22.6%」と答えたのである。

22.6%ーー。つまり、生活保護が必要な5世帯のうち4世帯は生活保護を受けていないというのだ。

山本代表は「誰が困っているのかいないのか、誰に支援を届けるべきかをしっかり線引きをして、手当をする能力は、いまの日本政府にはない」と断言したうえ、「だからこそ今のような緊急事態時には対象を選別せず、一律給付をコンスタントにすべきだ」と主張したのである。極めて明快な論理展開だ。

■孤立する自宅療養者に今すぐ食糧支援を!

山本代表の質問はテンポよく続く。次はコロナ陽性の自宅療養者約43万人への対応だ。

コロナ陽性者で自宅療養です。手元にお金がありません。貯金ゼロです。この状態で受けられる支援はありますか?

厚労省の審議官は「生活に困窮される方々が利用しうる生活支援として、たとえば、緊急小口資金等の特例貸付、生活困窮者自立支援制度による相談支援、住宅確保給付金、生活保護制度などが考えられる」と答えた。

山本代表は「ネットのみで申請し手続きが完了できるものはひとつもない。当事者が窓口に出向いたり、郵送することが必要なものばかりです。コロナ患者が役所の窓口に行って申請するなんてあり得ますか?無茶苦茶な話ですよね?今の日本には受けられる支援はほぼないのが現実だ」とし、「治るまで家にいろ、治ってから申請すれば、というスタンスなんですね」とたたみかけた。厳しい追及である。ここまで迫って、山本氏はこう訴えるのだった。

コロナ陽性者及び濃厚接触者のなかで、相当数の人々が孤立し、孤独の中で困り果てていることを、政治が想像しなければならない。けれども現実は、事実上の放置、行政の責任放棄です。

山本代表は「そのしわ寄せとして、困窮者を支援する団体に悲痛なSOSが届いている」とし、「食べ物を買うお金がない、冷蔵庫は空、このままでは餓死する…」という生々しい声を紹介した。ようやくつながった役所への電話で食料が届かないと訴えると「ウーバーイーツで注文したらどうか」と回答されることもあるという。山本代表は「所持金数百円でウーバー無理ですよ」「このまま放置していたら陽性者から餓死者が出てもおかしくない状況だ」「完全に自己責任だ」「これが感染爆発の原因だ」と訴えるのだった。

■明日の閣議で提案を!

ここから山本代表は内閣委員会に出席している山際大志郎大臣にはじめて質問を投げかけるのである。

山本代表「食料支援は必要だと思われますか?」

山際大臣「コロナとの戦いは与野党問わずやらなければならない。現場の声をお寄せいただいたので、しっかり検討して、やれることはやりたい」

やれることはやりたいーー。いかにも政治家らしい答弁に山本代表はじっと堪え、「前向きに聞こえる答弁だと思います。ありがとうございます」と礼を述べて質問を続ける。山際大臣の地元・神奈川県の現場から「国から食糧支援に特化したお金を出していただければ食料支援を強化できる」という声を紹介したのだった。

山際大臣は「現場でやれることを工夫してやってもらう。その後で国の予備費をつかうか、地方独自財源でやっていただくのかは議論する」と答弁した。まずは現場で工夫し、あとから認められる範囲で政府が財源を出すということであろう。

山本代表は「食料支援を最大限やれ、国が財源を持つと宣言しないと、広げられない。先にやっておいてくれ、あとで国が補填するからと言えば、自治体は支援を広げられる」と食い下がった。そのうえで「明日の閣議でそういうお話をしていただけませんか?」と迫ったのである。

山際大臣は「閣議でお話しする内容ではない」とつれなかった。山本代表は「国が言えば自治体は動きますよ。先に国が心配するな、やれ、責任は持つと言ってほしい。大臣だけの権限でできるのか。だから閣議の場で総理にも相談していただくのがいちばんいい」と訴え、今度は野田聖子大臣に「現金一律給付を明日の閣議で投げかけていただけませんか」と質問を振った。野田大臣も「しっかり取り組んでいきたい」と答弁するにとどまったが、山本代表は「明日の閣議で話す場があるのならぜひお願いします。10万円給付おねがいします」と締めくくったのだった。

明日の閣議で提案をーー。この質問は素晴らしかった。初入閣の山際大臣でも、総裁選に最下位に沈んだ野田大臣でも、大臣である以上、閣議で提案や発言くらいできるだろう。それならば、内閣委員会の質疑を、岸田文雄総理大臣に届けて欲しい。山本代表の訴えは議会制民主主義である以上、真正面から否定しにくいものだ。国会質疑を決して言い放しで終わらせない。最高責任者である岸田総理に判断を迫りたい。その覚悟が伝わってくる直談判であった。

■山本代表に予算委員会での質問を!

山本代表の「明日の閣議でーー」という訴えは、少数政党を率いる山本代表には岸田総理と直接対峙する機会を与えられないという国会の現実を「告発」するものといっていい。

国会では「花形」の予算委員会で野党第一党の立憲民主党や衆院選で躍進した日本維新の会の質問が相次いでいる。彼らの質問時間はたっぷりある。しかし内閣委員会の山本代表の15分ほど中身の濃い質問はどれほどあるのか。彼らの質問時間を山本代表に譲り、岸田総理に直接質問させたほうが、「国民の知る権利」に奉仕することになるのではないか。私は山本代表が岸田総理に直接質問する姿を見てみたいと思った。

少数会派に質問時間を多く配分するのは国会の慣例である。れいわ新選組の高井たかし幹事長によると、過去の内閣委員会では、2議席の自由党の質問時間は25分(質疑全体は4時間)、30分(同5時間)、25分(7時間)、30分(6.5時間)だった。ところが今回、3議席のれいわ新選組の山本代表の質問時間はたった15分(同10時間)だったのである。

れいわ新選組の質問時間の割り当て分は著しく少ない。れいわが与党や維新だけではなく野党第一党の立憲民主党からも「イジメられている」という実態がここに浮かぶ。そしてマスコミはそのれいわの立場を支援せず、山本代表の15分の質疑の充実ぶりをほとんど報じないのである。

この状態でれいわに選挙だけは「野党共闘せよ」と求めるほうが無理がある。立憲民主党とは一線を画し、単独路線に突き進む山本代表の覚悟がにじむ国会質問であった。

「維新vsれいわ」「橋下徹vs大石あきこ」の激突は野党再編の号砲ではないかーー。維新とれいわの第三極が台頭し、自民・立憲民主の二大政党制が揺らぐ今年の政局をユーチューブで解説しました。ぜひご覧ください!

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