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立憲と共産の連携は本当にできるのか?連合会長は「共産党と連携する立憲議員は推薦できない」〜非自公による政権交代か、自公政権との連携か、立憲議員ひとりひとりが問われている!

立憲民主党の泉健太代表と共産党の志位和夫委員長が10月23日に国会内で会談し、次期衆院選について、両党が連携することで合意した。今後、連携のあり方を巡って協議を進めるという。

共産党は立憲に冷淡にされながらも野党共闘を訴えてきた。一方、立憲は2021年衆院選、2022年参院選で共産党に選挙区調整で大幅に譲歩してもらいながら、そのあとは日本維新の会との共闘を探って頓挫するなど迷走を重ね、期待を裏切り続けてきた。今回の合意をどこまで間に受けることができるのか、ちょっとまだわからない。

立憲にとって共産党との連携を阻む最大の障壁は、最大の支持母体である連合だ。

連合の芳野友子会長は10月12日収録のBSテレ東「NIKKEI 日曜サロン」で、次期衆院選で立憲民主党の議員が共産党と協力した場合、推薦できないと表明した。

芳野氏は自民党に接近を重ねてきたが、10月5日に開かれた連合大会で会長に再選されるまで、自民寄りの発言を極力控えていたようにみえる。パナソニック労組出身で元国民民主党副代表の矢田稚子氏が首相補佐官に一本釣りされたことに、旧社会党系労組を中心に連合内部で批判が高まったことも背景にあっただろう。

だが、連合大会で再選が決定したとたん、この「共産党と協力するなら推薦しない」発言である。再び本性をあらわにしてきたといっていい。

野党勢力が自民党に接近する際に「共産党とは組めない」を口実とするのは、常套手段だ。

与野党一騎打ちを想定する衆院選小選挙区制度のなかで、政権交代を実現させるために共産党を含む非自公勢力の協力を進めるのか、それとも政権交代よりも自公政権へのコミットメント(連立入りを含む)を優先するのかという選択の問題だ。

連合は明らかに「政権交代」をあきらめ、「自公政権へのコミットメント」を通じて政策要求を実現させる道を選んだということだ。自公政権との激突を避けるために、「アンチ共産党」をいわば大義名分として「非自公勢力の協力(結集)」を拒むことに狙いがある。

連合はかつて「非自民・非共産」の枠組みで公明党と並んで細川連立政権の誕生に寄与し、そのながれで新進党を支援した歴史がある。「共産より公明」は伝統的な立場だ。

例えば、かつて新進党に所属した小池百合子・東京都知事を公明や連合が支えているというような構図がいちばん居心地が良い。

その流れからしても、私はこの発言に特段の違和感はない。芳野会長の個人的見解というよりは、大企業寄りの姿勢を強める近年の連合の基本戦略に沿った発言といえるだろう。

そもそも連合傘下の組合員は大企業の正社員が中心で、労働者全体の17%程度にすぎない。それで「労働者の代表」を名乗るほうがおかしい。

連合は大企業の味方であり、自公政権への接近を目指している。それは、連合の支援を受ける国民民主党の自公接近に顕著に現れている。

ここで問われるべきは、連合の支援を受けるもうひとつの政党である立憲民主党の姿勢である。

共産党を含めて非自勢力の結集(あるいは緩やかな協力)のもとで政権交代を目指すのか、政権交代をあきらめて自公政権へのコミットメントを通じて政策実現を目指すのか。この基本戦略をあいまいにさせたまま、目先の利益で連合との関係をなんとなく維持しているところに、立憲の基本的限界がある。

はたして泉代表が志位委員長と合意した通り、共産党との連携は円滑に進むのか。連合との関係をどう整理するのか。今後裏切るようなことがあれば、もう修復は不可能であろう。

立憲の議員ひとりひとりが自公政権や連合との立ち位置を明確にするよう迫られている。

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