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立憲民主党「9条改憲ありきには断固反対」ってホンキなの!? 私たち有権者は参院選で「政党」より「個人」を選んだ方がよい

今夏の参院選は「改憲の是非」が大きな争点になる。

野党第一党の立憲民主党の支持率が低迷したうえ、第三党の日本維新の会は「打倒・立憲」を掲げて野党第一党の座を奪うことを目標に掲げる。自公政権は「野党分断」で安泰だ。参院選で与党が過半数を割る「衆参ねじれ国会」に突入し、政治が動き出す気運はまったくない。

むしろ自公政権に加えて維新も改憲推進の姿勢を鮮明にしており、自公維を中心とした改憲勢力が3分の2議席を確保するかどうかが最大の焦点となる情勢である。そして改憲勢力が3分の2を超える可能性は極めて高い。

このようななかで衆院憲法審査会での議論が着実に進んでいる。

自民党はウクライナ戦争を受けて①憲法9条を改正して自衛隊を明記する②緊急事態条項を新設するーーことを柱とする改憲を主張。これに対し、立憲民主党は「9条改憲ありきには断固反対」との立場だ(こちら参照)。

この「9条改憲ありきには断固反対」が曲者なのだ。

そもそも「9条改憲ありき」とはどういう意味だろう。「9条改憲」とどこが違うのか。

これが「どんな内容でもいいから9条を変えることに反対」という意味なら、「9条に自衛隊を明記する」とはっきり言っている自民党の主張は「ありき」とは言えない。だとしたら、自民党の改憲案に賛成するということなのだろうか。

立憲民主党の主張は「9条改憲ありき」というあいまいな概念を勝手に掲げて、それに「断固反対」という勇ましい言葉を付け加えているのである。何に「断固反対」するのか、その対象がはっきりしないのだから、断固反対という言葉が上滑りしているのだ。

これが政党として不誠実極まりない態度である。自民党が掲げる「憲法9条に自衛隊を明記する」という改憲案に賛成するのか、反対するのか。「改憲の是非」が問われる参院選が目前に迫るなかで開催された憲法審査会で自民党が掲げる具体的な改憲案に「断固反対」と明言できないようでは、立憲民主党の腰は引けているとみたほうがよい。

なぜ立憲民主党はこのように煮え切らないのか。

民主党以来、この党は「寄り合い所帯」と言われ、憲法に対する姿勢にも温度差があった。それを棚上げし「政権交代をめざす」という大目標のもとで大同団結し、2009年衆院選で政権交代を実現させた。政治的アプローチとしてそれは正しかったといえるだろう。

しかし、民主党政権は政権獲得した翌年の参院選でマニフェストになかった消費税増税をいきなり打ち上げて惨敗。衆参ねじれ国会に突入し、下野した自民党は息を吹き返した。民主党政権はその後も「小沢一郎氏vs菅直人氏」の内紛を繰り広げて失速し、3年余であっけなく崩壊したのである。

野党に転落して求心力を失った民主党は分裂を重ねた。改憲論や安全保障論で右寄りの前原誠司氏や細野豪志氏らが党外に飛び出して今の立憲民主党に行き着いたのだが、それでも改憲論や安全保障論は「できれば掘り下げたくないテーマ」なのだ。

それでも党執行部に求心力があり、政権交代のリアリズムがあれば大同団結することは可能である。しかし政党支持率は第三党の維新に肩を並べられ、野党共闘は事実上崩壊し、政権奪取への展望はまったく見えない。最大の支持団体である連合は自民党に接近し、もはやこの政党が参院選後も存在し続けるか否かも懐疑的になってきた。

立憲民主党が参院選に惨敗して解党に追い込まれるかたちで野党再編が動き出すシナリオは現実味を増している。つまり、自公維の改憲勢力が衆参両院で3分の2の議席を占め、改憲を発議する時(おそらくそれは参院選後、次の国政選挙が予定される2025年までの「空白の3年間」に実施される可能性が高い)、立憲民主党はもはや存在しない可能性が十分にあるのだ。

そのような政治情勢のなかで、立憲の個々の議員が「憲法9条を変えて自衛隊を明記する」という自民党の改憲案への賛否を明確にしてしまうと、参院選後の野党再編への対応、さらには改憲発議の際の投票行動を縛ってしまう。自民党の改憲案を絶対に阻止したいという強い信念がない限り、今の時点では態度をあいまいにしておきたいのが議員心理というものだ。

立憲民主党が「9条改憲ありき」に「断固反対」という極めてあいまいな態度に終始するのは、参院選後の政局を見据えて自らの態度を鮮明にしたくない「模様眺めの国会議員」がマジョリティーという党内事情を浮き彫りにしている。

以上、立憲民主党の党内事情を解説したのは、今夏の参院選で投票先を決める際の参考にしてもらいたいからである。

立憲民主党が政党として憲法をはじめ様々な公約を掲げたところで、この政党が参院選後に消滅してしまった場合、その政党が掲げた公約もまた消滅してしまう。野党第一党が存亡の危機のなかで国政選挙を迎えることほど議会制民主主義を無力化し主権者をないがしろにするものはない。

野党が戦線崩壊のなかで迎える今夏の参院選で野党を支持する人たちは、この先どう再編されていくか見えてこない政党よりも候補者個々人を見極めて投票した方が良いだろう。とりわけ立憲民主党は①連合に依存して選挙活動をしているため、自民党にすり寄る連合に付き従う議員②新自由主義を掲げて勢いを増す維新に接近する議員③積極財政を掲げるれいわにシンパシーを寄せる議員ーーに三分裂していく可能性が高い。なおさら「政党」より「個人」で選択するのがよい。

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