政治を斬る!

萩生田、西村、世耕が激突!安倍一周忌にむけて清和会会長レースが佳境に〜派閥会長・総裁候補の分離案も浮上するが…

会長不在が続く自民党最大派閥・清和会(安倍派)。安倍晋三元首相の一周忌である7月8日を前に、新体制への移行を求める声が強まってきた。8月に予想される内閣改造・自民党役員人事を前に「新会長」を決定しなければ、他派閥にポスト争奪戦で敗れるという危機感も高まっている。

しかし、会長の座に意欲を見せる5人衆〜萩生田光一政調会長、西村康稔経産相、世耕弘成参院幹事長、松野博一官房長官、高木毅国対委員長〜はいずれも譲らず、協議は難航している。

会長レースのトップを走っているのは、清和会のドンである森喜朗元首相の後押しを受ける萩生田氏だ。

森氏を後ろ盾に岸田文雄首相に直言することも多く、存在感は群を抜いている。政調会長として党執行部に加わっている点も有利だ。反主流派のドンである菅義偉前首相とも気脈を通じている。都議会出身の叩き上げで、政界での立ち回りは巧みである。一方、5人衆では最年少で当選回数もいちばん少なく、他の面々がすんなり「萩生田会長」を受け入れる気配はない。旧統一教会との関係もアキレス腱として抱えたままだ。

対抗馬は西村氏だ。

灘高ー東大ー経産省のエリートコースを歩み、自民党が野党に転落した直後に行われた2009年総裁選に出馬して、谷垣禎一氏、河野太郎氏と戦った経験もある。清和会会長レースが混迷する中で「岸田首相が次期総裁選に出馬しない場合は、ぜひ挑戦したい」と表明し、清和会の「総裁候補」に名乗りを挙げた。秘書へのパワハラ体質やエリート目線の言動がたびたび報道され、「派閥のまとめ役」として疑問の声がくすぶっていることを意識し、清和会若手との会食などを重ねて支持獲得に躍起である。

ダークホースは世耕氏だ。

これまでも総理総裁への意欲を隠さず、衆院への鞍替えを目指してきたが、地元・和歌山の政敵である二階俊博元幹事長に阻まれ、参院議員にとどまっていることが最大の弱点である。一方で、清和会100人のうち、40人は参院議員であり、それをまとめる世耕氏の発言力は無視できない。衆院議員が萩生田氏と西村氏の支持で割れる中、世耕氏の存在感は増しているともいえるだろう。萩生田氏と西村氏のうち世耕氏を味方につけたほうが優勢になるという構図も浮かぶ。

こう着状態のなかで浮上しているのは、派閥会長と総裁候補を分離する案だ。「萩生田会長ー西村総裁候補」案を軸に、世耕会長のもとで萩生田氏と西村氏が総裁候補として競い合っていく案などもある。

これは一種の集団指導体制であり、派閥分裂を当面回避することはできても、派閥会長の求心力は高まらない。いずれ総裁選を迎えた時に派閥分裂に発展するリスクを内包することになる。

安倍氏は有力な後継候補をつくらずに派閥に君臨し、首相への再再登板の機会をうかがっていた。突然の凶弾に倒れて清和会(安倍派)が混迷したのは、安倍氏が権力移譲に後ろ向きだった結果ともいえる。

清和会のドンである森氏も安倍政権下で清和会に加わった若手とは疎遠で、派閥全体への影響力を維持しているとはいいがたい。

岸田首相が政権を維持するには、最大派閥・清和会をうまく制御することが不可欠である。萩生田、西村、世耕3氏がしのぎを削っている現状が続くことが、もっとも都合がいい。

夏の内閣改造人事では、萩生田政調会長、西村経産相、世耕参院幹事長を留任させ、いまのバランスを維持するつもりだろう。

圧倒的なリーダーが不在だと、派閥はいずれ分裂する。自民党の最大派閥は分裂の歴史だ。100人を超えると分裂するとも言われてきた。

かつての最大派閥・竹下派(現・茂木派)は竹下登元首相の後継会長を小渕恵三氏と小沢一郎氏が激しく争い、これに敗れた小沢氏が自民党を飛び出して自民党下野ー非自民連立政権の誕生ー政界再編につながった。

清和会も分裂を繰り返してきている。三塚博氏が安倍晋太郎氏(安倍晋三氏の父)の会長後継になる過程で加藤六月氏(加藤勝信厚労相の義父)が派閥を去り、森喜朗氏が三塚氏の後継会長になる過程で亀井静香氏が派閥を去った。

今回も安倍元首相という巨大な存在を突然失い、100人の大派閥の結束をそのまま維持できる可能性のほうが小さいとみるのが自然である。

派閥会長レースの行方がどうなろうとも、清和会は分裂含みのまま、来年秋の総裁選を迎える。最大派閥の内部闘争は、岸田政権の行方にも大きな影響を与えながら、マグマをため、いずれ噴火することになろう。


鮫島タイムスYouTube週末恒例の『ダメダメTOP10』には、安倍派会長を争う萩生田、西村、世耕3氏が勢揃いです。ついでに安倍元首相の昭恵夫人も登場! ぜひご覧ください。

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