政治を斬る!

総選挙公示「ねちねち石破茂vs昔の顔の野田佳彦」冴えないもの同士の対決は「政権選択の選挙」になっていない!選挙結果がどうであれ、政局は流動化・政界再編含みに! 政党より政治家個人で選択するのが賢明

総選挙が10月15日に告示される。

自民党は、石破茂首相が解散日程や裏金問題でブレまくり、討論会での発言も「ねちねち」していて、まったく勢いを感じない。

立憲民主党は「昔の顔」の野田佳彦代表に刷新感がまったくなく、野党一本化もほとんど進まず、「政権選択の選挙」に持ち込めていない。

石破vs野田はどっちもどっち。「冴えない者同士の対決」というほかない。

与党第二党の公明党は自民党の裏金議員の多くを推薦し、もはや「裏金自民党と一体化」している。

野党第二党の日本維新の会は大阪万博と兵庫知事問題で失速し、一時の勢いは完全になくなった。「存亡の危機」と選挙戦といえるかもしれない。

どの政党もいまいちだ。私たち有権者は、何を基準に判断すればよいのか。

自公与党が過半数を維持しても、石破首相の政権基盤は弱く、来年夏の参院選まで持つかどうかわからない。

自公与党が過半数を割れば、維新や国民民主党が連立入りするか、立憲民主党と大連立の可能性もある。

政界再編が迫っている。今回の総選挙は、「政権選択の選挙」「総理を選ぶ選挙」ではない。

各党が選挙後、どのように動くかわからない。個々の政治家も、いつまでその政党に所属しているかわからない。

このような選挙は、政党で選ぶよりも、政治家個人で選ぶようはよいと私は思う。

各党の状況をみてみよう。

自民党内には石破首相への恨み節が広がっている。当初の想定通りに「小泉進次郎政権になっていれば良かった」との声も漏れる。

裏金事件が発覚した後、岸田文雄内閣の支持率は低迷。自民党内では9月の総裁選で首相を交代させ、刷新感を打ち出して裏金批判をかわし、10月解散総選挙の超短期決戦で逃げ切る構想が練られてきた。そのなかで大本命だったのは小泉進次郎氏だ。

ところが、小泉氏は総裁選の党員投票で大失速し、決選投票に進めなかった。決選投票はともに党員人気はあるが国会議員人気は低い高市早苗氏と石破茂氏と激突になったのである。高市氏の極右姿勢に警戒感が広がり、石破氏が消去法で選出されたのが実態だ。

それでも石破内閣の支持率が高ければよかった。ところが石破首相は解散時期や金融政策、裏金問題でブレまくり、内閣支持率は岸田政権や菅政権の発足時を下回る40〜50%に。総裁選最中の公約を次々に封印する豹変ぶりに世論の期待はまったく高まらず、むしろ討論会でみせる「ねちねち」とした発言ぶりにシラケムードさえ広がっている。「選挙の顔」として早くも疑問符がついたのだ。むしろ高市氏に選挙応援の依頼が殺到しているのが現状である。

石破首相は「自公過半数」を勝敗ラインに掲げ、自民党が現有議席(258)を大きく減らして単独過半数(233)を割っても続投する姿勢だ。しかし、自民党内では単独過半数を割れば高市氏を担いで「石破おろし」を仕掛ける機運が高まっている。とくに「入閣ゼロ」「大物裏金議員の非公認」「全裏金議員の比例重複なし」という仕打ちをうけた最大派閥・安倍派には、アンチ石破の気配が充満している。仮に単独過半数を維持しても党内抗争は収束しそうにない。

とはいえ、安倍派が大量落選しながらも、自民の議席減を最小限に食い止めれば、石破政権は安定へ向かう可能性もある。総選挙で誰が勝ち残るのか、選挙後の情勢で石破政権の行方は大きく変わる。

立憲民主党の野田佳彦代表は「裏金隠し選挙」と銘打ち、裏金問題を最大の争点に位置付けた。安倍派5人衆でもっとも裏金額が大きかった萩生田光一氏を最大のターゲットに仕立て、第一声の萩生田氏の地元・八王子市(東京24区)で行う。

ところが、東京24区には立憲に加え、維新や国民の候補が乱立し、野党一本化は進まなかった。裏金議員の退治を掲げながら、裏金議員との一騎打ちに持ち込めず、裏金議員を落選させることができるのか、心許ない状況だ。

全国的にも維新や国民に加え、前回総選挙で共闘した共産やれいわとの一本化もほとんど進まず 解散目前に選対本部の代表代行になった小沢一郎氏も「これまで何をしてきたのか?」と愕然としているという。立憲は事実上、単独路線で戦う様相だ。

野田代表は「①自公過半数割れ・比較第一党」になることで「②政権交代」を実現するという目標を掲げているが、野党はバラバラで立憲への期待もまったく高かまっておらず、①の勢いは感じられない。かりに①が実現しても、野党ばバラバラである以上、自公与党は維新や国民を連立政権に引き入れて過半数を回復させる可能性が高く、立憲中心の野党連立政権は誕生しそうにない。②への道筋は全く見えてこないのだ。

では、①も②も実現しない時、野田代表は引責辞任するのか? おそらく代表にとどまるであろう。その先に見据えるのは、石破自民党との消費税増税の大連立かもしれない。野田氏と石破氏は緊縮財政路線で重なり、ともに財務省に近いのだ。

野田代表は民主党政権の首相として、自公と消費税増税で合意した。その過去を失敗だったと反省するどころか民主党政権の実績だと誇っている。

自民党とは絶対に連立しない。消費税増税は絶対にしない。このふたつを約束しない限り、野田代表の言葉は信用しないほうがいいと私は思う。

公明党は自分たちの議席維持を優先し、自民党が非公認とした西村康稔氏らを含め、裏金議員たちを大量推薦した。公明党が掲げる「政治改革」に説得力はまったくない。自公連立を維持して政権与党にとどまることが最優先だ。なんとしても自公与党で過半数を維持し、維新や国民を含めた連立の枠組みの拡大を阻止したい。公明党の影響力が落ちるからである。

維新は自民と対決、公明とは決別、立憲とは一本化せず。かつての躍進は見る影もなく、大きく失速しているのに、独自路線を貫いた。大幅議席減の可能性があるだろう。 地元・大阪では比例重複を認めず、不退転の決意で臨むが、大阪でも議席を減らすようだと、存亡の危機になるかもしれない。自公過半数割れになれば連立入りで生き残りを探ることになる。自公過半数割れに追い込めなければ、いよいよ展望は開けない。

国民民主党は議席維持に必死だ。 立憲との選挙調整もいまいち進まず、自力でどこまで議席を守れるか。自公過半数割れなら維新と与党入りを争うことになる。自公過半数割れに追い込めなければ、来年夏の参院選に向けて逆に立憲との合流案が強まるだろう。

共産党は立憲と決別し、立憲を上回る候補者を擁立して独自路線へ舞い戻った。野党共闘を歴史的決断として進めてきた執行部の責任はどうなるのだろう。党員除名問題で内向き傾向を強め、無党派層への支持拡大も困難が予想される。むしろ党勢縮小が加速する可能性がある。

れいわは野党共闘と決別し、独自路線を強めてきた。とはいえ小選挙区では厳しい戦いだ。比例議席の上積みで徐々に勢力を拡大するしかなく、政界での孤立は進むだろう。自公過半数割れで維新や国民が連立入りしたり、さらには立憲との大連立が浮上したりして、国会のオール与党化が進めば、逆に存在感が高まる可能性がある。

 

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