これは、もはや自民党の圧勝ではない。高市早苗の圧勝である。
与党も野党も、そしてキングメーカーの麻生太郎でさえ、もはや高市早苗を止めることはできないだろう。
ここまで勝つとは、正直、想定を超えていたーーそんな選挙結果を予測する「情勢調査の決定版」が報じられている。
朝日新聞が全国37万人を対象に、電話とインターネットで行った総選挙の情勢調査。その結果を踏まえた最終議席予測は、自民党292議席。単独過半数(233)をはるかに超え、最大で306に達する可能性がある。日本維新の会と合わせれば324議席に達し、衆議院の3分の2(310)を大きく超える。
国会の風景は、一変する。
自民の地滑り的大勝と「高市官邸」の誕生
自民党は、衆議院の約3分の2を単独で占めかねない勢いだ。勝因は明白で、小選挙区での圧倒的な強さにある。全国289の小選挙区のうち、実に220で自民党が勝利する予測だ。序盤は接戦とされた選挙区を、中盤に入ってことごとく制していく。まさに地滑り的勝利である。
維新は公示前の34から32へと微減するが、自民と合わせれば3分の2を超える。与党が衆院で3分の2を確保するのは、安倍政権下の2017年総選挙以来だ。野党の協力なしには予算も法案も通らなかった国会は終わり、与党が「数の力」で押し切る時代が戻る。
注目すべきは、これが高市早苗個人の権力基盤を決定的に強化する点だ。
高市首相は、麻生太郎に相談することなく1月解散を決断し、麻生が反対した食料品の消費税ゼロを公約に掲げた。その結果が、この圧勝である。麻生支配から脱し、高市官邸主導の権力構造が形成されていく。高市政権は、安倍政権に匹敵する長期政権になる可能性を強めている。
「中道」は壊滅、選挙後に待つ解党
一方、立憲民主党と公明党が合流した新党「中道」は、歴史的大惨敗となる。公示前167議席から、わずか74議席へ。半分以下である。
小選挙区の勝利は32にとどまり、大物議員が次々と落選する。比例は42議席だが、そのうち28は比例名簿上位を占めた公明候補。立憲の比例復活は、わずか14人だ。新党結成時点で148人いた立憲系衆院議員は、選挙後には46人にまで激減する計算になる。
中道は、高市政権を倒し、自民党内のアンチ高市派と組む「大連立」を構想していた。しかし高市圧勝で、その戦略は完全に崩壊した。野田佳彦共同代表は「1+1が2に届かなければ失敗だ。責任を取る」と明言しているが、今回の情勢では1にも届いていない。このままなら、投開票日の夜に即辞任表明となる。
だが、中道にはその後の体制すらない。代表選のルールもなく、斉藤鉄夫が単独代表になることもできない。もともと今回の総選挙用に作られた暫定政党であり、惨敗と同時に役割を終える。解党が加速し、立憲と公明は元の姿に戻るだろう。公明は24から28へ増やす一方、立憲は100議席以上を失う。立憲“一人負け”の新党構想だった。
国民民主の失速と第三極の交代
国民民主党は29議席と、公示前から2増にとどまる予測だ。共同通信のトレンド調査では、比例支持率が序盤の8.4%から中盤には5.7%へ急落。各党で最大の下落幅だ。
高市政権誕生時に連立入りを決断できなかった優柔不断さが、致命傷となった。参政党やチームみらいに支持を奪われ、埋没する。玉木雄一郎代表、榛葉賀津也幹事長ともに、戦略の抜本的転換を迫られる。
参政党は2から11へ躍進。総選挙初参加のチームみらいも8議席を獲得する見通しだ。第三極の主役は、明確に入れ替わる。
高市一強を決める「投票率」
この流れを左右する最後の鍵は、投票率である。
かつては投票率が上がれば野党有利だったが、いまは逆だ。立憲、公明、共産はいずれも支持層が高齢化し、無党派層から敬遠される。投票率が上がるほど、苦しくなる。
一方、自民党は違う。公明と距離を取り、高支持率の高市内閣を前面に出したことで、投票率上昇が追い風になる。組織票を持つ「守り」に加え、無党派を取り込む「攻め」もできる。
天候などで投票率が伸び悩めば、中道が多少巻き返す余地はある。しかし、大勢は変わらない。むしろ投票率が上がれば、自民単独で3分の2、310議席超えすら現実になる。
これは「自民圧勝」ではない。高市一強時代の幕開けである。
日本の政治はどこへ向かうのか。私たちは大きな岐路に立っている。