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小泉進次郎政権で勃発する「菅義偉vs財務省」の暗闘〜菅復権に恐れる財務省は麻生太郎に代わる後ろ盾を求めて父・純一郎に再接近、規制緩和や財政政策をめぐる主導権争いが激化へ 

自民党総裁選は小泉進次郎氏が優勢な情勢だ。バックについているのは、非主流派のドンである菅義偉前首相。進次郎政権は菅傀儡になるとの見方が強まっている。

菅氏は財務省と折り合いが悪い。安倍政権の官房長官時代に自らの秘書官を務めた矢野康治氏を財務事務次官にねじ込んだ。財務省の本流は主計局だが、矢野氏は主税畑の傍流だった。この人事に財務省が反発し、菅氏と暗闘を続けてきた。

安倍政権で副総理兼財務相を務めた麻生太郎氏は、財務省の用心棒的存在である。麻生氏と菅氏のキングメーカー争いの背景には、財務省の影もちらつく。

今回の総裁選で、菅氏の担ぐ進次郎氏が勝利すれば、財務省の頼みの綱である麻生氏はキングメーカーの座から陥落し、10月解散総選挙で引退に追い込まれるとの見方も広がってきた。財務省は大ピンチだ。

財務省が麻生氏に代わる後ろ盾として目をつけているのが、進次郎の父・小泉純一郎元首相である。

純一郎氏は首相時代、消費税増税は否定しつつ、歳出削減を進め、財務省とは良好な関係を維持した。構造改革の司令塔として竹中平蔵氏を重用する一方、財務省にも配慮し、双方のバランスをとって政権を運営したのだ。

規制緩和を重視する竹中路線を継承したのが菅氏である。規制緩和に反対して竹中氏や菅氏と対立し、財務省との関係を強化してきたのが麻生氏だった。

財務省は純一郎氏に再接近し、純一郎氏を通して進次郎氏との関係を強化し、菅氏の影響力をそぐ戦略を練っている。

進次郎氏は自民党総裁選に勝利して首相に就任すれば、できるだけ早期に衆院解散を断行する意向を表明している。現時点では進次郎氏が他候補をリードし、そのまま解散総選挙に勝利する可能性が高いとみられている。

だが、総選挙後は、進次郎政権内でキングメーカーの菅氏と財務省の主導権争いが繰り広げられるだろう。純一郎政権の大物秘書官として跋扈した飯島勲氏(現在の内閣官房参与)が復権し、財務省の名代として官邸を取り仕切る可能性もある。

菅氏と財務省のどちらが主導権をとるか。規制緩和や財政政策の行方はそれで大きく変わってくる。

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