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都知事選は小池知事ペースに、自民党は「立憲共産党」攻撃で左右イデオロギー対決に持ち込む!それに乗らず裏金自民と小池都政が進めた経済格差拡大に焦点を当てる「上下対決」に持ち込め!

小池百合子知事が東京都知事選挙(6月20日告示、7月7日投開票)への出馬をようやく表明した。事実上、自公与党と連合の支援を受ける見通しで、立憲民主党と共産党が支援する蓮舫氏との激突となる。

小池知事が現職の強みと組織票を背景に優勢との見方が広がっているが、蓮舫氏が対抗するにはどうすればよいか。打倒女帝の戦略を考えてみよう。

小池知事の出馬表明はマスコミ各社が事前に報じていた通り、6月12日の都議会最終日だった。2期8年で取り組んできた子育て支援などの「先駆的な改革」は「国をも動かしている」と自画自賛しつつ、課題はなお山積しているとして、「ここで東京大改革をとめてはいけない」「バージョンアップさせた東京大改革3・0を進めていく」と宣言、都知事選への出馬を表明した。

自画自賛がすぎるくらいで、とくにサプライズのない内容だったといってよい。

小池知事は8年前の知事選では「反自民」を掲げ、無党派の支持を得て勝利した。その後は地域政党「都民ファースト」を立ち上げて自民党と対立したが、東京五輪や都心再開発を通じて次第に接近。現在は自公与党とべったりの党運営を続けている。

今回は自民党と親密な業界団体、公明党の支持母体である創価学会、連合を構成する労働組合などの組織票に加え、蓮舫氏や共産党に批判的な「アンチリベラル」の保守票を集めれば、無党派層への浸透が不十分でも逃げ切れるという判断だろう。出馬表明はサプライズよりも都政継続を訴える内容となった。

自民党が得意な守りの組織型選挙といってよい。

蓮舫氏は小池知事に先手を打って電撃的に出馬を表明した会見で、「自民党政権の延命に手を貸す小池都政をリセットする」と宣言し、裏金自民と小池都政を一体化する戦略に出た。これに対し、小池知事は今後、自民党とともに「蓮舫氏は立憲共産党」「共産党に担がれた都知事を誕生させると大変なことになる」とし、共産党批判を展開していくとみられる。

もともと自民党は政治スキャンダルで逆風が吹き荒れる選挙ほど、憲法改正や安全保障など「右」を前面に打ち出す。永田町では昔から「日本社会は右が3、左が2、無関心が5」といわれ、左右イデオロギー対決になると無関心層は投票せず、投票率は50%にとどまり、右が3対2で競り勝つといわれてきた。

今回の裏金事件の逆風をかわすためにも、今後は解散総選挙に向けて憲法改正や安全保障を前面に打ち出す選挙戦略を組み立てていくのは間違いない。それにくわえ、立憲民主党と共産党の共闘を標的にし、「立憲共産党」と揶揄することで、共産党アレルギーを煽るだろう。

都知事選では憲法改正や安全保障は直接の争点にならないため、「立憲共産党」が蓮舫批判を最大のキーワードになるとみられる。

蓮舫氏がこれに乗ると自民党や小池知事の思うつぼだ。すでにリベラル陣営には、都知事選に向けて、小池知事が関東大震災で虐殺された朝鮮人への追悼文送付をやめたことなどを批判する動きがある。もちろん大切な問題なのだが、左右イデオロギー対決的に都知事選の大きな争点にするのは選挙戦略上は避けたほうがよい。

同じように明治神宮外苑など都心再開発についても、樹木の大量伐採など環境問題を前面に掲げて左右イデオロギーの対決色を強めるのはいまいちだ。私も樹木の大量伐採には強く反対してきたが、都知事選で幅広い支持をえるにはむしろ、三井不動産など大企業と一体化した巨大利権という視点で都心再開発を攻めるほうがよい。

左右イデオロギー対決よりも上下対決に持ち込む。すなわち、自民党と小池都政の下で加速した大企業・富裕層優遇の規制緩和・金融緩和・都心再開発による経済格差を最大の争点に掲げ、「大企業・富裕層の味方である自民・小池連合vs庶民の味方である蓮舫」という上下対決の構図をつくれるかどうかに勝敗はかかっている。

小池都政は自民党や大企業、マスコミと一体化し、東京五輪や都心再開発の巨大利権を推進してきた。東京五輪は電通が全面参画し、朝日・読売・毎日・日経・産経の全国紙はスポンサーとなった。都心再開発を各地で主導する三井不動産には都庁幹部が多く天下っている。まさに政官業マスコミの癒着の構図がここにある。

2年間で48億円を注ぎ込み都庁外壁をイルミネーションでショーアップする「東京プロジェクションマッピング」を運営するのは電通グループだ。これも電通を引き込んだマスコミ対策・世論対策の側面が強いだろう。

一方、金融緩和と規制緩和の産物である都心再開発で、都内の地価は高騰し、家賃は跳ね上がった。株や不動産を持たない庶民層の生活は困窮し、東京は住みにくい街になった。

小池知事が8年前の知事選で都民に強烈にアピールした「7つのゼロ公約」(満員電車ゼロ、介護離職ゼロなど)はほとんど実現していない。まさに庶民を軽視し、政官業マスコミを重視した小池都政を象徴する事実といってよい。

小池知事が出馬表明直前に低所得者に一万円商品券を配布すると表明したのは、経済格差への批判を意識した露骨な選挙対策である。もちろん、一万円のバラマキで格差が是正するはずがない。

小池都政が裏金自民と一体化して進めてきた大企業・富裕層優遇による経済格差の実態を暴き、経済格差を最大の争点に押し上げる「上下対決」に持ち込むことができれば、蓮舫氏に逆転の可能性は十分にあるだろう。

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