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「進次郎効果」で政党支持率が激変――世論調査が示す“主役交代”のリアル

JNNの最新世論調査(5月31日、6月1日実施)が、政界に新たな風を告げている。注目は、小泉進次郎農林水産大臣の登場によって浮上した「進次郎効果」と、それに伴う各政党の支持率の激変だ。「令和の米騒動」と称された備蓄米問題が政局の引き金となり、与野党の力関係を塗り替え始めている。

石破政権を救った進次郎劇場

内閣支持率は前月から1.3ポイント上昇し34.6%、不支持率は62.0%と高止まりながらも微減となった。

これは石破茂首相の直接的な手腕によるものではない。商品券スキャンダルやトランプ関税で追い込まれていた政権に、突如として明るさをもたらしたのは、江藤拓前農水相の更迭を受けて就任した小泉進次郎農水相だ。

支持率の回復は政党支持にも波及。自民党は0.8ポイント上昇し24.3%を記録。党内では、進次郎氏を次期総理に据え、衆参ダブル選挙で過半数奪還を狙う「ウルトラC構想」もささやかれている。

米増産をめぐる農協改革が本格化すれば、森山幹事長ら農水族との党内抗争が「小泉劇場」の様相を呈し、再び世論を熱狂させる可能性もある。

6月22日の国会会期末に向けて、「石破おろし」の機運が再燃するのか、注視が必要だ。

玉木代表、主役の座から転落

一方、劇的な支持率下落に見舞われたのが国民民主党だ。前月から3.4ポイント減の6.8%。かつて減税政策で躍進し、30代では自民党すら凌ぐ支持を誇っていた党勢が、一気に崩れた。

要因は二つ。まず、過去に不倫スキャンダルで注目を浴びた山尾志桜里氏を参院選候補として擁立し、世論の批判を浴びた「山尾ショック」。そして決定打となったのが、玉木雄一郎代表の国会での「1年経った備蓄米は動物の餌」発言だ。進次郎農水相への攻撃が逆効果となり、炎上の末に謝罪へと追い込まれた。

これにより、自公と国民の連立構想は頓挫。参院選での躍進も不透明となった。かつて「ポスト石破」の有力候補と目されていた玉木氏は、政界の主役から急速に転落した格好だ。

立憲民主党、逆転の兆し

国民民主党の急落と対照的に、立憲民主党は2.6ポイント増の8.2%と大きく回復。昨年11月以来、7ヶ月ぶりに国民民主党を上回った。

立憲は、財政規律を重視する点で石破政権と共鳴し、年金改革法案の修正で自民・公明と合意。野田佳彦代表は内閣不信任案の提出を見送る方針を固めており、大連立構想に現実味が帯びてきている。

ただし、今回の支持率上昇が大連立に対する支持を意味しているわけではなく、むしろ国民民主の失速の裏返しともいえる。6月末の国会会期末に向けて、大連立への評価がどう反映されるかが今後の焦点となる。

維新とれいわ、明暗分かれる

維新の会は、支持率が前月比2.0ポイント減の2.3%と、まさかの半減。教育無償化や大阪万博といった政策アピールは効果を発揮せず、れいわ新選組にも支持率で抜かれる結果となった。

執行部は参院選の目標を「6議席以上」としている。本拠地・大阪の2議席維持に加え、比例は3年前の半分の4議席にとどまることを想定したものだ。東京・神奈川・京都といった重点区での勝利をはやくも諦めているようにみえる。馬場伸幸前代表や藤田文武前幹事長が執行部批判を強めており、党分裂の可能性すら指摘されている。

一方、れいわは支持率3.1%と微減ながらも安定。維新や国民民主、公明、共産といった既成政党を上回る水準を維持している。立憲、維新、国民が「連立入り」を競い合うなか、与野党双方と一線を画す独自路線を貫く姿勢が一定の支持を得ている。

注目すべきは、参政党の台頭だ。支持率は0.5ポイント増の2.1%。山尾ショックで国民民主を離れた保守層の一部が、自民党に戻らず、参政党に流れている。候補者大量擁立による草の根活動が奏功しつつあり、参院選でも無視できない存在になってきた。

最新の世論調査は、進次郎効果による政界の“主役交代”を明確に示している。石破政権の命運、自公と野党の再編、参院選の行方──いずれも6月22日の国会会期末に向けて動き出す。永田町の地殻変動は、まだ始まったばかりだ。