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なぜ立憲民主党は「制作会社」経由でCLPへ資金提供したのか?カネの流れをすべて公開せよ!

リベラル系ネットメディア「Choose Life Project」(CLP)が立憲民主党から設立資金1500万円を提供されていた問題は「政治とメディア」のあり方を見つめ直す格好の機会である。

テレビ新聞はこの問題の真相究明に尻込みするだろう。政府与党から広告掲載や事業受注の名目で1500万円とは桁違いの税金や政治資金がマスコミに流れ込む実態が照らし出されるからだ。自分たちに批判が跳ね返ってくる「ブーメラン」を恐れているのである。「CLP問題」に矮小化しようとするに違いない。

凋落する旧来型マスコミほど「税金ビジネス」で生きながらえている。権力批判に及び腰になるのはマスコミ経営の構造上の問題だ。

SAMEJIMA TIMESは「スネに傷」がない(資金力もない)。だからこそマスコミに代わって今回の問題を徹底追及していこう。

これまでメディア側の視点でCLP問題を報じてきた。今日は政党側から、つまり立憲民主党側からこのCLP問題を深掘りしてみる。

CLPの経緯説明によると、立憲民主党がCLPに資金提供したのは「2020年3月以降、クラウドファンディングで資金調達できるまでの間」である。CLPがクラウドファンディングを実施したのは2020年7月〜9月。つまり約1500万円の資金提供は「2020年3月〜9月ごろ」に何回かにわけて実施されたとみられる。

私はこの資金提供の期間に注目している。ここに真相究明の重大な鍵があると思っている。

立憲民主党で資金提供を決定したのは当時幹事長である福山哲郎氏だ。当時代表だった枝野幸男氏の側近中の側近である。

福山氏が発表したコメント全文は以下の通りだ

・Choose Life Projectという、フェイクニュースに対抗するメディアの理念に共感したため、広告代理店と制作会社を通じて番組制作を支援した。

・自立できるまでの期間だけ番組制作を支援することとし、その後自立でき支援の必要がなくなったとして先方から申し出を受け、支援は終了した。

・なお、理念に共感して、自立までの間の番組制作一般を支援したもので、番組内容などについて関与したものでない。

福山氏は資金提供の期間について「自立できるまでの期間だけ番組制作を支援することとし、その後自立でき支援の必要がなくなったとして先方から申し出を受け、支援は終了した」としている。「自立できるまでの期間」と言うのだから、CLPがクラウドファンディングで十分な資金を集めた2020年9月ごろまで提供したということなのだろう。その意味でCLP側の説明と符合している。

では、この「2020年9月」とはどういう時期なのか。なんと、枝野氏が2017年衆院選で小池百合子東京都知事の希望の党に排除されて旗揚げした「立憲民主党」が「解党」したのが「2020年9月14日」なのだ。この翌日に立憲民主党に国民民主党などが合流する「新立憲民主党」が誕生した。

これに先立ち、代表と党名を決める「新党代表・党名選挙」が2020年9月7日に公示、同月10日に投開票され、枝野氏が国民民主党出身の泉健太氏(現・立憲民主党代表)を破って新代表となり、党名も「立憲民主党」に決まった。枝野氏は党人事で旧立憲民主党発足時から幹事長を務めてきた最側近の福山氏を引き続き幹事長に指名。「枝野ー福山独裁」と呼ばれた旧立憲民主党の布陣がそのまま新立憲民主党に受け継がれたのである。

CLPへの資金提供が打ち切られたのは、このように、旧立憲民主党と旧国民民主党の合流が決定し、代表選が実施され、新立憲民主党が船出するという、枝野・福山両氏にとって「自らの地位を死守すべき政局(権力闘争)の真っ只中」だったのだ。

ここに留意する必要がある。解説を続けよう。

枝野氏が新立憲民主党の代表選に勝利することは有力視されていた。とはいえ、党首選挙というのは波乱がつきものである。仮に枝野氏が勝利するとしても、僅差の勝利であれば、党内融和の立場から、福山氏が務めてきた幹事長ポストを旧国民民主党出身者に明け渡す必要に迫られたかもしれない。

幹事長は、政党運営の全般を取り仕切り、政党資金の使途を掌握する「大権力者」である。枝野氏がひとりで旗揚げした旧立憲民主党が「枝野ー福山独裁」と呼ばれたのも、枝野最側近の福山氏が2017年10月の発足から2年間、幹事長ポストに君臨したからだ。旧立憲民主党は政党助成金の使途をはじめ党運営全般を枝野・福山両氏が完全に掌握したといわれている。

だが、旧国民民主党と合流して新立憲民主党を設立する以上、福山氏が幹事長ポストに留任できる保証はない。新党になるのだから、代表選の結果いかんでは、実務を担当する党事務局(党職員)の体制が刷新される可能性もある。そもそも解党→新党という流れなのだから、政党資金もいったん整理しなければならない。

これまで「枝野・福山独裁」と言われた旧立憲民主党の資金管理をいったん整理し、新党に受け継ぐべきは受け継ぎ、終了させるべきは終了させるーーその仕分けが必要だった時期と、CLPがクラウドファンディングを実施して自立資金を集めることに成功した「2020年7月〜9月」は、ピッタリ重なるのだ。

CLPも福山氏も資金提供の終了を申し出たのはCLP側からであったと説明し、歩調をあわせている。たしかにCLPはクラウドファンディングで円滑な資金を得たため立憲民主党からの資金提供を終了させる動機はあっただろう。しかし、立憲民主党の福山氏も自らがCLPの「メディアの理念に共感」して始めた資金提供をいったん整理する必要に迫られた時期であった。ほんとうにCLPが一方的に資金提供の終了を申し出たのかーー私が福山氏と佐治氏にいまいちど強く確認したい点である。

なぜこのような疑念を抱くのかと言うと、CLPと福山氏の経緯説明だけでは、立憲民主党からCLPへの資金提供の全貌が見えてこないからだ。これは福山氏がCLPに大口の資金提供した動機が純粋に「メディアの理念に共感」したことだけだったのかーーという疑問とも重なってくる。さらに深掘りを進めよう。

最大の注目点は、立憲民主党がCLPに約1500万円を直接提供したのではなく、「広告代理店と制作会社」を経由して提供したことだ。

福山氏が「メディアの理念に共感」したのなら、なぜCLPへ直接提供しなかったのか。わざわざ「中抜き」の恐れがある「広告代理店」と「制作会社」を経由させたのはなぜか。

ひとつの理由は、立憲民主党からCLPへの資金提供の事実を隠そうとしたことだろう。政党が独自のメディアを設立することは、その旨を公にしている限り何の問題もない。だが、CLPが「立憲民主党のお抱えメディア」と見られることは双方とも望まなかったのだろう。

だとすれば水面下で資金提供するほかないが、自民党のネット世論工作について野党支持層を中心にかねてから批判が高まっていた。立憲民主党が同じように政党資金を投じてネット世論工作に乗り出したと批判されることを恐れ、福山氏は資金の流れを見えにくくするために「広告代理店」と「制作会社」を介在させたという動機はあったと思う。

しかし、はたしてそれだけであろうか。

私がさらに注目しているのは「広告代理店」だけでなく「制作会社」を介在させたことだ。

この「広告代理店」は博報堂だと言われているが、「制作会社」とは何者なのか。福山氏とはどのような関係にあるのか。単にCLPへの直接提供を隠すためだけなら「広告代理店」を介在させるだけで十分だ。なぜ「制作会社」を経由する必要があったのか。ここが真相解明の最大の焦点である。CLPも福山氏もこの点について何も説明していない。

立憲民主党関係者によると、資金の流れは「立憲民主党→広告代理店(博報堂)→制作会社→CLP」だったという。この資金の流れの過程で「中抜き」が行われたのか。行われたとすれば、その資金はどこへ消えたのか。

これが「立憲民主党からCLPへの資金提供」問題の核心である。とりわけ実態がまったく見えてこない「制作会社」をめぐるカネの出入りに注目したい。福山氏が純粋にCLPの「メディアの理念に共感」して資金提供を決めたのだとすれば、CLPに至る資金の流れをすべて公開できるはずだ。すべて透明化してこそ「メディアの理念に共感」して資金提供したという説明は説得力を持つ。透明化できなければ、実は資金提供の動機は他にもあったのではないかという「中抜き」疑惑が浮上するだろう。

そしてこの説明責任を果たすべきは、当時代表であった枝野氏と福山氏にとどまらない。「枝野・福山体制」を受け継いだ泉健太代表、西村智奈美幹事長、小川淳也政調会長ら立憲民主党の現執行部は、党としての信頼を獲得するためにも、CLPへの資金提供の流れを率先して解明すべきである。

泉代表以下が真相究明に尻込みすれば、立憲民主党は自民党の政治資金の闇を追及する資格を失う。泉代表がよもや自分たちの「闇」に蓋をするために「批判型野党」ではなく「提案型野党」を標榜しているわけではないことを願ってやまない。


CLP問題を資金提供側の立憲民主党から整理すると以上のような問題点がみえてきます。ネットメディアの問題にとどまらず、公党の政治資金の使途をめぐる問題であることもおわかりいただけたでしょうか。

番組制作費や広報宣伝費を名目とした不透明な支出は、他党でも指摘されてきました。ブラックボックスになりやすい分野です。立憲民主党には徹底した真相解明を求めたいと思います。

SAMEJIMA TIMESは読者との双方向性を重視し、コメント欄に寄せられたご意見をもとに「論調」を決めていく編集方針を掲げています。CLP問題でも日々、読者の皆様のコメントを拝読しながら、どうあるべきかを考え抜いています。

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CLP問題をメディア論として整理した以下の記事には引き続き多くのご意見が寄せられています。

リベラル直撃!“CLPショック”〜この新興メディアをこのまま消滅させて良いのか? サメタイ読者からの真摯な問いかけ

この記事中でも予告しましたが、読者のコメントを紹介しながらメディア論として私の見解を整理したYouTube動画を公開しましたので、あわせてご覧ください。これからもコメントを紹介しつつ私の見解を答えるYouTube動画を公開していきたいと思います。チャンネル登録もお待ちしています!

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