政治を斬る!

巨大新聞社の「危機管理の失敗」を克明に描いた『朝日新聞政治部』が日経新聞広告に登場!中島岳志さん、望月衣塑子さんの推薦コメントも

新刊『朝日新聞政治部』にたくさんの反響をいただいています。ありがとうございます。

発売日(5月27日)の朝日新聞に続いて、6月2日には日本経済新聞に広告が掲載されました。

私は古巣の朝日新聞以上に日経新聞への広告掲載をうれしく思っています。それは『朝日新聞政治部』執筆の大きな狙いが「企業の危機管理の失敗」を問うことにあるからです。

2014年に吉田調書、慰安婦、池上コラムという3大事件で凋落した朝日新聞社。政治部出身の経営陣たちはどこで何を間違えたのか。経営陣の危機管理能力さえしっかりしていれば、朝日新聞社がこれほどボロボロになることはなかったでしょう。

本書はその「危機管理の失敗」の実態を克明に伝えています。ぜひ企業の経営者や危機管理担当者に手に取っていただきたい一冊です。「失敗学」の本ともいえると思うのです。

うれしいことに、日経新聞の広告には著名なお二人から推薦コメントをいただきました。

「これほどの生きたジャーナリズム論に出会ったのは、はじめてだ。ここにはメディアの未来を考える重要な実体験が描かれている」 中島岳志(政治学者)

「社内政治と保身にエネルギーを浪費する幹部たち。失敗と批判を恐れ、萎縮していく現場。新聞社の政治報道が光を失った理由がここにある」 望月衣塑子(東京新聞記者)

私が中島岳志さんと出会ったのは、2014年に吉田調書報道で特別報道部デスクを解任された後、失意のどん底の日々でした。政治取材の現場からも離れ、永田町を遠くから眺めていた時期でした。そこで中島さんと政治について深く語り合ったことは、いまの私の政治観の土台をつくっています。

もうひとつ、中島さんとは運命的なかかわりがあります。それは2014年の吉田調書事件の当時、中島さんは朝日新聞の紙面審議委員として、外部からこの問題について朝日新聞に苦言を呈していたのです。

私は当時、中島さんとは面識がなく、さらには私自身が事件の渦中に身を置いていて、中島さんが紙面審議委員として朝日新聞社にどのように主張したのかをまったく知りませんでした。中島さんからそれを知らされたのはつい最近のことです。

私がこの拙著をもっとも読んでいただきたい一人が中島さんでした。その中島さんから推薦コメントをいただいたのは感激です。

先日、中島さんと私が『朝日新聞政治部』について語り合うオンライン対談が実現しました。朝日新聞の紙面審議員だった中島さんが当時、どのような行動に出たのか、それに対して朝日新聞社がどう対応したのかも明かされています。とても興味深い内容です。

近く現代ビジネスに掲載される予定です。改めて中島さんの批評力、分析力に感嘆するとともに、血の通った優しい政治学者であることを再認識しました。ご期待ください。

望月さんは「新聞記者」の著書と映画で日本で最も有名な新聞記者となりました。安倍内閣時代、社会部記者として首相官邸の菅義偉官房長官の記者会見に単身乗り込み、露骨な質問妨害や質問制限と闘う姿は、多くの人々の共感を呼びました。その発信力は「顔の見えない記者」が多い新聞業界で突出していると思います。

望月さんの活躍は、逆に、菅官房長官に寄り添うばかりで、望月さんに対する官邸側の質問妨害や質問制限を黙殺するばかりか、それに加担するという報道各社政治部の官房長官番記者たちの醜悪な姿を可視化します。政治報道に対する世間の信頼は地に墜ちました。私も政治記者のひとりとして忸怩たる思いを感じてきました。

今回の『朝日新聞政治部』は政治報道の実像をありのままに描いています。私も与謝野馨、町村信孝というふたりの官房長官番記者を務めました。そのような経験をエピソード満載でお伝えし、政治取材の現場とはどのようなものか、政治記者とはどのような人々かを克明に描いています。

政治取材の現場は極めて閉鎖的で、記者クラブ中心の番記者制度は改善する必要があります。記者会見のあり方もいまのままではいけません。政治報道に向けられた批判の多くに私は同意します。

一方で、政治報道のすべてを否定していいとも思いません。政治報道に携わる多くの者たちは政治報道に向けられた批判に沈黙し、政治報道への不信を募らせる読者との溝は深まるばかりです。

私は新しい政治報道のあり方をめぐる議論を活性化させるためにも、政治取材の現場をすべてオープンにしようと考えました。『朝日新聞政治部』ほど政治取材の現場をさらけ出した本はないと私は思います。ぜひお読みになってください。

望月さんの大きな功績は、「政治報道の闇」に光を当てたことだと思います。その望月さんから推薦コメントをいただいたことに勇気づけられました。

望月さんの問題提起に対して、次は政治記者たちが応える番です。私はそのような思いもこめて『朝日新聞政治部』を書き上げました。

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